古来より、洋の東西を問わず、毒劇物による中毒事件・事故は発生し続けている。さらに近年、不特定多数の市民を標的とした食品・飲料等への毒物混入事件が連続して発生し、大きな社会不安を引き起こした。こうした事件の解決には、中毒原因となった有毒物質の迅速な特定、さらに中毒との因果関係の証明が不可欠となる。
化学第二研究室では、生体試料や食品試料等の複雑なマトリックスからの、あらゆる毒劇物の定性・定量分析法の研究開発、またそれらを応用した鑑定・検査を行っている。さらに、健康食品中の生理活性物質、シンナー等の乱用揮発性物質、アルコール、産業廃棄物等に含まれる環境汚染物質等の分析についても、研究・鑑定を行っている。
毒物及び劇物等の分析法に関する研究
医薬用外毒物・劇物、天然毒、農薬、家庭用化学製品、有害元素やその化合物、さらにシンナー・エタノール等揮発性物質に至るまで、広範な有機・無機毒劇物について、迅速、高感度かつ選択的な分析法の研究・開発を行い、これらを応用した鑑定・検査も行っている。また、健康食品等に含まれる天然生理活性成分や有毒成分の分析法の研究開発及び鑑定検査、さらに農薬については、系統的分析法、一斉分析法の高度化に関する研究・開発も行っている。
環境汚染物質の分析法に関する研究
不法投棄された産業廃棄物、不法処分場等から発生・流出するダイオキシン類、PCB、揮発性毒劇物等の規制有害物質について、迅速かつ簡易な検査法の研究・開発を行うとともに、有害物質の種類、含有量等から排出源を特定するための分析手法の研究・開発も行っている。また、これらの技術を応用した鑑定・検査も行っている。