機動警察通信隊
機動警察通信隊は、全国の情報通信部に設置され、現場の警察活動の基盤となる通信を確保するための様々な活動を行う部隊です。具体的には、災害又は事故が発生した場合、警衛・警護警備や雑踏警備等を実施する場合、犯罪の捜査を行う場合等に、警察本部と現場警察官との間の指揮命令や連絡等が円滑に行われるよう、無線の不感地帯対策(*1)のほか現場映像の撮影・伝送等の情報通信対策を講じています。また、災害等により無線中継所への電力の供給が不安定となった場合に、無線中継所に設置している非常用発動発電機の燃料を搬送し補給するなどして、警察通信施設の機能を維持します。
これらの活動により、現場の警察活動を強化することで、国民の安全・安心に貢献しています。
*1 臨時の無線中継所の設置・運用を行い、警察無線が届かない地域等での無線通話を可能にすること
災害、事故現場における活動
地震、台風、大雨等の災害や航空機、鉄道、船舶等による大規模な事故が発生した場合、機動警察通信隊は直ちに現場に出動し、現場映像の伝送や通信手段の確保を行います。
令和3年7月1日からの大雨による災害においては、関東管区警察局静岡県情報通信部の機動警察通信隊のほか全国から応援部隊が出動し、ヘリコプターテレビシステム、デジタル映像モバイル伝送システム(*2)、無人航空機型映像撮影伝送システム(*3)等を用いて、撮影した被災状況や警察部隊の活動状況等の映像を警察本部、警察庁、首相官邸等にリアルタイムで伝送したほか、被災地を管轄する警察署に設置された警備本部に臨時の通信施設を設置するなどの活動を行いました。
*2 撮影した高解像度のデジタル映像を伝送するシステム
*3 無人航空機(ドローン)を用いて上空からの映像を低高度から撮影し、その映像をリアルタイムで伝送するシステム
警衛・警護警備等における活動
警衛・警護警備や雑踏警備等に当たっては、固定カメラやヘリコプターテレビシステムにより撮影された現場状況等の映像を、衛星通信車等により通信対策室に集約し、テロップ挿入等の編集や警備実施状況に合わせた映像切替などを行い、警備本部等に伝送します。また、警備本部等から現場警察官への指揮命令や連絡等を円滑に行うための通信系統を迅速、的確に確保するほか、警察無線が届かない場合には臨時無線中継所を設置します。
2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会開催に伴う警備(以下「オリパラ警備」という。)においては、IPR形警察移動無線通信システムや高度警察情報通信基盤システム等によって現場警察官への指揮命令や連絡等を円滑に行うための通信系統を迅速、的確に確保しました。
また、臨時に設置した固定カメラやヘリコプターテレビシステム等を用いて、撮影した映像を通信対策室に集約し、テロップ挿入等の編集や警備実施状況に合わせた映像切替などを行い、警備本部等に伝送するなどして、大会関係者や国内外要人の安全確保及び大会の円滑な遂行に貢献しました。
事件捜査における活動
事件捜査に当たっては、必要に応じて機動警察通信隊が直ちに現場に出動し、捜査員と連携の上、現場映像の伝送や通信手段の確保を行います。
具体的には、固定カメラ、デジタル映像モバイル伝送システム等を設置・運用し、現場映像を撮影・伝送するほか、指揮命令系統に沿って迅速、的確に通信系を構築します。
各種訓練
各種事案への対応力強化のため、機動警察通信隊は、都道府県警察と共に、各種災害、事故、重大事件等を想定した合同の実戦的な訓練を継続的に実施しています。
また、犯罪の広域化、大規模災害等に対応するため、複数の都道府県等の機動警察通信隊による合同の実戦的な訓練や他機関との共同訓練を実施しています。