「教官」というより「一人の先輩」として
現場の熱量を伝えていく。
私は平成23年に警察学校に着任し、教官歴は今年で4年目。それまでは警備部門で勤務し、要人警護や治安警備など、様々な現場を経験してきました。東日本大震災発災時は被災地での救助活動にも従事しました。
私たち警察学校の教官はあくまでも現職の警察官であり、一般の学校のように教えることを専門とした教職員が授業を行なうわけではありません。そのため、私たちは「先生」というより「一人の先輩」として、生徒一人ひとりに正面から向き合い、現場の熱量を伝えることを常に心掛けています。授業でも自分の恥ずかしい失敗談をよく話します。ただ教科書に向かうだけでは、現場でどうすればいいのか、本当の意味で理解することは難しいと思っているからです。こうした現場の空気感や生の経験のほうが、生徒の心に残ると信じています。
制服をまとった瞬間から、一人の警察官。
現場の厳しさに打ち勝つ授業を。
私の指導方針は「平等」です。性別や過去の経験を始め、生徒たちにも様々な違いがあると思いますが、現場に出ればそういったことは関係ありません。全員が人々にとって「頼れる警察官」でなければならないのです。現場では「若手だから」「女性だから」と犯人に手加減してもらえることなど一切ないのです。だからこそ、学校では男女・経験の差に関わらず、全員が同じように実力を付けられるよう接しています。
また、警察学校というと「厳しい指導」のイメージがあるかもしれませんが、これは緊迫した現場において常に焦らず、動じず、冷静に対処できる精神力を養うためです。そのため、指導とはあくまでも一方的に「怒る」ことではなく、失敗の原因や明確な改善点を示して愛情を持って「叱る」ことで生徒一人ひとりの自覚を促すものだと考えています。
警察官の仕事は「ひと対ひと」。
相手を思いやる心と優しさを持ってほしい。
警察官の仕事には「相手を思いやる心」と「優しさ」が不可欠です。そのため、警察学校で、同期生たちと絆を深め、相手を思いやり、優しさを持って接することの大切さを学んでほしいと思っています。警察学校で学んだその気持ちが、現場の警察官に最も必要とされる「地域住民の方々のため」、「困っている人を助けるため」という強い思いへとなっていきます。