警察庁 National Police Agency

警察庁ホーム  >  犯罪被害者等施策  >  公表資料の紹介:犯罪被害者白書  >  平成26年版 犯罪被害者白書  >  1 相談及び情報の提供等(基本法第11条関係)

目次]  [戻る]  [次へ

第4節 支援等のための体制整備への取組

1 相談及び情報の提供等(基本法第11条関係)

(1) 地方公共団体における総合的対応窓口の設置の促進等

【施策番号141】

ア 内閣府において,地方公共団体に対し,犯罪被害者等施策主管課室長会議や地方公共団体職員を対象とする研修会など,様々な機会を通じ,犯罪被害者等からの問合せ・相談があった場合に総合的な対応を行う窓口(以下「総合的対応窓口」という。)の設置を要請しており,都道府県・政令指定都市については,平成23年度以降,全地域において,総合的対応窓口が設置されている(都道府県・政令指定都市における総合的対応窓口の設置状況等は,資料9-1参照)。

また,内閣府において,平成20年に「犯罪被害者支援ハンドブック・モデル案」を作成・配布した上で(http://www8.cao.go.jp/hanzai/kohyo/handbook/handbook.html),犯罪被害者等施策主管課室長会議や地方公共団体職員を対象とする研修会など,様々な機会を通じ,地方公共団体に対して「犯罪被害者支援ハンドブック(仮称)」の作成・活用等を働きかけている。平成26年4月1日現在,51都道府県・政令指定都市及び15市区町において,犯罪被害者等の支援のために有効な諸制度・取組を担っている関係機関・団体及び庁内関係部局について整理した「犯罪被害者支援ハンドブック(仮称)」が作成されている。

さらに,関係省庁と地方公共団体あてに送付している「犯罪被害者等施策情報メールマガジン」では,各省庁の犯罪被害者等施策,各地方公共団体の先進的な取組事例などを紹介し,情報共有を図っている。

【施策番号142】

イ 内閣府において,市区町村における犯罪被害者等施策担当窓口となる部局の確定状況等について確認し,犯罪被害者白書に掲載するとともに,犯罪被害者等施策主管課室長会議や地方公共団体職員を対象とする研修会などの機会を通じ,市区町村における施策担当窓口(以下「施策主管課」という。)の確定及び総合的対応窓口の設置を促進するよう要請している。

平成26年4月1日現在,全国1,722市区町村(政令指定都市を除く)中,1,691市区町村(約98%)において施策主管課が確定され,1,390市区町村(約81%)において総合的対応窓口が設置されている(市区町村における施策主管課の確定状況等は,資料9-2及びhttp://www8.cao.go.jp/hanzai/local/bukyoku/bukyoku.html参照)。

また,平成25年度は,広島県,香川県及び福岡県の職員等に向けて,犯罪被害者等施策への理解の促進や犯罪被害者等への対応のために必要となる基礎的知識等を習得するための研修会を実施したほか,茨城県及び福島県が開催した会議・研修において,市区町村における施策主管課の確定及び総合的対応窓口の設置に向けて働きかけた。

市区町村における犯罪被害者等施策主管課の確定状況(政令指定都市を除く)(平成26年4月1日現在)
市区町村における総合的対応窓口の設置状況(政令指定都市を除く)(平成26年4月1日現在)

(2) 地方公共団体における性犯罪被害者支援への取組の促進

【施策番号143】

内閣府では,地域の男女共同参画センター等において,性犯罪被害者が安心して必要な相談・支援を受けられる環境を整備するためにその事業の企画等を担当する職員や相談員等を対象とした研修を実施し,先進的な好事例を紹介するとともに,地方公共団体などの関係機関の効果的な連携による性犯罪被害者支援の取組事例等について調査研究を実施した(【相談先整理番号14】参照)。また,平成26年度は,地方公共団体における性犯罪被害者等への支援に関する取組を促進するため,様々な取組を実証的に調査研究する事業を予算措置している。

(3) 性犯罪被害者に対する緊急避妊に関する情報提供

【施策番号144】

【施策番号47】参照

(4) 医療機関における性犯罪被害者への対応の体制の整備

【施策番号145】

【施策番号48】参照

(5) 性犯罪被害者対応における看護師等の活用

【施策番号146】

【施策番号49】参照

(6) 性犯罪被害に遭った児童生徒への対応の充実

【施策番号147】

【施策番号61】【施策番号62】参照

(7) ワンストップ支援センターの設置促進

【施策番号148】

ア 【施策番号50】参照

【施策番号149】

イ 【施策番号51】参照

【施策番号150】

ウ 【施策番号52】参照

【施策番号151】

エ 【施策番号53】参照

(8) コーディネーターとしての役割を果たせる民間支援員の養成への支援

【施策番号152】

内閣府において,認定特定非営利活動法人全国被害者支援ネットワークが開催する全国研修会に講師を派遣し,犯罪被害者等に対する支援全般をマネジメントするコーディネーターとしての役割を果たせる人材の育成を支援した。

また,民間の団体で支援活動を行う者の養成・研修を実施する際の研修教材として,内閣府において平成22年度に作成し,都道府県・政令指定都市,犯罪被害者支援団体等に配布したDVDが,犯罪被害者支援団体における人材育成研修等において活用されている。

警察において,認定特定非営利活動法人全国被害者支援ネットワークをはじめとする被害者支援団体に対し,研修内容に関しての助言や講師派遣などの協力を行っている。また,犯罪被害者等が必要とする支援についての相談や情報提供,適切な機関・団体への橋渡しなど,犯罪被害者等に対する支援全般を管理するコーディネーターとしての役割を果たす民間支援員の育成を支援するため,被害者支援連絡協議会等で具体的事例を想定した犯罪被害者支援についての実践的なシミュレーション訓練を実施している(被害者支援連絡協議会については,下記【施策番号154】参照)。

(9) 警察と関係機関・団体等との連携・協力の充実・強化及び情報提供の充実

【施策番号153】

警察において,他の犯罪被害者等支援に係る関係機関・団体などとの連携・協力を充実・強化し,それらの関係機関・団体などの犯罪被害者等支援のための制度などを説明できるよう努めている。さらに,犯罪被害者等支援のための諸制度を所掌する省庁の協力を得て,当該制度に関する案内書,申込書などを常備し,犯罪被害者等に提供している。

(10) 被害者支援連絡協議会及び被害者支援地域ネットワークにおける連携の推進

【施策番号154】

警察において,生活上の支援をはじめ,医療,公判に関することなど極めて多岐にわたる犯罪被害者等のニーズに応え,総合的な支援を行うため,警察のほか,地方検察庁,弁護士会,日本司法支援センター,医師会,臨床心理士会,知事部局や市の担当部,県や市の相談機関などによる「被害者支援連絡協議会」を全都道府県に設立し,関係機関・団体などの相互の連携を図っている。また,個々の事案において,犯罪被害者等の具体的なニーズを把握し,よりきめ細かな総合的支援を行うために,警察署を単位とした連絡協議会(被害者支援地域ネットワーク)を構築している。

平成25年4月1日現在,被害者支援連絡協議会が47(全都道府県),被害者支援地域ネットワークが1,125(全警察署数1,173)設置されている。

警察と関係機関・団体などとのネットワーク

(11) 警察における相談体制の充実等

【施策番号155】

警察において,犯罪被害の未然防止に関する相談など各種相談に応じる窓口を設置している。また,電話による相談についても,全国統一番号の警察相談専用電話「♯9110」番を設置するとともに,このような総合的な相談に加え,犯罪被害者等のニーズに応じて,性犯罪相談,少年相談,消費者被害相談など個別の相談窓口を設け,相談体制の充実に努めている。さらに,犯罪被害者の住所地や,匿名や実名であるかにかかわらず相談に応じるとともに,犯罪被害者の要望により,被害者支援連絡協議会などのネットワークに参画する関係機関・団体に関する情報提供やこれらへの引継ぎを行うなど,犯罪被害者がより相談しやすく,より負担が少なくなるような対応に努めている(【相談先整理番号2】参照)。

また,警察庁から委託を受けた民間団体が,特定の犯罪等に関する通報を匿名で受け付け,有効な通報を行った者に対して情報料を支払う「匿名通報ダイヤル」を運用し,犯人の検挙や犯罪被害者の早期保護などに役立てている(【施策番号81】参照)。

このほか,各都道府県警察本部・警察署において,交通事故の当事者からの相談に応じ,

  • 保険請求,損害賠償請求制度の概要の説明
  • 被害者援助,救済制度の概要の説明
  • 各種相談窓口,被害者支援組織,カウンセリング機関の紹介
  • 示談,調停,訴訟の基本的な制度,手続などの一般的事項の説明

などを実施している。

また,都道府県警察において,死亡事故などの一定の交通事故事件の被害者等から,当該交通事故などを起こした加害者に対する意見の聴取等の期日などや行政処分の結果についての問合せがあった場合に,それぞれ適切に対応しており,平成25年中の都道府県警察における意見の聴取等の期日などに関する問合せに対する回答件数は4件,行政処分の結果に関する問合せに対する回答件数は19件であった。

さらに,都道府県交通安全活動推進センターにおいても,職員のほか,弁護士などが,交通事故被害者等からの相談に応じ,適切な助言を行っており,平成24年度中の同センターにおける交通事故相談回数は14,511回であった。

(12) 「指定被害者支援要員制度」の活用

【施策番号156】

警察において,専門的な被害者支援が必要とされる事案が発生したときに,捜査員とは別に指定された警察職員が犯罪被害者等への付添い,説明などの事件発生直後における犯罪被害者支援活動を行う「指定被害者支援要員制度」を各都道府県警察で導入している。

平成25年12月末現在,指定被害者支援要員として全国で3万3,687人が配置されている。

指定被害者支援要員制度
対象事件 〇殺人,傷害,強姦等の身体犯
〇ひき逃げ事件,交通死亡事故
〇その他事案により必要と認められる事件 等
任務 〇付添い
・事件発生直後早期に臨場し,自己紹介
・医師の診察が必要な場合の病院の手配,付添い
・実況見分の立会い
・自宅等への送迎
〇ヒアリング
・心配事の相談受理(身の回りの世話など)
・事情聴取や被害者調書の作成又はそれらの補助
〇説明
・「被害者の手引」の交付
・刑事手続等の説明
・家族,会社,学校などに対する説明,連絡
〇民間の被害者支援団体,部外のカウンセラー等の紹介,引継ぎ
 
等を必要に応じて行います。
提供:警察庁
  • 海上保安庁において,犯罪被害者等の支援,関係機関との連絡調整を行う犯罪被害者支援主任者を部署ごとに指定し,犯罪被害者等の個々の具体的な事情を把握し,その事情に応じ犯罪被害発生直後から犯罪被害者等へ必要な助言,情報提供などを行うとともに,具体的な支援の説明を行うなど,犯罪被害者等への経済的・精神的負担の軽減に努めている。

(13) 交通事故相談活動の促進

【施策番号157】

内閣府において,地方公共団体の交通事故相談活動の推進を図るため,相談員としての基本的な心構えや知識の習得を目的とした「交通事故相談員中央研修会(初任者コース)」を開催した。さらに,被害者等からの相談に対する相談員の対応能力を向上させるため,「交通事故相談員総合支援事業」を通じて,都道府県・政令指定都市の交通事故相談活動(平成24年度の相談件数は都道府県58,364件,政令指定都市10,317件)に対する支援を行っている(【相談先整理番号16】参照)。

また,交通事故被害者等の支援の充実を図ることを目的として,自助グループ活動を促進するための自助グループ連絡会議,交通事故相談所,犯罪被害者支援センター等の関係団体間の連携の強化を図るための「各種相談窓口等意見交換会」等を行う「交通事故被害者サポート事業」を実施している。

平成25年度は,「交通事故で家族を亡くした子どもの支援」に関するシンポジウムを開催した。本シンポジウムは,交通事故で家族を亡くした子どもに焦点を当て,精神的支援に関する専門家の講義,遺族の講演,内閣府における取組等が紹介された。なお,一般の参加も可能とするオープンなシンポジウム形式での開催は,内閣府の交通事故被害者サポート事業として初めての試みであった。また,平成25年度に開催した意見交換会には,日本司法支援センターの新たな参加を得て,各参加機関・団体が行う被害者救済業務に関して情報交換を行った。

(14) 警察における被害少年が相談しやすい環境の整備

【施策番号158】

全都道府県警察において,「ヤングテレホンコーナー」などの名称で電話による少年相談窓口を設置するとともに,少年サポートセンターや警察署の少年係が少年や保護者などからの相談を受け付けている(【相談先整理番号7】参照)。

平成26年4月1日現在,全国196か所に少年サポートセンターが設置されているが,そのうち67か所は,少年や保護者などが気軽に立ち寄ることができるよう,警察施設以外の施設に設置されている。

少年サポートセンター

(15) ストーカー事案への適切な対応

【施策番号159】

警察において,ストーカー行為者の検挙,ストーカー規制法に基づく警告,禁止命令等により被害の発生,拡大防止を図っている。

各種法令に抵触しない場合でも,必要に応じて,ストーカー行為者に対する指導・警告を行うとともに,被害者等に自分の身を守るための方策を教示したり,避難等が必要である場合は婦人相談所等の関係機関を教示するなど,被害者等の立場に立った積極的な対応を図っている。

平成25年中のストーカー規制法に基づく警察本部長等の援助件数は6,770件となっており,「被害防止措置の教示」や「被害防止に資する物品の教示又は貸出し」などの援助を行っている(「ストーカー事案及び配偶者からの暴力事案の対応状況について」:http://www.npa.go.jp/safetylife/seianki/stalker/25DV.pdf)。

なお,平成25年にはストーカー規制法の改正が行われ,電子メールの連続送信行為の規制や禁止命令等をすることができる公安委員会等の拡大,婦人相談所その他適切な施設によるストーカー被害者支援が追記された。

また,昨今においても重大な結果を生じさせる事案が発生していることから,警察では,ストーカー事案等に一元的に対処するための体制を全国の警察本部に確立し,迅速かつ的確な対応の徹底を図っているほか,被害者に対し,事案の危険性や警察の執り得る措置等を分かりやすく説明する「被害者の意思決定支援手続」や事案の危険性等を判定する「危険性判断チェック票」の導入,逮捕状請求における被疑事実の要旨記載に際しての被害者に関する事項の表記方法への配慮,保護観察付執行猶予者である行為者の特異動向の把握等に関する保護観察所等との連携強化,被害者支援における婦人相談所,日本司法支援センター等の関係機関との協力等,被害の拡大及び再被害の防止対策を推進している(【相談先整理番号12】参照)。

ストーカー事案に対する警察の対応の流れ

(16) 人身取引被害者の保護の推進

【施策番号160】

人身取引対策に関する関係省庁において,「人身取引対策行動計画2009」(平成21年12月22日犯罪対策閣僚会議決定)に基づき,被害者保護のための各種施策を推進している。

人身取引対策に関する関係省庁連絡会議において,平成22年6月には,「人身取引事案の取扱方法(被害者の認知に関する措置)」を,平成23年7月には,「人身取引事案の取扱方法(被害者の保護に関する措置)」をそれぞれ申し合わせ,両申合せに基づき,関係省庁で適切な措置を講じている。

また,人身取引対策に関する関係省庁連絡会議として,平成25年6月,「外国人労働者問題啓発月間」に,同年11月,「女性に対する暴力をなくす運動」にそれぞれあわせ,人身取引に係る政府広報を実施した。

さらに,25年9月,人身取引被害の防止及び人身取引被害者の保護を一層推進するため,人身取引対策に関する関係省庁連絡会議とNGO関係者の協議の結果,人身取引と疑われる事例をNGO関係者が把握した場合には,現場レベル及び国レベルの公的機関に確実に通報することで両者の合意を得た。

(17) 検察庁の犯罪被害者等支援活動における福祉・心理関係の専門機関等との連携の充実

【施策番号161】

法務省において,犯罪被害者等に配慮した捜査・公判活動を行うため,検察官などの研修において,福祉・心理関係の専門機関の関係者を講師に招くなど,その連携・協力の充実・強化を図っている。

(18) 検察庁における被害者支援員と関係機関・団体等との連携・協力の充実・強化及び情報提供の充実

【施策番号162】

検察庁において,被害者等に対し,よりきめ細かな配慮を行うため,犯罪被害者等の支援に携わる「被害者支援員」を配置し,特に大規模庁においては,常時複数名を配置している。

被害者支援員は,犯罪被害者等からの様々な相談への対応,法廷への案内・付添い,事件記録の閲覧や証拠品の返還等の各種手続の手助けなどをするほか,犯罪被害者等の状況に応じて精神面,生活面,経済面などの支援を行っている関係機関や団体などを紹介するなどの支援活動を行っている。

被害者支援員を対象とする研修において,被害者支援団体の関係者を講師に招いているほか,日々の活動として,被害者支援団体等との意見交換の場を設けるなど,被害者支援状況についての情報交換を行い,その連携・協力の充実・強化を図るとともに,被害者支援員の意義や役割についても記載されている犯罪被害者等向けパンフレット「犯罪被害者の方々へ」を犯罪被害者支援関係機関・団体等に配布するなどして被害者支援員制度に係る情報提供の充実を図っている。

また,犯罪被害者等による電話やファックスでの被害相談の受付のため,検察庁に,被害者相談専用電話であるホットラインを置き,被害者支援員等が電話対応をしている(【相談先整理番号56】参照)。

(19) 地方公共団体に対する子ども・若者育成支援についての計画に関する周知

【施策番号163】

内閣府において,都道府県・政令指定都市に対し,平成24年1月に開催した都道府県・指定都市青少年行政主管課長等会議において,子ども・若者育成支援推進法(平成21年法律第71号)に基づく子ども・若者育成支援についての計画を作成又は変更する場合には,「子ども・若者ビジョン」(平成22年7月23日子ども・若者育成支援推進本部決定)に盛り込まれた「犯罪被害に遭った子ども・若者とその家族等への対応」に関する記述も勘案するよう,周知した。

(20) 「子どもの人権110番」及び人権擁護委員の活用・充実

【施策番号164】

法務省の人権擁護機関において,平成25年6月24日から同年6月30日までの間を「全国一斉『子どもの人権110番』強化週間」(「子どもの人権110番」については,【相談先整理番号8】参照)とし,相談時間を延長するなどして虐待・いじめ・体罰等,子どもの人権問題に関する相談に積極的に応じており,同強化週間は平成26年度も実施を予定している(6月23日から6月29日まで)。

また,「全国一斉『女性の人権ホットライン』強化週間」(「女性の人権ホットライン」については,【相談先整理番号13】参照)を実施して相談体制の充実に努めているほか,高齢者,障害者を対象とした全国一斉「高齢者・障害者の人権あんしん相談」強化週間の実施や,全国8か所の法務局・地方法務局に英語や中国語などの通訳を配置した「外国人のための人権相談所」の開設など,犯罪被害者等からの人権相談に幅広く応じている。

平成25年中における犯罪被害者等からの相談件数は312件であった。

子どもの人権110番ポスター

(21) 教育委員会と関係機関・団体等との連携・協力の充実・強化及び学校における相談窓口機能の充実

【施策番号165】

文部科学省において,性犯罪の被害者を含めて児童生徒等の相談等に対して適切に対応できるよう,児童生徒の臨床心理に関して高度に専門的な知識・経験を有するスクールカウンセラーの配置に対して補助を行ってきた。

また,児童虐待などの問題へ対応するため,教育分野に関する知識に加えて,社会福祉の専門的な知識・技術を用いて児童生徒を支援するスクールソーシャルワーカーを,各地域の実情に応じて学校などの教育機関に配置する地方自治体の取組に対して補助を行っている。

さらに,平成24年11月には,文部科学省において,犯罪行為として取り扱われるべきと認められるいじめ事案については,いじめられている児童生徒を徹底して守り通すという観点から,早期に警察へ相談・通報し,警察と連携した対応を取ることが重要であること等を示した「犯罪行為として取り扱われるべきと認められるいじめ事案に関する警察への相談・通報について」を発出した。25年1月には,警察庁から都道府県警察に対して,「学校におけるいじめ問題への的確な対応について」(通達)を発出するとともに,これを踏まえ,文部科学省においても,「いじめ問題への的確な対応に向けた警察との連携について」(通知)を発出し,児童生徒の生命・身体の安全が脅かされているような重大ないじめ事案については,学校・教育委員会と警察との連携の下,いじめられている児童生徒の安全の確保のため必要な措置を行い,事案の更なる深刻化の防止を図ることなど,学校・教育委員会と警察が連携・協力していく上での留意事項を示した。加えて,25年5月には,どのような行為が犯罪行為に該当するのかについての理解を促すため,学校において生じる可能性がある犯罪行為について,いじめの態様別にまとめた,「早期に警察に相談・通報すべきいじめ事案について」(通知)を発出している。

なお,犯罪被害者等施策にかかわる省庁の協力を得て,「被害者の手引」など当該制度に関する案内書や申込書を教育委員会に常備し,教育関係者などに提供している。

(22) 学校内における連携及び相談体制の充実

【施策番号166】

文部科学省において,学校内で児童生徒等の相談などに適切に対応ができるよう,スクールカウンセラーの配置の拡充,生徒指導推進協力員・学校相談員,スクールカウンセラーの緊急支援のための派遣に対して補助を行ってきた。

平成25年度においても小・中学校等にスクールカウンセラーを適切に配置できる経費(約2万4千校分)を補助し,相談体制などの充実を図っている。

スクールカウンセラー配置校(箇所)数の推移(平成20年度~平成25年度)

(23) 学校における相談対応能力の向上等

【施策番号167】

文部科学省において,学校の教職員が児童生徒の相談などに的確に対応できるよう,生徒指導の指導者となる教員に対して教育相談に関する研修を実施している。

また,教育相談体制の充実等については,【施策番号61】【施策番号62】参照

(24) 相談及び情報提供のための教育委員会による取組の促進

【施策番号168】

【施策番号165】参照

(25) 各都道府県警察に対する犯罪被害者等への情報提供等の支援に関する指導・督励及び好事例の勧奨

【施策番号169】

警察庁において,情報提供をはじめとする基本的な犯罪被害者支援施策が確実に実施されるよう,各種会議などを通じて各都道府県警察に対し指導・督励や好事例の勧奨を行うとともに,毎年,被害者支援担当者体験記を発行し,各都道府県警察に配付している。

(26) 「被害者の手引」の内容の充実等

【施策番号170】

ア 警察庁において,平成20年11月,「被害者の手引」モデル案を改訂し,新たに,被害者参加制度や損害賠償命令制度の情報を掲載したほか,刑事手続や裁判で利用できる制度についての情報や,犯給制度などの経済的支援や被害の回復についての情報,各種相談機関・窓口についての情報の充実を図っている(【相談先整理番号56】参照)。

また,平成22年4月,少年事件の処理の流れが分かりやすく「被害者の手引」に示されるようそのモデル案を作成するなど,少年犯罪の被害者に向けた情報提供の充実を図っている。

「被害者の手引」は,これまでと同様に被害者連絡の対象者に配布するほか,被害者連絡の対象者以外にも,刑事手続・犯罪被害者等のための制度を教示する際などに広く活用することとしている。

また,これら犯罪被害者等のための制度等に関する情報は,ホームページ上でも紹介している。

【施策番号171】

イ 【施策番号118】参照

(27) 犯罪被害者等の保護・支援のための制度の周知

【施策番号172】

損害賠償請求制度に関する情報提供の充実については,【施策番号4】参照。

警察において,犯罪被害遺児に対する奨学金給与事業等を実施している公益財団法人犯罪被害救援基金(http://kyuenkikin.or.jp)について情報提供を行っている。同基金では,昭和56年5月の基金設立以来,平成26年3月までに1,964人の犯罪被害遺児を奨学生として採用し,約22億9,550万円の奨学金を給与している。また,同基金では,平成20年12月から,基本法の趣旨を踏まえ,現に著しく困窮している犯罪被害者等であって,社会連帯共助の精神に則り特別な救済を図る必要があると認められる者に対して支援金を支給する事業を実施しており,平成20年度から平成25年度までに,海外での殺人事件の遺族2人と,現に著しく困窮している被害者5人に総額1,850万円を支給している(【相談先整理番号50】参照)。

  • 海上保安庁において,ホームページ(http://www.kaiho.mlit.go.jp/info/hanzaihigai/index.files/hanzaihigai.pdf)で犯罪被害者支援制度に係る周知を図るとともに犯罪被害者等支援に係る業務を専門的かつ総合的に取り扱う警務管理官の指導の下,犯罪被害者等支援主任者に指名された海上保安官により,関係機関との連携・情報提供などに努めている。

(28) 刑事の手続等に関する情報提供の充実

【施策番号173】

ア 【施策番号117】参照

【施策番号174】

イ 【施策番号119】参照

(29) 医療機関等と関係機関・団体等との連携・協力の充実・強化及び医療機関における情報提供等の充実

【施策番号175】

ア 厚生労働省において,医療機関等が犯罪被害者等支援に係る諸機関・団体等と連携・協力できるよう,犯罪被害者等の支援等に関する情報提供を必要に応じて実施するなど,適切に対応している。

【施策番号176】

イ 【相談先整理番号32】【相談先整理番号34】参照

(30) 性犯罪被害者による情報入手の利便性の拡大

【施策番号177】

平成25年4月現在,全国の都道府県警察本部において,女性警察官などによる性犯罪電話相談の受理体制,相談室が整備されている(【相談先整理番号11】参照)。

(31) 地域包括支援センターによる支援

【施策番号178】

【相談先整理番号15】参照

(32) 日本司法支援センターによる支援

【施策番号179】

ア 【施策番号2】参照

【施策番号180】

イ 【施策番号116】参照

【施策番号181】

ウ 日本司法支援センターの犯罪被害者支援業務においては,警察庁や日本弁護士連合会などの関係機関・団体に対する同センターの周知とともに,これら関係機関・団体と十分な連携を図っていくことが求められており,各都道府県警察などが事務局となって主催している被害者支援連絡協議会のほか,警察,地方公共団体,日本弁護士連合会,民間被害者支援団体などの関係機関・団体を招いて開催する地方協議会において被害者参加制度や被害者参加人のための国選弁護制度に関する説明及び被害者週間における啓発・広報活動などを行い,被害者支援に関する関係機関・団体との連携・協力関係の強化を図った。

これらの取組を通じて,日本司法支援センターは,犯罪被害者等の支援に携わる弁護士によるサービスの質の向上を目指し,弁護士会や犯罪被害者支援団体との連携・協力の下,犯罪被害者支援のための研修について広く実施できるよう努めたり,犯罪被害者等が必要とする支援にたどり着けるよう,犯罪被害者等の内容に応じた最適の専門機関・団体を紹介するコーディネーターとしての役割を果たしたりしている。

犯罪被害者支援ダイヤルで対応した問合せに対する紹介先(平成24年度)
地方事務所で対応した問合せに対する紹介先(平成24年度)

今後も,各地の関係機関・団体とより緊密な連携・協力関係を構築するため,関係機関・団体が実施する連絡会議において,業務現況の説明や協力要請,実務担当者間における情報交換の実施などの積極的な働きかけ,取組を行っていく。

犯罪被害者支援ダイヤル(【相談先整理番号4】参照)における平成25年4月1日から平成26年1月末日までの問合せ件数は9,257件であった。主な問合せ内容は,生命・身体犯被害,配偶者等からの暴力(DV),性被害,ストーカー被害などである。

全国の地方事務所における電話及び担当者との面談による犯罪被害者支援に関する情報提供件数は平成25年4月1日から平成26年1月末日までに12,182件であった。

日本司法支援センターによる支援
業務 平成20年度 平成21年度 平成22年度 平成23年度 平成24年度 平成25年度※
犯罪被害者支援業務
    犯罪被害者支援ダイヤル受電件数 8,541件 10,429件 10,482件 9,780件 11,048件 9,257件
  地方事務所受付件数 11,403件 15,616件 14,089件 13,096件 15,582件 12,182件
※平成25年度は,平成26年1月末現在の速報値である。
提供:法務省

(33) 自助グループの紹介等

【施策番号182】

【相談先整理番号2】参照

(34) 犯罪被害者等施策のホームページの充実

【施策番号183】

内閣府において,犯罪被害者等施策に関する情報(関係法令,相談機関,地方公共団体における犯罪被害者等施策担当窓口部局など)を犯罪被害者等施策のホームページ(http://www8.cao.go.jp/hanzai/contents.html)に掲載し,適宜,見直し作業を行っている。また,犯罪被害者白書の概要版について,英文による情報提供も行っている。

さらに,SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)サイトを活用し(http://www8.cao.go.jp/hanzai/sns/facebook.html),各地における事業の紹介等,犯罪被害者等施策に関する情報発信を行っている。

引き続き,コンテンツの充実を図るとともに,国民への適切な情報発信に努めていく。

犯罪被害者等施策ホームページ

(35) インターネット以外の媒体を用いた情報提供

【施策番号184】

各省庁において,インターネットなどで情報を得ることができる者とそうでない者との間に不公平が生じることのないよう配慮するとともに,積極的な情報提供に努めている。

内閣府において,各省庁の施策や民間支援団体等の活動状況などについて,毎年犯罪被害者白書を発行しており,犯罪被害者等と接点を有する関係省庁・機関,地方公共団体,民間犯罪被害者支援団体等に送付するほか,これら関係省庁等との会議等面談の機会や,広報啓発活動(コラム13「犯罪被害者週間の実施」参照)時の展示スペースの活用などを通じ,犯罪被害者等に情報提供を行っている。また,犯罪被害者白書公表や「犯罪被害者週間」広報啓発事業の開催に当たり,メディアに対して説明するなど,積極的な情報提供に努めている。

犯罪被害者週間中央イベントでのポスター等展示状況

警察庁において,「被害者の手引」(【施策番号170】参照)・「警察による犯罪被害者支援」(【施策番号230】参照)などにより積極的な情報提供に努めている。

総務省において,住民基本台帳の閲覧制度改正について,地方公共団体に対する説明会を開催し,その模様を自治体衛星通信機構において放映するとともに,同通信機構において紹介番組を放映した。また,ポスターやリーフレットを作成し,全市町村の窓口に配置した。

法務省において,犯罪被害者等向けパンフレット「犯罪被害者等の方々へ」,犯罪被害者等向けDVD「もしも…あなたが犯罪被害に遭遇したら」などにより積極的な情報提供に努めている(【施策番号117】参照)。

文部科学省において,犯罪被害者等施策にかかわる省庁の協力を得て,「被害者の手引」など当該制度に関する案内書や申込書を教育委員会に常備し,教育関係者などに提供している。

厚生労働省において,児童虐待について幅広く国民の理解を深め,社会的関心を喚起するため,全国フォーラムの開催,広報啓発ポスター・リーフレットの作成,配布,政府広報を活用したラジオや新聞等により児童相談所全国共通ダイヤルの周知徹底を図るなどの広報啓発活動を実施している(【施策番号225】参照)。

国土交通省において,公営住宅の管理主体に対し,配偶者からの暴力被害者や犯罪被害者等を対象とした公営住宅への入居に係る配慮を依頼する通知を発出し,地方公共団体においても,募集パンフレットへの記載等を通じて,適切な運用が図られるよう努めている。

(36) 更生保護官署と保護司との協働による刑事裁判終了後の支援の充実

【施策番号185】

法務省において,全国の保護観察所に被害者担当官及び被害者担当保護司を配置し,その協働態勢の下,主として,被害に係る刑事裁判が終了した後又は被害に係る加害者が保護処分を受けた後に,犯罪被害者等に対して相談・支援を行っている。相談・支援の実施においては,犯罪被害者等の悩みや不安を傾聴するとともに,犯罪被害者支援に必要な情報を提供するなどしているほか,支援の円滑な実施及び支援内容の充実を期するため,国や地方公共団体の機関,犯罪被害者等の援助を行う民間の団体等との連携の強化を図り,協力関係を発展させるよう努めている(【相談先整理番号56】参照)。

(37) 保護司に対する研修等の充実

【施策番号186】

法務省において,刑事裁判及び少年審判終了後の相談対応の充実のため,保護観察所に配置されている被害者担当保護司を対象とする研修における犯罪被害者等支援の実務家による講義,事例研究及び犯罪被害者等支援の実践的技能を修得させるためのロールプレイ方式による演習の実施など,被害者担当保護司の犯罪被害者等への適切な対応を確実にするための研修等の充実を図っている。また,被害者担当保護司以外の保護司を対象とした研修においても,更生保護における犯罪被害者等施策を取り上げ,研修内容の充実を図っている。

(38) 犯罪被害者等である児童生徒が不登校になった場合における継続的支援の促進

【施策番号187】

文部科学省において,不登校児童生徒への対応に際して,中核的な機能を果たす教育支援センター(適応指導教室)などの整備充実を促進するとともに,平成25年度は,「いじめ対策等生徒指導推進事業」において,いじめによる不登校などの問題を抱える児童生徒に対する効果的な支援について,教育支援センター(適応指導教室)における指導・支援,外部人材や関係機関とのネットワークを活用した支援の在り方などの観点から,調査研究を実施し,その内容は連絡協議会等により普及を図っている。

(39) 犯罪被害者等である児童生徒が問題を抱えるに至った場合における継続的支援の促進

【施策番号188】

文部科学省において,犯罪被害者等である児童生徒が問題行動を起こすに至った場合には,問題行動を起こす個々の児童生徒に着目して的確な対応を行うため,学校,教育委員会,関係機関からなるサポートチームの組織化など,地域における支援システム作りを行い,警察庁と共催による「問題行動に対する連携ブロック協議会」を開催し,各地域における効果的な取組の普及を図っている。

また,平成25年度は,「いじめ対策等生徒指導推進事業」において,いじめや暴力行為などの問題を抱える児童生徒に対する効果的な支援について調査研究を実施し,その内容は連絡協議会等により普及を図っている。

さらに,その他の問題については,児童生徒の抱える問題に適切に対応できるよう,スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置に必要な経費を補助し,教育相談体制の充実を図っており,平成24年度においては,スクールカウンセラーを小中学校等17,621箇所に,スクールソーシャルワーカーを教育委員会等に784人配置している。

(40) 日本司法支援センターによる長期的支援

【施策番号189】

日本司法支援センターにおいて,被害を受けた時からの時間的経過の長短を問わず,情報提供などを通じた支援を行っている。

(41) 海外における邦人の犯罪被害者等に対する情報提供等

【施策番号190】

在外公館が提供する支援については,【相談先整理番号23】参照。

外務省において,海外で邦人の犯罪被害を未然に防止するとともに,被害に遭った場合の対処法について広く周知を図るため,広報冊子「~海外旅行のトラブル回避マニュアル~海外安全虎の巻」や,「海外で困ったら~大使館・総領事館のできること~」を改訂の上,全国の都道府県旅券事務所や旅行会社,在外公館などに配布するとともに,海外安全ホームページ(http://www.anzen.mofa.go.jp/pamph/pamph.html)にも掲載し,より多くの国民がこれらの情報を入手しやすくなるよう努めた。今後とも,これら広報資料の改訂や海外安全ホームページでの掲載を通じ,海外における邦人の犯罪被害者等に対する情報をさらに分かりやすくするとともに,国民が事前にこれらの情報を得る機会が増加するよう取り組んでいく。

海外安全虎の巻,海外で困ったら

平成24年(2012年)に,在外公館及び財団法人交流協会(台湾)が取り扱った海外における犯罪被害に係る援護件数は5,457件(5,852人)であり,そのうち最も多いものは「窃盗被害」(4,456件,4,761人)となっており,これに「詐欺被害」(461件,496人),「強盗被害」(281件,309人)が続いている。

2012年に在外公館が取り扱った邦人の犯罪被害援護件数
件名 件数 人数
殺人 13 17
傷害・暴行 121 131
強姦・強制猥褻 36 39
脅迫・恐喝 57 62
強盗・強奪 281 309
窃盗 4,456 4,761
詐欺 461 496
誘拐 0 0
テロ 0 0
その他 32 37
5,457 5,852
(注) 在外公館が援護を実施した事案のみであり,発生したすべての事案ではない。
提供:外務省(出典:2012年海外邦人援護統計)

警察庁における支援は,【相談先整理番号23】参照

目次]  [戻る]  [次へ

警察庁 National Police Agency〒100-8974 東京都千代田区霞が関2丁目1番2号
電話番号 03-3581-0141(代表)