第5節 加害者の処分に関連する問題
犯罪被害者等の多くは,捜査や刑事裁判等を通じて,事件の真相及び責任の所在が明らかになることを願っている。また,適正な処罰によって正義が回復されたとの実感を得られること,特に,被害者等が自ら刑事手続に関与することが,精神的被害の回復に資する面も大きい。
ここでは,加害者の処分に関する犯罪被害者等の要望についての主な相談先等を紹介する。
1 手続への関与
(1) 制度・諸手続についての説明
○ 一般的な相談
【相談先整理番号56】
都道府県警察,検察庁,日本司法支援センター,保護観察所が相談に応じている。
都道府県警察の被害相談窓口や事件を担当する警察署では,被害者参加制度などの刑事手続や裁判で利用できる制度についての情報や,各種相談機関・窓口についての情報を掲載した「被害者の手引」を活用した説明を行っている(【施策番号170】参照)ほか,検視,司法解剖に関する手続についても,パンフレットを活用し,遺族に対して説明を行っている(【施策番号120】参照)。
全国の検察庁には被害者支援員が配置されており,事件記録の閲覧や証拠品の返還などの各種手続の説明や手助けを行うほか,犯罪被害者等からの相談内容に応じて関係機関や団体等を紹介している。また,検察庁には被害者ホットラインが設置されており,電話やファックスでの問合せも受け付けている(【施策番号162】参照)。
事件を担当する検察官は,犯罪被害者保護・支援のための諸制度について分かりやすく解説した犯罪被害者等向けパンフレット「犯罪被害者の方々へ」を活用するなどして説明を行っている(【施策番号117】参照)。
日本司法支援センターでは,最寄りの地方事務所や犯罪被害者支援ダイヤルにおいて,刑事手続への適切な関与を図るための法制度に関する情報の提供を行っている。
保護観察所では,専任の被害者担当官及び被害者担当保護司が,主に,刑事裁判が終了した後又は加害者が保護処分を受けた後の犯罪被害者等の悩みや不安に関する相談に応じ,犯罪被害者支援に必要な情報を提供するなどしている(【施策番号185】参照)。
なお,事件を担当する裁判所では,裁判手続に関する犯罪被害者等のための制度の利用を希望する者に対する説明を行っている。
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都道府県警察の被害相談窓口
(http://www.npa.go.jp/higaisya/shien/prf/index.htm) - 事件を担当する警察署
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最寄りの検察庁の被害者ホットライン
(http://www.moj.go.jp/keiji1/keiji_keiji11-9.html) - 事件を担当する検察官
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最寄りの日本司法支援センター地方事務所(全国各都道府県50か所)
(http://www.houterasu.or.jp/chihoujimusho/) -
犯罪被害者支援ダイヤル
(0570-079714「なくことないよ」) -
最寄りの保護観察所(被害者専用番号)
(http://www.moj.go.jp/hogo1/soumu/hogo_victim03.html) -
事件を担当する裁判所
(http://www.courts.go.jp/map.html)
(2) 被害・告訴の届出
○ 被害・告訴の届出に関する相談
【相談先整理番号57】
都道府県警察,海上保安庁,検察庁が相談に応じている。
都道府県警察に対する被害・告訴の届出は,どこの警察署に対しても行うことができるが,被害に遭った場所を管轄する警察署に行うと事後の手続が円滑に進む。また,被害・告訴の届出の受理に当たっては,被害者の気持ちに配慮した方法により事情聴取が行われ,受理に関連して犯罪被害者からの各種相談を受けた場合は,その内容に応じて適切な処理がとられている。
海上で発生した犯罪に関する被害・告訴の届出は,海上保安部署が受理しており,届出に関する相談には,最寄りの海上保安部署が応じている。
また,告訴・告発の届出は,検察官が直接受理することもあり,届出に関する相談には,最寄りの検察庁の被害者ホットラインが応じている。
- 警察署
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最寄りの海上保安部署
(http://www.kaiho.mlit.go.jp/info/hanzaihigai/index.files/hanzaihigai.pdf) -
最寄りの検察庁の被害者ホットライン
(http://www.moj.go.jp/keiji1/keiji_keiji11-9.html)
(3) 加害者の捜査・公判状況等に関する情報
○ 捜査状況等に関する相談
【相談先整理番号58】
都道府県警察,海上保安庁が相談に応じている。
都道府県警察では,原則として,身体犯や重大な交通事故事件の被害者等に対して,事件を担当する捜査員から,被疑者検挙までの捜査状況,被疑者の検挙状況,逮捕被疑者の処分状況等について,連絡を行っている(被害者連絡制度,【施策番号121】参照)。連絡を希望しないときは,事件担当捜査員に申し出ることができる。また,事件担当捜査員は,被害者連絡制度の対象となっていない被害者等からの相談にも応じている。

海上保安庁では,捜査の状況,被疑者の逮捕や検察庁への送致状況などを,捜査上支障のない範囲内で事件担当捜査員が犯罪被害者及びその家族に連絡している。
- 都道府県警察の事件担当捜査員
- 海上保安部署の事件担当捜査員
○ 公判状況等に関する相談
【相談先整理番号59】
検察庁が相談に応じている。
事件を担当する検察官は,被害者等に対し,事件の処理結果,公判期日,裁判結果等についての通知の希望の有無を確認し,希望する者にこれらの情報を通知している(被害者等通知制度,【施策番号72】参照)。同制度についての相談は,事件を担当する検察官や最寄りの検察庁の被害者ホットラインで応じている。
- 事件を担当する検察官
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最寄りの検察庁の被害者ホットライン
(http://www.moj.go.jp/keiji1/keiji_keiji11-9.html)
(4) 訴訟記録の閲覧・謄写
○ 訴訟記録の閲覧・謄写の申出先
【相談先整理番号60】
事件を担当する裁判所では,被害者等からの訴訟記録の閲覧・謄写の申出を受け付けている(【施策番号108】参照)。
また,閲覧・謄写をしようとする事件の被告人等により行われた,その事件と同種の犯罪行為の被害者(同種余罪の被害者)等についても,損害賠償を請求するために必要があると認める場合であって,相当と認められるときには,閲覧・謄写ができることとされており,当該同種余罪の事件を担当する検察官が申出を受け付けている。
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事件を担当する裁判所
(http://www.courts.go.jp/map.html) - 同種余罪の事件を担当する検察官
(5) 不起訴記録の開示
○ 不起訴記録の開示に関する相談
【相談先整理番号61】
検察庁が相談に応じている。
不起訴記録を保存する検察官は,不起訴記録は非公開が原則であるが,被害者参加制度の対象となる事件の被害者等については,「事件の内容を知ること」などを目的とする場合でも,捜査・公判に支障を生じたり,関係者のプライバシーを侵害しない範囲で,実況見分調書などを開示し,弾力的な運用に努めている。それ以外の事件の被害者等についても,民事訴訟などにおいて被害回復のため損害賠償請求権その他の権利を行使するために必要と認められる場合には,捜査・公判に支障を生じたり,関係者のプライバシーを侵害しない範囲で,実況見分調書などを開示している(【施策番号108】,【施策番号125】参照)。
また,不起訴裁定の主文,不起訴裁定の理由の骨子を知りたいときは,事件を担当する検察官が通知希望の申出を受け付けており,被害者等に通知している(【施策番号72】参照)。
- 記録を保存する検察官
- 事件を担当する検察官
(6) 刑事手続への参加
○ 被害者参加制度に関する相談
【相談先整理番号62】
検察庁が相談に応じている。
一定の事件の刑事裁判への参加希望は,事件を担当する検察官が受け付けており,申出を受けた検察官は,被害者が刑事裁判に参加することに対する意見を付して裁判所に通知している。裁判所から参加を許された犯罪被害者等(以下「被害者参加人」という。)は,原則として公判期日に出席できるとともに,一定の要件の下で証人の尋問や被告人に対する質問,意見の陳述ができる(被害者参加制度,【施策番号106】参照)。
- 事件を担当する検察官

(7) 少年審判における被害者配慮制度
○ 少年審判における被害者配慮制度の案内
【相談先整理番号63】
家庭裁判所で案内している。
事件を担当する裁判所では,犯罪被害者等からの申出に応じ,少年事件記録の閲覧・謄写,心情や意見の陳述,審判の傍聴,審判状況の説明,審判結果等の通知に関する手続を行っている。また,申出ができる方の範囲や必要書類など詳しいことは,最寄りの家庭裁判所でも案内している(【施策番号114】,【施策番号115】参照)。
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事件担当又は最寄りの家庭裁判所
(http://www.courts.go.jp/map.html)

