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第2節 精神的・身体的被害の回復・防止への取組

1 保健医療サービス及び福祉サービスの提供(基本法第14条関係)

(1) 「PTSD対策に係る専門家の養成研修会」の内容の充実等

【施策番号35】

厚生労働省において,医師,看護師,保健師,精神保健福祉士などを対象としたPTSD(心的外傷後ストレス障害)専門家の養成研修などを行い,精神保健福祉センター,病院,保健所などでPTSDを抱える地域住民等に対する相談支援を実施するなど,各施設での活動の充実を図っている。

「PTSD対策専門研修会」では,犯罪被害者の心のケアに関する研修も実施しており,平成25年度は174人が受講した。平成22年度からは,医師,コ・メディカル※3などを対象に講義だけでなく,模擬患者等を用いた実際の対応法の提示等を適宜組み合わせた実践的内容としている。

(2) PTSD治療の可能な医療機関についての情報提供

【施策番号36】

厚生労働省において創設した医療機能情報提供制度(【相談先整理番号31】参照)により,都道府県においては,住民・患者による医療機関の適切な選択を支援する観点から,医療機関が報告した医療機能に関する情報を,インターネット等を通じて公表することとしており,報告事項にはPTSD治療の可否も含まれている。厚生労働省においても,政府広報やホームページを通じて,医療機能情報提供制度の周知に努めている。
(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/teikyouseido/index.html)

(3) 犯罪被害者等への適切な対応に資する医学教育の促進

【施策番号37】

文部科学省において,平成23年3月に「医学教育モデル・コア・カリキュラム」(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/koutou/033-1/toushin/1304433.htm)を改訂し,PTSDに関する記述を明記するとともに医療系の学部関係者が参加する各種会議で基本計画の内容を紹介し,各大学におけるカリキュラム改革の取組を要請している。

また,厚生労働省において,医学部卒業後の医師臨床研修の到達目標に「精神・神経系疾患」を経験が求められる疾患として位置付けており,研修医の精神疾患に対する理解を促進している。

(4) 精神保健福祉センターに対する犯罪被害者等支援業務についての理解促進

【施策番号38】

厚生労働省において,平成20年度に「犯罪被害者の精神健康の状況とその回復に関する研究」で取りまとめられた,「犯罪被害者等支援のための地域精神保健福祉活動の手引」(http://www.ncnp.go.jp/nimh/seijin/www/pdf/shiryo_tebikizenbun.pdf)を,都道府県などで精神保健福祉に関する相談及び指導を行っている精神保健福祉センターに配布した。

なお,精神保健福祉センター,保健所において,現在,心のケアが必要な犯罪被害者等に対して,精神保健に関する相談支援を行っている。

また,必要に応じて精神保健福祉センター長会議で犯罪被害者等に関する議題を取り上げることとしている。

(5) PTSDの診断及び治療に係る医療保険適用の範囲の拡大

【施策番号39】

厚生労働省において,平成18年度の診療報酬改定(同年4月1日施行)で,PTSDの診断のための心理テストを保険適用としているほか,平成22年度の診療報酬改定において,通院・在宅における精神科専門療法を長時間(30分以上)行う場合の評価を充実した。また,平成24年度の診療報酬改定においては,精神科救急医療体制の確保に協力を行っている精神保健指定医等が行う通院・在宅における精神科専門療法の評価を充実したところである。

(6) 地域格差のない迅速かつ適切な救急医療の提供

【施策番号40】

厚生労働省において,ドクターカー・ドクターヘリの普及や,初期救急医療,入院を要する救急医療,救命救急医療の体制の整備を図っている。また,医学的観点から救急救命士を含む救急隊員が行う応急処置等の質を担保するため,全国に287設置されている都道府県単位及び地域単位のメディカルコントロール(MC)協議会の質を底上げし,MC体制※4を充実強化することを目的として消防庁・厚生労働省において,全国MC協議会連絡会を開催している。

(7) 救急医療に連動した精神的ケアのための体制整備

【施策番号41】

厚生労働省において,救命救急センターに犯罪被害者等が搬送された場合にも,救急医療の実施と併せて,精神科の医師による診療などが速やかに行われるよう,精神科の医師を必要に応じ適時確保することを各都道府県に求めている。

さらに平成22年度から「救命救急センターの評価」の評価項目に救急医療と精神科医療との連携体制を評価する項目の追加をし,その結果について公表することとしている(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp131025-1.html)。

(8) 交通事故による重度後遺障害者に対する医療の充実等

【施策番号42】

国土交通省において,自動車事故による重度後遺障害者で在宅介護を受けている方の入院を積極的に受け入れる短期入院協力病院を新たに13病院指定し,全国では126病院を指定している。また,病院に加えて,短期入所を積極的に受け入れてもらうため,新たに障害者支援施設等を短期入所協力施設として指定することとし,8施設を指定している。

独立行政法人自動車事故対策機構において,より多くの被害者に公平な治療機会を確保する観点から,平成25年4月より近畿地区(大阪府泉大津市)の療護施設の増床を行うとともに,訪問支援,被害者やその家族との交流会,各種被害者団体との意見交換会への参加等を通じて,被害者やその家族の実情,要望等の把握に努めている(【相談先整理番号20】参照)。

(9) 高次脳機能障害者への支援の充実

【施策番号43】

厚生労働省において,各都道府県に高次脳機能障害者に対する支援を行うための支援拠点機関を設置し,相談支援コーディネーターによる専門的な相談支援,関係機関との地域ネットワークの充実,高次脳機能障害の支援手法などに関する研修などを行う「高次脳機能障害支援普及事業」(平成25年4月に『高次脳機能障害及びその関連障害に対する支援普及事業』に名称変更)を実施している。

平成22年6月には,高次脳機能障害支援拠点機関が全都道府県に設置されている。

また,平成23年10月には,国立障害者リハビリテーションセンター内に「高次脳機能障害情報・支援センター」を設置し,高次脳機能障害に関する様々な情報や最新の支援情報を集約し,高次脳機能障害のある方やその家族及び支援関係者等に役立つ情報をホームページで発信する体制を整備する等,情報提供機能の強化を図っている。特に,専用ページにおいて,高次脳機能障害のある方が障害者総合支援法に基づくサービスの対象であることや,疾患や年齢に応じた制度等を掲載し周知を図っている(「高次脳機能障害・支援センター」の業務概要は,【相談先整理番号33】参照)。

(10) 思春期精神保健の専門家の養成

【施策番号44】

厚生労働省において,「思春期精神保健対策専門研修」として,医師,コ・メディカルスタッフ,ひきこもり支援従事者を対象に,児童虐待や家庭内暴力などに起因する精神障害など子どもの心の診療に関連した系統講義を行っている。

平成25年度は,医療従事者専門研修(全3回)に延べ277人,コ・メディカル専門研修に99人,ひきこもり対策研修に113人が参加した。

(11) 少年被害者のための治療等の専門家の養成,体制整備及び施設の増強に資する施策の実施

【施策番号45】

厚生労働省において,近年,虐待を受けた子どもの児童養護施設などへの入所が増えていることから,児童養護施設などに心理療法担当職員及び被虐待児個別対応職員の配置を平成23年度から義務化するなど適切な援助体制を確保してきた。

また,児童相談所において,業務遂行のため,所長,次長,各部門の長のほか,スーパーバイザー(教育・訓練・指導担当の児童福祉司,児童心理司),児童福祉司,相談員,精神科を専門とする医師,児童心理司,心理療法担当職員などを配置するとともに,子どもの相談援助活動を行うに当たって専門的医学的な判断や治療を必要とする場合には,医療機関への紹介,あっせんを行うこととしている。

児童相談所における児童心理司は,平成25年度において1,237人配置されている。

(12) 警察における性犯罪被害者に対するカウンセリングの充実

【施策番号46】

警察において,カウンセリングに関する専門的知識や技術を有する職員の配置,精神科医や民間のカウンセラーとの連携などにより,犯罪被害者等の精神的被害を軽減するための相談・カウンセリング体制を整備している(【相談先整理番号35】参照)。現在,全ての都道府県警察において,部外の精神科医,臨床心理士などに対し,犯罪被害者等へのカウンセリングや職員のカウンセリング技術向上を図るためのアドバイザー業務の委嘱を行っている。また,被害少年※5に対しては,少年補導職員などの専門職員が,部外専門家などから助言を得つつ,カウンセリングを実施している。また,警察庁では,平成24年度からカウンセリング指導係を設置し,犯罪被害者等へのカウンセリング経験が豊富で臨床心理士の資格を有する係員を配置して,全国警察に対するカウンセリングの指導を実施している。

さらに,平成19年度から,臨床心理士の資格を有する職員やその他の警察職員に対し,カウンセリング技能の向上を図るための専門的な研修への参加の促進を図っている(カウンセリング専門職員に対する専門研修に要する経費(国庫補助金):25年度9百万円,26年度10百万円)。

カウンセリング充実

(13) 性犯罪被害者に対する緊急避妊に関する情報提供

【施策番号47】

【相談先整理番号32】参照

(14) 医療機関における性犯罪被害者への対応の体制の整備

【施策番号48】

厚生労働省において,内閣府が作成した「性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター開設・運営の手引~地域における性犯罪・性暴力被害者支援の一層の充実のために~」について,平成24年7月,医療関係団体を通じて,医療機関に対して周知を行った。また,同手引に「性犯罪被害者対応マニュアル」を掲載し,医療関係者への啓発を実施した。

(15) 性犯罪被害者対応における看護師等の活用

【施策番号49】

厚生労働省では,「チーム医療推進会議」において,「チーム医療推進のための基本的な考え方と実践的事例集」を取りまとめ,医師・看護師等の職種が連携し,各々の専門性を発揮して性犯罪も含めた暴力被害者支援に取り組んでいる実践的な事例を盛り込み,ホームページ(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001ehf7.html)等で周知している。

(16) ワンストップ支援センターの設置促進

【施策番号50】

ア 内閣府において,ワンストップ支援センターを運営している民間団体及び厚生労働省,警察庁,法務省,文部科学省等の協力を得て,「性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターの開設・運営の手引~地域における性犯罪・性暴力被害者支援の一層の充実のために~」を作成し,平成24年5月に公表し(http://www8.cao.go.jp/hanzai/kohyo/shien_tebiki/shien_tebiki.html),犯罪被害者支援団体,医療機関,地方公共団体,警察等に配布した。

また,性犯罪被害者の支援のため,地方公共団体等と協力して,地域における関係機関・団体間の連携を促進するなどの取組を行っている。平成25年度は,地域における犯罪被害者等支援の普及促進事業として,三重県において,性犯罪被害者のための支援体制を構築するための検討に協力したほか,同県立看護大学等の協力により,将来看護師となる学生や医療関係者を主な対象者としたフォーラムを開催した。

【施策番号51】

イ 警察において,性犯罪被害者の負担軽減,性犯罪の潜在化防止を目的として,性犯罪被害を受けた被害者が心身の治療,民間支援員等による支援,警察官による事情聴取等を1か所で受けられる「ワンストップ支援センター」を,平成22年度のモデル事業として,平成22年7月から平成23年3月まで,愛知県一宮市所在の大雄会第一病院内に開設し(性犯罪被害者対応拠点「ハートフルステーション・あいち」),同事業の結果の検証を実施した(「性犯罪被害者対応拠点モデル事業等の検証報告」:http://www.npa.go.jp/higaisya/higaisya8/houkokusyo.pdf)。

なお,同拠点については,現在も愛知県警察により運営されている。

【施策番号52】

ウ 厚生労働省においては,内閣府による「性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター開設・運営の手引~地域における性犯罪・性暴力被害者支援の一層の充実のために~」の作成に協力するとともに,平成24年7月,医療関係団体を通じて,同手引を医療機関に周知することにより,ワンストップ支援センターの啓発を行った。

また,犯罪被害者支援団体,地方公共団体,医師等医療関係者等から,ワンストップ支援センター開設に向けた相談があった場合には,協力が可能な医療機関の情報を収集し,当該犯罪被害者支援団体等に提供することとしている。

【施策番号53】

エ さらに,厚生労働省において,平成24年9月,医療機能情報提供制度の内容に,ワンストップ支援センターが施設内に設置されているかどうかに関する項目を追加するよう,都道府県に対し周知を図った(医療機能情報提供制度については,【施策番号36】参照)。

(17) 犯罪被害者等に関する専門的知識・技能を有する臨床心理士の養成等

【施策番号54】

内閣府において,公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会及び一般社団法人日本臨床心理士会に働きかけ,犯罪被害者等に関する専門的な知識・技能を有する臨床心理士の養成及び研修の実施の促進を図った。

(18) 犯罪被害者に係る司法関連の医学知識と技術について精通した医療関係者の在り方及びその養成のための施策の実施

【施策番号55】

「PTSD対策専門研修会」については,【施策番号35】参照

また,独立行政法人国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所においては,平成19年1月から,「犯罪被害者メンタルケア研修」を実施している。同研修は,精神科医療機関,精神保健福祉センター,保健所,犯罪被害者支援関連機関に勤務する医療・臨床心理,福祉業務従事者に対し,犯罪被害者・遺族への適切な対応を行うために必要な基本的知識と治療対応について修得することを目的とし,これまでに8回実施している。

同研修は,犯罪被害者やその家族の置かれている現状,基本法や基本計画の概要,関連する司法制度,犯罪被害者等への初期対応といった内容から成り,平成25年度は3日間の研修に48人の医療従事者が参加した。

(19) 検察官等に対する研修の充実

【施策番号56】

法務省において,犯罪被害者等に配慮した捜査・公判活動を行うため,検察官などに対する研修の中で,犯罪被害者支援などをテーマとする講義を行っているほか,検察官に市民感覚を学ばせるため,犯罪被害者支援団体や更生保護法人などの公益的活動を行う民間団体や民間企業に検察官を一定期間派遣する研修などを実施しており,平成25年度は,検察官6名を,それぞれ2か月から6か月間派遣した。また,検察庁に配置されている被害者支援員に対し,研修を実施している。

(20) 法科大学院における教育による犯罪被害者等への理解の向上の促進

【施策番号57】

文部科学省において,犯罪被害者等に対する理解の向上を含め,真に国民の期待と信頼に応え得る法曹の養成に努めるよう,法科大学院に促している。法科大学院においては,これに応え,犯罪や不法行為の被害者等の実態を把握・分析し,犯罪被害者等の法的地位,損害回復の方法,被害者支援活動における課題などを考察する「被害者学」,「被害者と法」などの授業科目を開設するなどの取組が行われている。

(21) 児童虐待に対する夜間・休日対応の充実等

【施策番号58】

ア 児童相談所において,夜間・休日を問わず,いつでも相談に応じられる体制の整備を図る「24時間・365日体制強化事業」を実施しており,こうした事業の活用により,平成25年4月1日現在においても,前年度に引き続き,児童相談所を設置する全ての自治体でその体制が確保されている(69自治体)(【相談先整理番号6】参照)。

【施策番号59】

イ 厚生労働省において,児童相談所では対応しきれない医学的判断・治療が必要となるケースについて迅速かつ適切に対応するため,地域の医療機関を協力医療機関に指定し,医学的知見から個々のケースに応じた心身の治療の必要性等について専門的技術的助言を得る都道府県などの取組に対して補助を行っている。

(22) 少年被害者の保護に関する学校及び児童相談所等の連携の充実

【施策番号60】

文部科学省・厚生労働省において,少年被害者の保護に関し,学校と児童相談所など少年被害者の保護に資する関係機関との連携を充実させている。

また,平成22年3月,「学校及び保育所から市町村又は児童相談所への定期的な情報提供に関する指針」が文部科学省及び厚生労働省から各自治体及び教育委員会等に通知され,要保護児童対策地域協議会(子どもを守る地域ネットワーク)における機関連携が強化された。

さらに,平成24年3月,学校における児童虐待に係る速やかな通告を一層推進させるため留意すべき事項について,文部科学省から学校,教育委員会等に通知されている。

要保護児童対策地域協議会(子どもを守る地域ネットワーク)について

(23) 少年被害者に対する学校におけるカウンセリング体制の充実等

【施策番号61】

ア 文部科学省において,少年被害者に対する学校におけるカウンセリング体制の充実を図っており,学校における教育相談体制の充実に向けて関係機関や地域の人材と連携しながら,個々の状況に応じた支援を実施し,これまで,スクールカウンセラーの配置の拡充,生徒指導推進協力員・学校相談員,スクールカウンセラーの緊急支援のための派遣,及びスクールカウンセラー等の資質の向上に関する研修の実施などに対して補助を行ってきた。

【施策番号62】

イ 文部科学省において,児童虐待などの問題へ対応するため,教育分野に関する知識に加えて,社会福祉の専門的な知識・技術を用いて児童生徒を支援するスクールソーシャルワーカーを各地域の実情に応じて学校などの教育機関に配置する地方自治体の取組やスクールソーシャルワーカーの資質向上に関する研修の実施などに対して補助を行っている。

【施策番号63】

ウ 教職員が,犯罪被害者等である児童生徒の相談などにも的確に対応できるよう,大学の教職課程においては,カウンセリングに関する基礎的な知識を含む教育相談の理論及び方法を必ず取り扱うこととされている。

(24) 被害少年が受ける精神的打撃軽減のための継続的支援の推進

【施策番号64】

警察において,人格形成の途上にある少年が被害を受けた場合,その後の健全育成に与える影響が大きいことから,被害少年の再被害を防止するとともに,その立ち直りを支援するため,少年補導職員などによる指導・助言のほか,カウンセリングなどの継続的な支援を行っている(【相談先整理番号7】参照)。

被害少年の支援に際しては,臨床心理学,精神医学などの高度な知識・技能を有する部外の専門家を「被害少年カウンセリングアドバイザー」として委嘱し,その適切な指導・助言を受けながら支援を実施するとともに,それぞれの地域においては,保護者などとの緊密な連携の下に,日常の少年を取り巻く環境の変化や生活状況を把握しつつ,きめ細やかな訪問活動を行うボランティアを「被害少年サポーター」として委嘱し,これらの者と連携した支援活動を推進している。

また,深刻な児童ポルノ情勢を踏まえ,平成25年5月に犯罪対策閣僚会議において決定された「第二次児童ポルノ排除総合対策」に基づき,被害児童に対する継続的支援の実施等,関係省庁と連携した被害児童の早期発見及び支援活動を推進している。

被害少年の支援活動

(25) 里親制度の充実

【施策番号65】

厚生労働省において,平成21年4月1日から施行した「児童福祉法等の一部を改正する法律」(平成20年法律第85号)により「養育里親」を,養子縁組を前提とした里親と区分するとともに,養育里親の要件として一定の研修を修めることとするなどの里親制度の見直しが行われた。また,平成20年度から「里親支援機関事業」を実施しているほか,21年度から養育里親の手当を引き上げた。

(26) 少年被害者の相談・治療のための専門家・施設等の周知

【施策番号66】

児童相談所において,子どもに関するあらゆる相談に対応することとしており,犯罪の被害によって心のケアなどを必要とする少年からの相談についても,児童相談所の本来業務としている。当該児童相談所の場所や機能に関する周知は,設置主体である各都道府県,政令指定都市,児童相談所設置市において,パンフレット,ホームページなどにより行われている。

〈平成25年4月1日現在〉
児童相談所数 207か所
(平成25年4月1日現在)
児童福祉司数 2,771人
児童心理司数 1,237人

自立援助ホームにおいて,義務教育終了から満20歳未満までの,児童養護施設などを退所し就職する子どもたちや自立援助ホームを退所した犯罪被害者等も含む子どもたちに対し,相談などの援助を行っている。

(27) 犯罪被害者等に対する医療機関に関する情報の周知

【施策番号67】

厚生労働省において,医療機能情報提供制度(【施策番号36】参照)を創設したことにより,犯罪被害者等を含む患者が,医療に関する情報を得られ,適切に医療機関を選択できるよう支援している。なお,同制度により,犯罪被害者等を含む長期療養を必要とする患者も同様に支援している。

(28) 犯罪被害者等の受診情報等の適正な取扱い

【施策番号68】

ア 厚生労働省において,医療機関などによる個人情報の適切な取扱いを確保する目的で,「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイドライン」を定めており,併せて「診療情報の提供等に関する指針」・「個人情報保護法」に基づき,医療機関などに適切な対応を求めている。また,「医療法」(昭和23年法律第205号)に基づき設置されている都道府県などの医療安全支援センターにおいて,患者やその家族から個人情報の取扱いを含めた医療に関する苦情・相談を受けた場合,当該患者やその家族又は苦情・相談のあった医療機関の管理者に対し,必要に応じて助言を行うこととされている。保険者についても,「健康保険組合等における個人情報の適切な取扱いのためのガイドラインについて」(平成16年12月27日保発第1227001号)などの関連ガイドラインを通知し,適切な対応を引き続き求めている。

【施策番号69】

イ 金融庁において,犯罪被害者等の保険利用に関する情報をはじめとする個人情報の取扱いに関し,保険会社に問題があると認められる場合には,「保険業法」(平成7年法律第105号)等に基づき,保険会社に対する検査・監督において適切な対応を行っている。


※3 コ・メディカルとは,一般的には医師を除いた医療従事者に対する総称であるとされている。
※4 救急現場から医療機関に搬送されるまでの間において,救急救命士などが行う救急医療活動について,医師による指示,指導・助言,事後検証を行い,その質を保障する体制。
※5 被害少年とは,犯罪その他少年の健全な育成を阻害する行為により被害を受けた少年(20歳未満)をいう(少年警察活動規則(平成14年国家公安委員会規則第20号)第2条第7号)。

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