2.支援に携わる際の留意事項

2-2 被害類型別特徴と対応上の注意点

【殺人等遺族への対応】

(特徴)

殺人による被害の場合、遺族は被害者が当時味わったかもしれない恐怖や苦痛を想像して、また大切な家族を喪失したことを何度も繰り返し思い起こすことによって長く苦しむことになります。
また、経済的にも遺族に大きな打撃を与えます。特に、被害者が家族の経済的支柱であった場合は、被害はより大きなものとなります。
社会的な側面からは、マスコミの取材・報道による遺族への被害も大きい場合もあります。加えて、加害者が特定できないなどの状況が続くと、遺族によっては社会全体に対し強い不満や怒りを感じることがあります。

(対応上の注意点)

相談の際には、きめ細やかな情報提供、わかりやすい説明、理解の確認等をより一層心がけることが重要です。

多くの遺族は、外見上は毅然とふるまっているように見えても、かつて経験したこともないような精神的ショック状態にあり、直面している状況を十分に理解できなかったり、これまで働いていた判断力や思考力が働かなくなる場合があります。
そのため、情報提供等を行う時には、わかりやすい説明に加え、支援・制度を紹介しているパンフレットやメモを渡すなど、より一層の配慮が求められます。

死亡に際し、様々な手続が必要になるため、適切な情報提供に努めることが重要です。

●死亡の届出

犯罪や事故によって亡くなった場合やその可能性のある場合は、死因等を明らかにするため、検視や解剖が行われます。
検視等の終了後、死亡を確認した医師に「死亡診断書(死体検案書)」(有料)を作成・発行してもらいます。「死亡診断書(死体検案書)」を受け取ったら、死亡の日から7日以内に市町村にそれを持参して死亡の届出を行い、埋火葬許可証を発行してもらいます。この許可証がなければ、亡くなった方を火葬したり埋葬したりすることができません。

(連絡先)

警察署(4. 各機関・団体における支援業務 (3) 警察)、市町村(4. 各機関・団体における支援業務 (2) ○○市町村

●司法解剖に関する経費の公費負担

司法解剖が行われた場合、切開痕等を目立たせないように遺体を修復するための経費や遺体を遺族の希望する場所まで搬送するための経費を公費で負担する制度があります。

(連絡先)

警察署(4. 各機関・団体における支援業務 (3) 警察)、海上保安部署(4. 各機関・団体における支援業務 (4) 海上保安庁

●各種健康保険・年金の異動届

亡くなった方が医療保険あるいは年金を受給していた場合は、遺族は犯罪被害者が亡くなったことを担当機関に届け出る必要があります。

(連絡先)

市町村(4. 各機関・団体における支援業務 (2) ○○市町村)、社会保険事務所(4. 各機関・団体における支援業務 (66) 社会保険事務所 )、勤務先庶務担当

●遺産相続等

犯罪被害者が亡くなってから10か月以内に相続税について申告しなければなりません。

(連絡先)

税務署(4. 各機関・団体における支援業務 (68) 税務署)、弁護士会(4. 各機関・団体における支援業務 (12) 弁護士会)、司法書士会(4. 各機関・団体における支援業務 (13) 司法書士会

経済的支援として、以下のような制度があります。

★犯罪被害者等給付金(遺族給付金)

故意の犯罪行為により不慮の死を遂げた被害者の遺族に対し、一時金が支給されます。

(連絡先)

警察署・警察本部(4. 各機関・団体における支援業務 (3) 警察

★遺族基礎年金

国民年金に加入中、老齢基礎年金を受給する資格のある人等が死亡したとき、子(18歳に到達する年度末まで)のある妻または子に支給されます。

(連絡先)

市町村(4. 各機関・団体における支援業務 (2) ○○市町村

★遺族厚生(共済)年金等

厚生(共済)年金に加入中の人、老齢厚生(退職共済)年金を受給する資格のある人、1級または2級の障害厚生(共済)年金を受給している人等が死亡したとき、遺族に支給されます。

(連絡先)

社会保険事務所(4. 各機関・団体における支援業務 (66) 社会保険事務所)、共済組合、勤務先庶務担当

子どもが遺族となった場合には、以下のような制度があります。

★遺児の就学援助等

奨学金が給与されるほか、相談もできます。

(連絡先)

財団法人犯罪被害救援基金(4. 各機関・団体における支援業務 (7) 財団法人 犯罪被害救援基金)、警察署(4. 各機関・団体における支援業務 (3) 警察

マスコミ対策としては、以下のようなものがあります。

5. ニーズに応じた解決手段 3 生活上の問題参照