第1部 犯罪被害者等のための施策と進捗状況

第2章 犯罪被害者等のための具体的施策



(27) 各都道府県警察に対する犯罪被害者等の支援に関する指導・督励及び好事例の勧奨

 警察庁において、情報提供を始めとする基本的な犯罪被害者等支援策が確実に実施されるよう、各都道府県警察を指導・督励するとともに、好事例を表彰・勧奨していくこととされた。

 現在、各種会議等においてこうした取組を進めているとともに、毎年被害者支援担当者体験記を発行し、各都道府県警察に配布している。

(28) 「被害者の手引」の内容の充実等

 警察において、刑事手続や法的救済制度の概要、被害者に役立つ関係機関・団体の連絡先等について記載し、被害者が必要とする情報を包括的に分かりやすく解説したパンフレット「被害者の手引」について、関係機関による被害者支援策の紹介を含め、その内容の充実、見直しを図りつつ、その確実な配布を更に徹底するとともに、それらの情報をウェブサイトにおいても紹介していくこととされた。また、都道府県における外国人犯罪被害者等の多寡等の実情を踏まえて作成・配布している外国語版の「被害者の手引」について、今後とも適切に作成・配布されるよう努めていくこととされた。

 手引には

  ・刑事手続の概要と被害者の方へのお願い

  ・被害者連絡制度、犯罪被害者給付制度等、被害者支援の制度概要の説明

  ・各種相談窓口の紹介

等が盛り込まれている。

 現在は、各都道府県警察において「被害者の手引」を作成し配布するとともに、都道府県の実情にあわせ、外国人用の「被害者の手引」を適宜作成・配布している。

 警察庁において、被害者の要望である確実な配布を徹底するための方策と、被害者支援の施策等の紹介を充実させたモデル案を検討中である。

 警察庁パンフレット「警察による犯罪被害者支援」において、「被害者の手引」について説明するとともに、警察庁ホームページ上で確認することができる(警察庁ホームページ:http://www.npa.go.jp/higaisya/home.htm)。

▼被害者の手引

被害者の手引

提供:警察庁

29) 犯罪被害者等の保護・支援のための制度の周知

 第1節1「損害賠償の請求についての援助等(基本法第12条関係)」(5)を参照。

(30) 刑事の手続等に関する情報提供の充実

 第3節1「刑事に関する手続への参加の機会を拡充するための制度の整備等(基本法第18条関係)」(10)を参照。

(31) 民事の手続に関する情報提供の充実

 第1節1「損害賠償の請求についての援助等(基本法第12条関係)」(5)を参照。

(32) 医療機関等と関係機関・団体等との連携・協力の充実・強化及び医療機関における情報提供の充実

 厚生労働省において、医療機関が犯罪被害者等支援に係る諸機関・団体等と連携・協力し、犯罪被害者等の支援等に関する情報提供を適切に行うことを促進するとともに、精神保健福祉センター、保健所等が犯罪被害者等支援に係る諸機関・団体等との連携・協力を充実・強化し、犯罪被害者等の支援等に関する情報提供、相談等を適切に行うことを推進することとされた。

 今後、「支援のための連携に関する検討会」の議論を踏まえつつ検討していくが、医療機関の大部分が民間医療機関であることを踏まえつつ、犯罪被害者等支援に係る諸機関・団体等の犯罪被害者等支援のための諸制度に関する案内書等が内閣府等より提供があり次第、必要に応じて犯罪被害者等の支援等に関する情報提供のために、協力を要請すること等、適切に対応していく。

(33) 性犯罪被害者による情報入手の利便性の拡大

 警察、法務省及び厚生労働省において、性犯罪被害者による情報入手の利便性の拡大を図っていくこととされた。

 全国の都道府県警察においては、性犯罪被害者が被害相談等を行うための性犯罪相談専用電話窓口の設置、相談室の整備、性犯罪被害者用の「被害者の手引」の交付等を推進して、これらの活用により、性犯罪被害者による情報入手の利便性の拡充を図っている。

 平成18年4月1日現在、42都道府県警察本部において、女性警察職員による性犯罪電話相談の受理体制が整備されており、36都道府県警察本部において、性犯罪相談等のための相談室が整備されている。

 また、平成18年7月に全国性犯罪捜査指導官等会議を開催し、性犯罪相談専用電話等を活用した適切な相談受理、性犯罪被害者による情報入手の利便性の拡充等を指示している。

 法務省においては、性犯罪被害者の要望を踏まえ、性犯罪被害者が情報を入手する利便性の拡大をするために、会議や研修等の様々な機会を通じて検察の現場への周知徹底を図るとともに、刑事手続及び犯罪被害者保護・支援のための制度等を分かりやすく説明した被害者向けパンフレットを全国の検察庁や警察署等において被害者に配布するほか、法務省ホームページに掲載して、周知徹底を図っている。

 厚生労働省においては、性犯罪被害者の要望を踏まえ、性犯罪被害者が情報を入手する利便性の拡大をするために、性暴力被害者も含め、患者等が医療に関する情報を十分に得られるような医療体制の整備を内容とする、「良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律」が平成18年通常国会で成立した。

 これは、患者等が医療に関する情報を十分に得られ、適切な医療を選択できるよう支援するために、医療機関管理者に対し、医療に関する一定の情報について報告を義務化したものであり、都道府県が医療機関に関する情報を集約し、インターネット等で分かりやすく住民に提供し、住民からの相談に応じ助言を行う仕組みを制度化したもので、情報入手の利便性の拡大に努めている。



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