第1部 犯罪被害者等のための施策と進捗状況

第2章 犯罪被害者等のための具体的施策



《基本計画において、「速やかに実施する」とされたもの》

(3) 公判記録の閲覧・謄写の範囲拡大に向けた検討と施策の実施等

 第1節1「損害賠償の請求についての援助等(基本法第12条関係)」(6)を参照。

(4) 犯罪被害者等と検察官のコミュニケーションの充実

 法務省において、犯罪被害者等の意見等をより適切に把握し刑事裁判に適正に反映させるため、犯罪被害者等と検察官のコミュニケーションをより一層充実させ、被害状況等の供述調書等による証拠化並びに被害者の証人尋問及び意見陳述の活用等により、被害状況の的確な立証に努めていくとともに、刑事裁判の公判期日の決定について、検察官が犯罪被害者等と十分なコミュニケーションをとり、必要に応じ、犯罪被害者等の希望を裁判長に伝えるよう努めていくこととされた。

 そこで、平成18年1月、最高検察庁から各高等検察庁及び各地方検察庁あてに、本施策の実施において適切な対応が行われるよう留意事項を通知しているほか、会議や研修等の様々な機会を通じて検察の現場への周知徹底を図っており、必要に応じ、適切な形で、被害者等と検察官のコミュニケーションがとられ、被害者等の意見が適切に刑事裁判に反映されるとともに、公判期日の設定に当たっても、被害者等の希望が裁判所に伝えられるよう努めている。

(5) 国民に分かりやすい訴訟活動

 法務省において、検察官による視覚的な工夫を取り入れた国民に分かりやすい訴訟活動を行うよう努めていくこととされた。

 そこで、傍聴者等にも手続の内容が理解できるように、難解な法律用語の使用はなるべく避けたり、プレゼンテーションソフト等を活用して、視覚的な工夫を取り入れるなどして、国民に分かりやすい訴訟活動を行うよう努めている。

(6) 保釈に関しての犯罪被害者等に対する安全への配慮の充実

 第2節2「安全の確保(基本法第15条関係)」(13)を参照。

(7) 上訴に関する犯罪被害者等からの意見聴取等

 法務省において、検察官が、被害者のある犯罪について、判決に対する上訴の可否を検討する際に、事案等を勘案しつつ、犯罪被害者等から意見聴取等を実施する等、適切な対応に努めていくこととされた。

 そこで、平成18年1月、最高検察庁から各高等検察庁及び各地方検察庁あてに、本施策の実施につき適切な対応が行われるよう留意事項を通知しているほか、会議や研修等の様々な機会を通じて検察の現場への周知徹底を図っており、検察官が上訴の可否を検討するに当たって、被害者等の意見を適切に聴取するよう努めている。

(8) 少年保護事件に関する意見の聴取等各種制度の周知徹底

 法務省において、少年保護事件に関する意見の聴取、記録の閲覧・謄写及び審判結果等の通知の各制度について、周知に努めていくこととされた。

 少年保護事件については、平成12年の少年法の改正により、家庭裁判所による犯罪被害者の意見聴取の制度、記録の閲覧・謄写の制度及び家庭裁判所が被害者に対し少年審判の結果等を通知する制度が導入されている。

 平成12年の少年法等の一部を改正する法律の施行後5年間において、意見の陳述の申出数は、825人であり、うち791人から意見が聴取された。記録の閲覧及び謄写の申出数は、2,880人であり、うち2,836人についてこれが認められ、審判結果等の通知の申出数は3,180人であり、うち3,153人について通知がされた。

 引き続き、刑事手続及び犯罪被害者保護・支援のための制度等を分かりやすく説明した被害者向けパンフレットを全国検察庁や警察署等の関係機関に交付の上、被害者に配布するとともに、法務省ホームページに掲載して、周知徹底を図っている。

(9) 日本司法支援センターによる支援

 第4節1「相談及び情報の提供等(基本法第11条関係)」(34)を参照。

(10) 刑事の手続等に関する情報提供の充実

 警察庁及び法務省において連携し、犯罪被害者等の意見・要望を踏まえ、刑事に関する手続及び少年保護事件の手続並びに犯罪被害者等のための制度等を分かりやすく解説したパンフレット等の内容を充実し、パンフレットの配布等の工夫も含め、犯罪被害者等への早期の提供に努めていくこととしており、法務省において、犯罪被害者等に対し、犯罪被害者等の保護と支援のための制度の更なる情報の提供を行うため、パンフレットやホームページの作成等による情報の提供を行っているものである。

 また、法務省において、刑事手続及び犯罪被害者保護・支援のための制度等を分かりやすく説明した被害者向けパンフレットを全国検察庁や警察署等の関係機関に交付の上、被害者に配布するとともに、法務省ホームページに掲載して、周知徹底を図り、刑事手続の流れや被害者等通知制度等を紹介する広報ビデオ「被害者とともに」を全国の検察庁に配布し、被害者等に対する説明に利用しているところである。

 今後は、引き続き、刑事手続及び犯罪被害者保護・支援のための制度等の周知徹底を図るとともに、内容を拡充してより広範な案内となるような被害者向けパンフレット、外国語パンフレット及びDVDを作成・制作し、関係機関に配布する予定である。

 全国の都道府県警察において、検視、司法解剖に関する手続等を盛り込んだパンフレットの作成、配布を行い、遺族に対する適切な説明及び配慮に努めていくこととされた。

 平成18年4月1日現在、21府県警察において、同パンフレットの作成をしており、平成18年6月には、各都道府県警察本部の検視担当課の検視担当幹部を対象とした検視担当官会議を開催し、同パンフレットのモデル案を配布するとともに、作成、配布の推進について指示したところである。

 また、平成18年7月には、検視、司法解剖に関する手続等を盛り込んだパンフレットのモデル案を示した文書を発出するとともに、同パンフレットの作成、配布について指示した。これに基づき、引き続き、本施策の推進について指導するとともに、同パンフレットの整備状況について把握することとしている。

 警察における「被害者の手引」の内容の充実等については、第4節1「相談及び情報の提供等(基本法第11条関係)」(28)を参照。

(11) 捜査に関する適切な情報提供

 全国の都道府県警察において、「被害者連絡制度」を周知徹底・活用し、犯罪被害者等に対し、適時適切に、捜査状況等を提供するよう努めていくこととされた。

 これまでも、殺人、傷害等の身体犯の被害者又はその遺族、ひき逃げ事件の被害者若しくは遺族又は交通死亡事故の遺族に対し、被害者から事情聴取を行った捜査員等の事件担当捜査員が、被害者連絡を行っている。

 連絡される内容は捜査状況のほか、被疑者検挙の旨、被疑者の氏名、年齢等、被疑者の処分状況である。

 法務省においても、捜査への支障等を勘案しつつ、犯罪被害者等に対し、適時適切に、捜査状況等の情報を提供するよう努めていくこととされた。

 そこで、平成18年1月、最高検察庁から各高等検察庁及び各地方検察庁あてに、本施策の実施につき適切な対応が行われるよう留意事項を通知しているほか、会議や研修等の様々な機会を通じて検察の現場への周知徹底を図っており、検察庁は、捜査段階から、捜査に及ぼす支障等も総合考慮しつつ、必要に応じ、適切な形で、被害者等に捜査に関する情報を提供するよう努めている。

▼犯罪被害者の方々へ

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▼被害者の手引

被害者の手引

出典:法務省及び警察庁ホームページ



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