第1部 犯罪被害者等のための施策と進捗状況

第2章 犯罪被害者等のための具体的施策



《基本計画において、「速やかに実施する」とされたもの》

(4) 日本司法支援センターによる支援

 第4節1「相談及び情報の提供等(基本法第11条関係)」(34)を参照。

(5) 損害賠償請求制度に関する情報提供の充実

 警察庁及び法務省において連携し、損害賠償請求制度の概要その他犯罪被害者等の保護・支援のための制度について紹介した冊子・パンフレット等について、一層の内容の充実を図り十分に周知するとともに、法務省において、犯罪被害者等の損害賠償請求に係る民事訴訟手続に関する情報の提供について、説明資料の作成を含め検討し、早期に結論を出し、必要な施策を実施することとされた。

 警察庁においては、これまでも「被害者の手引」等の冊子により、損害賠償請求制度の概要等について、紹介している(警察庁犯罪被害者対策室ホームページ:http://www.npa.go.jp/higaisya/index.htm)。

 法務省においては、刑事手続及び犯罪被害者保護・支援のための制度等を分かりやすく説明するとともに、内容を拡充してより広範な案内となるような被害者向けパンフレット(「犯罪被害者の方々へ」)及び外国語パンフレット作成のため、現在準備を進めている。犯罪被害者等の損害賠償請求に係る民事訴訟手続に関する情報提供についても、被害者向けパンフレットにこれらの情報を掲載して周知を図るべく準備を進めている。

(6) 刑事和解等の制度の周知

 法務省において、刑事和解、公判記録の閲覧・謄写、不起訴記録の弾力的開示等現行制度を周知徹底させることとされた。

 そこで、会議や研修等の様々な機会を通じて検察の現場への周知徹底を図るとともに、施策の実施状況の把握に努め、対外的にも刑事手続及び犯罪被害者保護・支援のための制度等を分かりやすく説明した被害者向けパンフレット(「犯罪被害者の方々へ」)を全国の検察庁や警察署等において被害者に配布するほか、法務省ホームページ(http://www.moj.go.jp/)に掲載して、周知徹底を図っている。

▼被害者の手引

被害者の手引

▼犯罪被害者の方々へ

犯罪被害者の方々へ

出典:警察庁及び法務省ホームページ

(7) 保険金支払いの適正化等

 金融庁において、「保険会社向けの総合的な監督指針」(平成17年8月12日策定)に基づき、各保険会社における保険金等支払管理態勢整備の状況について検証していくとともに、保険会社の検査・監督を行うに当たっては、苦情・相談として寄せられる情報を活用し、保険会社側に問題があると認められる業務・運営については、適切な対応をしていくこととされた。

 適時適切な保険金等の支払いを行っていくことは、保険会社として保険事業を行っていく上で必要不可欠な基本的かつ最も重要な機能である。保険金等支払管理態勢に係る主な着眼点等の見直しに当たり、保険金・給付金の不適切な不払いや付随的な保険金の支払い漏れといった重大な問題を招いた原因の分析等を踏まえつつ、保険金等支払い全般に関して、迅速かつ適切な支払管理態勢の確立のために、保険会社向けの総合的な監督指針の一部を改正した(平成18年6月2日改正)。

 保険会社向けの総合的な監督指針及び「金融サービス利用者相談室」における相談等の受付状況等に関する公表については、金融庁ホームページ上で確認することができる(保険会社向けの総合的な監督指針:http://www.fsa.go.jp/common/law/guide/ins/index.html、「金融サービス利用者相談室」における相談等の受付状況等に関する公表について:http://www.fsa.go.jp/receipt/soudansitu/index.html)。

 国土交通省において、自賠責保険金等の支払いの適正化を図ること、適切な損害賠償が受けられるよう支援を行うこと、ひき逃げや無保険車等による事故の被害者に対しては政府保障事業において適切な支援を図ることとされた。

 平成13年の自動車損害賠償保障法改正により、政府再保険による自賠責保険金等支払いの全件チェック体制から、重要事案のみの事後チェック体制に制度が改正され、国土交通省による保険会社等への立入検査、適正な支払いを行うことの指示等により保険金等支払いの適正化を図ることとし、併せて自賠責保険金等の支払い等に関する紛争処理のため、財団法人自賠責保険・共済紛争処理機構(http://www.jibai-adr.or.jp/)を指定し、紛争処理を行わせているところであり、当該紛争処理業務に要する経費の一部の補助を行っている。

 自動車損害賠償保障法(昭和30年法律第97号)に基づく指定紛争処理機関である、財団法人自賠責保険・共済紛争処理機構では、自賠責保険金等の支払いに関し、被害者等の紛争処理申請に基づき、公正中立で専門的な知識を持つ弁護士や医師等が支払い内容を審査し、調停を行っている。平成14年の指定以降、その業務は年々重要性を増し、平成14年度で161件あった紛争処理件数は、平成17年度では477件と増加傾向にあり、今後も引き続き、当該事業の実施のため必要な支援を行っていく。

紛争処理の流れの図

出典:(財)自賠責保険・共済紛争処理機構ホームページ 

 財団法人日弁連交通事故相談センター(http://www.n-tacc.or.jp/)における支援については、被害者の保護の増進の対策として、自動車事故に関する法律相談、示談あっ旋事業等を無料で行う同センターへの支援を行い、交通事故被害者の損害賠償問題の適正かつ迅速な処理の促進をもって被害者救済を図っている。

 平成16年度は、相談所を全国140か所に開設し、このうち28か所で示談あっ旋を行っており、相談所を延べ7,956日開設し、事故相談件数は3万4,353件を受け付けている。また、平成17年度は、相談所を全国141か所に開設し、このうち示談あっ旋を行っている相談所は29か所開設されており、相談所を延べ7,972日開設し、事故相談件数は3万4,848件を受け付けている。

 次に、政府保障事業による損害てん補については、自動車損害賠償保障法(昭和30年法律第97号)に基づき、自賠責保険による損害賠償を受けることができないひき逃げや無保険車等による事故の被害者に対して、本来の賠償責任者である加害者に代わり、政府が直接その損害のてん補を行っているものであり、平成16年度の損害てん補件数は、4,754件、平成17年度の損害てん補件数は、3,154件となっている。

 政府保障事業については、国土交通省ホームページ上で確認することができる(http://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/kyusaitaisaku/03.html)。



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