第1部 犯罪被害者等のための施策と進捗状況

第2章 犯罪被害者等のための具体的施策


第1節  損害回復・経済的支援等への取組

1 損害賠償の請求についての援助等(基本法第12条関係)

《基本計画策定以前からの施策で、基本計画策定後も引き続き実施する施策》

(1) 交通事故被害者への相談対応

 各都道府県警察本部及び警察署において、交通事故相談として、「交通相談係」の表示を掲げ、相談窓口を設置し、交通事故の当事者からの相談に応じて、

 ・保険請求、損害賠償請求制度の概要の説明

 ・被害者援助、救済制度の概要の説明

 ・各種相談窓口、被害者支援組織、カウンセリング機関の紹介

 ・示談、調停、訴訟の基本的な制度、手続等の一般的事項の説明

等を実施している。

 都道府県交通安全活動推進センターにおいて、職員のほか、弁護士、カウンセラー等を相談員として配置し、交通事故の保険請求、損害賠償請求、示談等の経済的被害の回復に関する相談のほか、交通事故による精神的被害の回復に関する交通事故被害者、遺族からの相談に応じ、適切な助言を行っている。

 また、交通事故等の被害者等から、当該交通事故等を起こした加害者に対する意見の聴取等の期日等について問合せがあった場合や、交通死亡事故の遺族や、重度後遺障害を受けた交通事故の被害者等から、当該事故の加害者に対する運転免許の行政処分の内容等について問合せがあった場合に、それぞれ適切に対応し、回答している。

交通事故被害者と遺族の精神的苦痛の様子

出典:警察庁ホームページ

(2) 刑事事件記録の閲覧制度

 検察庁において、刑事確定訴訟記録法(昭和62年法律第64号)に基づき、訴訟終結後の刑事事件の裁判書や記録(いわゆる確定記録)を保管している。確定記録の閲覧については、保管検察官の許可を得て誰でも閲覧することが可能であり、閲覧の請求があった場合には、保管検察官が同法に基づいて閲覧の許否を判断している。

 不起訴記録は、刑事訴訟法第47条により非公開が原則とされているが、同条ただし書により、従来から交通事故に関する実況見分調書等の証拠について、その事件に関連する民事訴訟の係属している裁判所からの送付嘱託や弁護士会からの照会に対し、開示することが相当と認めるときは、これに応じてきたところである。

 また、被害者等が民事訴訟等において被害回復のため損害賠償請求その他の権利を行使するために必要と認められる場合には、実況見分調書等の客観的証拠について、被害者等に対し弾力的に開示する運用としており、供述調書についても、開示できる範囲を拡大する等、引き続き、弾力的な運用に努めている。

(3) 刑事和解(犯罪被害者保護二法関係)

 犯罪被害者等の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律(平成12年5月19日法律第75号)に基づき、被告人と被害者等との間における被告事件に関連する民事上の争いについて合意が成立した場合には、刑事事件の係属する裁判所に対し、共同して当該合意の公判調書への記載を求める申立てをすることができ、その合意が公判調書に記載されたときは、その記載は、裁判上の和解と同一の効力を有するものとし、被害者等は被告人から債務の履行がない場合には、別に民事訴訟を提起することなく、当該公判調書により強制執行の手続をとることができる制度を導入し、平成12年11月1日より実施されている。

 この制度による申立てが公判調書に記載された延べ件数は、施行後、平成16年までの間に218件、平成17年から平成18年5月までの間に79件となっている(最高裁判所事務総局の資料による)。

 パンフレット「犯罪被害者の方々へ」のほか、法務省、検察庁及び裁判所ホームページにおいても、本制度の周知を図っている(法務省ホームページ:http://www.moj.go.jp/、検察庁ホームページ:http://www.kensatsu.go.jp/、裁判所ホームページ:http://www.courts.go.jp/)。



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