第1部 犯罪被害者等のための施策と進捗状況

第2章 犯罪被害者等のための具体的施策



(20) 検察庁の犯罪被害者等支援活動における福祉・心理関係の専門機関等との連携の充実

 法務省において、検察庁における犯罪被害者等支援活動に際し、刑事手続に関する専門的な法的知識、捜査・公判の実務経験に基づき、犯罪被害者等の立場を理解し適切に対応するとともに、福祉・心理関係の専門機関等との連携の充実を図ることとされた。そこで、犯罪被害者等の支援に携わる犯罪被害者支援員を対象とする研修において、福祉・心理関係の専門機関の関係者を講師に招く等、その連携・協力の充実・強化を図っている。

(21) 検察庁における犯罪被害者支援員と関係機関・団体等との連携・協力の充実・強化及び情報提供の充実

 法務省において、被害者支援員と犯罪被害者等支援に係る諸機関・団体等との連携・協力を充実・強化し、検察庁に相談窓口を求める犯罪被害者等に対し、被害者支援員等の連絡先等の一層分かりやすい提供や、犯罪被害者等支援に係る諸機関・団体等の犯罪被害者等支援のための制度等を説明できるよう努め、さらに、犯罪被害者等支援のための諸制度を所掌する府省庁の協力を得て、当該制度に関する案内書、申込書等を常備し、提供等していくことを含め、必要な情報が提供できるよう努めていくこととされた。

 犯罪被害者等の支援に携わる被害者支援員を対象とする研修において、被害者支援団体の関係者を講師に招く等して、その連携・協力の充実・強化を図っている。また、被害者等に対し、刑事司法手続における犯罪被害者保護・支援に関する制度やサービスの提供等について分かりやすく紹介するためのDVDを制作し、全国の検察庁に配布する予定である。

(22) 「子どもの人権110番」及び「子どもの人権専門委員」の活用・充実

 法務省において、法務局・地方法務局に設置されている専用相談電話「子どもの人権110番」及び「子どもの人権専門委員」の活用・充実を図っていくこととされた。

 平成17年6月から子どもの人権専門委員を954名に増員し、取組の強化を図るとともに、平成18年4月1日から「子どもの人権110番」の電話番号を全国共通化することにより、相談者の利便性の向上を図ったところである。さらに、平成18年度から「全国一斉『子どもの人権110番』強化週間」(平成18年8月28日から9月3日)を設けることとし、同強化週間中は、相談受付時間を延長する等して積極的に相談に当たっている。

 平成16年中における「子どもの人権110番」を利用した犯罪被害者等からの相談件数は、7件、平成17年中の相談件数は、4件であった。

▼子どもの人権110番のポスター

子どもの人権110番のポスター

出典:法務省ホームページ

【ミニコラム】

 平成17年度、「児童虐待防止推進月間」の初日である11月1日に「子どもの人権専門委員全国会議~かけがえのない命を守るために~」を開催し、児童虐待やいじめによる自殺防止等、子どもの人権問題への取組を強化するための対策を協議し、その結果を踏まえ、児童虐待防止のため国民に向けて「メッセージ」を発信した。

(23) 教育委員会と関係機関・団体等との連携・協力の充実・強化及び学校における相談窓口機能の充実

 文部科学省において、学校で児童生徒が犯罪被害者となる重大事件が発生した場合に、当該児童生徒の相談等の窓口として学校が有効に機能することを支援するため、教育委員会が、警察署、児童相談所、保健所、弁護士会、医師会等の関係機関と連携・協力を充実・強化し、犯罪被害者等支援に係る諸機関・団体等の犯罪被害者等支援のための制度等を説明できるよう努め、さらに、犯罪被害者等支援のための諸制度を所掌する府省庁の協力を得て、当該制度に関する案内書、申込書等を常備し、提供等していくことを含め、当該児童生徒及びその保護者等への対応等を行うことを促進することとされた。また、この場合において、加害者が教員・生徒等当該学校内部の者であった場合は、犯罪被害者となった児童生徒の状況にかんがみ、適切な者が相談等の窓口になるよう十分配慮することとされた。

 これまでも、問題を抱えた児童生徒を適切に支援できるよう、教育委員会においては、警察、児童相談所等関係機関との連携・協力に努めてきた。平成18年1月に開催した「生徒指導担当指導主事連絡会議」で、犯罪被害者等基本計画を配布し、教育委員会の生徒指導担当者に対して周知を図るとともに、各種会議において、学校・教育委員会・関係機関等との連携・協力を促している。

(24) 学校内における連携及び相談体制の充実

 文部科学省において、犯罪被害者等である児童生徒及びその保護者の相談等に対し、学校で、学級担任、生徒指導担当教員、教育相談担当教員、保健主事、養護教諭、スクールカウンセラー等が連携し、適切な対応ができるよう、必要に応じ、教員加配、スクールカウンセラーの配置をする等学校内の相談体制の充実を図っていくこととされた。

 児童生徒や保護者の相談等に適切に対応ができるよう、平成13年度より「スクールカウンセラー」、平成16年度より「子どもと親の相談員」を学校に配置しており、引き続き、「スクールカウンセラー」、「子どもと親の相談員」を学校に配置し、学校における教育相談体制を充実している。

(25) 学校における相談対応能力の向上等

 文部科学省において、学校の教職員が犯罪被害者等である児童生徒の相談等に的確に対応できるよう、犯罪等の被害に関する研修等を通じ教職員の指導力の向上に努めるとともに、スクールカウンセラーや「子どもと親の相談員」の配置等教育相談体制の充実等に取り組んでいくこととされた。

 平成13年度より「スクールカウンセラー」、平成16年度より「子どもと親の相談員」を学校に配置し、教育相談体制の充実等に取り組んでいる。また、各種会議等において、s教職員が児童生徒の相談等に適切に対応できるような研修の充実を促していく。

(26) 相談及び情報提供のための教育委員会による取組の促進

 文部科学省において、犯罪被害者等である児童生徒を含む児童生徒に対し、教育委員会が、心理学、教育学等に関する知識を有する専門職員や臨床心理の専門家等を教育センターや教育相談所等に配置し、相談窓口を設けるとともに、少年サポートセンター、児童相談所、福祉事務所、保健所等の地域の関係機関についての情報を当該児童生徒及びその保護者に提供することを促進することとされた。

 そこで、教育委員会が相談に関する専門家等を教育センターや教育相談所等に配置し、地域の関係機関についての情報を子ども及び保護者に提供するとともに、これらの取組について、会議等で促していく。



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