第1部 犯罪被害者等のための施策と進捗状況

第2章 犯罪被害者等のための具体的施策



(19) ストーカー事案への適切な対応

 警察において、ストーカー事案の担当者に対し、ストーカー行為等の規制等に関する法律(平成12年法律第81号。以下「ストーカー規制法」という。)の運用のみならず、被害者からの相談を受ける際に必要な能力を修得させることを含む専門教育を実施していくとともに、関係機関との連携を強化し、ストーカー事案への適切な対応に努めることとされた。

被害者少年への支援活動

提供:警察庁

 ストーカー行為等は、それ自体、被害者の生活の平穏を害する行為であるとともに、被害者に対する暴行、傷害、ひいては殺人等の凶悪犯罪まで発展するおそれのあるものである。ストーカー規制法を適切に運用することによって、被害者が早期に相談することができるよう必要な措置を講じ、関係機関が相互に緊密に連携して、被害者の立場に立った迅速かつ適切な対応・支援に努めるとともに、ストーカー規制法の仕組みがどのようになっているかということ、被害者の親族や支援者に対するつきまとい等の行為についてもストーカー規制法の保護の対象になり得ること等について、広報活動を推進している。

 具体的には、これまでの取組として、「ストーカー行為等の規制等に関する法律等の施行について」(平成12年11月)等により、都道府県警察に対して被害者の立場に立った的確な対応を推進するよう指示するとともに、平成13年以降、国民からの相談等に適切に対応するため、ストーカー・配偶者暴力対策専科を毎年実施している。

 また、「ストーカー対策マニュアル」を作成し、都道府県警察に配布したほか、「ストーカー行為者視察用車両」を都道府県警察に配備するとともに、「ストーカー対策ビデオ」等を都道府県警察に配布し、広報啓発を実施している。

 さらに、ストーカー被害者の保護のための住民基本台帳閲覧制限について、被害者に本制度の教示等を行うとともに、市町村に必要な協力を行うよう、都道府県警察に対して指示している。

 ストーカー事案の認知件数は、ストーカー規制法が施行された翌年の平成13年に1万4,662件を記録し、その後やや減少したものの、毎年1万件を超える高い水準で推移、平成17年中の認知件数は、1万2,220件となっている。

 警察では、被害者の意思を踏まえ、ストーカー規制法に基づく警告、禁止命令等、自衛策の教示その他の措置を講じることにより被害の拡大防止を図っているほか、同法その他の法令を適用して、ストーカー行為者の検挙に努めている。また、各種法令に抵触しない場合であっても、被害者に自分の身を守るための方策を教示したり、避難等が必要となったときのために婦人相談所等の関係機関を教示したりするほか、必要に応じて、ストーカー行為者に対する指導・警告を行う等、被害者の立場に立った積極的な対応を図っている。


【ミニコラム】

ストーカー事案の対応状況について

1 ストーカー事案の認知状況

ストーカー事案の認知状況

注:認知件数とは、「ストーカー規制法に抵触する事案のほか、刑罰法令に抵触すると抵触しないとを問わず、執ようなつきまといや無言電話等による嫌がらせの行為の伴う事案を認知した場合」にストーカー事案認知原票を作成した件数であり、同一の被害者と行為者間の行為であれば、複数回相談を受けたときにおいても1件として計上している。


犯罪被害者からの相談 流れの図

出典:警察庁ホームページ

2 ストーカー規制法の適用状況

ストーカー規制法の適用状況


3 ストーカー規制法以外の対応状況
(1) 他法令による検挙状況
他法令による検挙状況

注:未遂のある罪については未遂を含む。

 (2) その他の対応その他の対応

注1:「他機関等」は、保健所、婦人相談所、医療機関等を計上している。
注2:「その他」は、保護、入院措置等を計上している。



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