犯罪被害者等施策

犯罪被害等に遭われた方へ
警察庁

みんなに知ってもらいたい、犯罪被害者のこと

犯罪被害による心身への影響

 犯罪被害を受けた後は、一種のショック状態が続き、心や体に変調を来すことが多いのですが、これは異常なことではなく、突然、大きなショックを受けた後では誰にでも起こり得る事なのです。犯罪被害者等の心身の変調の現れ方は、人によって様々であり、また、同一人であっても時間の経過や環境の変化により一定ではありません。周りの人たちは、このような犯罪被害者等の変調を理解して接し、犯罪被害者等を責めたり、無理に励ましたりすることなどは避けてください。犯罪被害者等の心の傷の回復には、周囲の人々の理解と共感と支持がとても大切です。

心理面への影響

  • 感覚・感情が麻痺する
  • 現実だという感覚がない
  • 自分が自分でないと感じる
  • 記憶力、判断力の低下
  • 自己評価の低下
  • 他人や社会に対する信頼感の喪失
  • 恐怖感、不安感、自責感、無力感、絶望感、孤独感、疎外感、屈辱感、怒り、悲しみなどを抱く

身体面への影響

  • めまい・過呼吸・動悸・下痢・便秘
  • 不眠・悪夢
  • 吐き気・食欲不振

具体例

  • 人ごみが怖くて外に出られず、自宅にひきこもる。
  • 事件が起こったのは自分が全て悪いからだと思いこみ、自分を責める。
  • 何でもないのに涙が出るなど感情がコントロールできない。
  • 自分が受けた被害をまるで他人事のように淡々と語る。
  • 特定の日(事件等と関連のある日等)になると不安になる。
  • 亡くなった事実が受け入れられず、故人のことが頭から離れない。
  • 子供が親の後をいつもついてきて離れない。

犯罪被害者等への接し方

基本的心構え

 犯罪被害に遭った後には、周囲の人からの支えが大きな力となります。犯罪被害者等の話をよく聴き、できるだけその意思を尊重した対応をとりましょう。また、気持ちに余裕を持つことができない犯罪被害者等に代わって、必要とする様々な情報(支援制度、学校や地域の情報、報道等)を集める手伝いをすることも効果があります。

被害に遭って間がないときに接する場合

  • そばに付き添いましょう。
  • 人目に付かない休める場所等安心できる状況を作りましょう。
  • 着替えや宿泊場所等身の回りのことに気を配りましょう。
  • 犯罪被害者等の気持ちや反応が自然なものであることを伝えましょう。
  • 犯罪被害者が被害時の自分の行動を責めたり、ご家族が被害時に犯罪被害者の近くにいなかったことなどで自分を責めていたら、罪悪感を持つ必要がないことを伝えましょう。
  • 犯罪被害者等の話を無理に聞き出さないようにしましょう。
  • 犯罪被害者等が話したいときには、その話に耳を傾けましょう。
  • 気分の落ち込みがひどかったり、食事や睡眠がとれない状況が続く時には、医師や専門機関への相談を勧めましょう。

被害後しばらく経ってから接する場合

  • 犯罪被害者等の気持ちを理解するように努めましょう。
  • 様々な相談相手になりましょう。
  • 家事や育児、介護等の生活の手伝いをしましょう。
  • 警察や病院等への付き添いをしましょう。
  • 仕事や学校の問題に対処する手助けをしましょう。
  • お酒やカフェインを飲み過ぎないよう、アドバイスしましょう。

犯罪被害者等へ接するときのQ&A~友人・知人編~

先日、子供の同級生が事件(事故)で亡くなってしまいました。亡くなった同級生のお父さん、お母さんは、事件前と変わらずに生活しているように見えるのですが、どのように接していいのか分かりません。
ご両親はあまりのショックで、一時的に感情が麻痺している場合があります。そのような場合は、これまでどおり自然に挨拶するなど、なるべく普段どおりに接することを心がけましょう。大きなショックで感情の起伏も大きくなり、相手から素っ気ない返事をされたり、時には返事が返ってこないことも考えられます。それはやむを得ない反応であり、精神的に苦しまれていることを理解した上で、また同じように声を掛けてみましょう。
近所に住む○○さんのご家族は、最近、事件に巻き込まれてしまいました。これまで家族ぐるみで付き合いがあり、何かしてあげられないかと思うのですが、ご家族は何を望んでいるのでしょうか。
犯罪被害者等はとても傷付き、目の前にあるこれからの生活に目を向けることができない場合があります。犯罪被害者等に対して「何か困っていることはない?」と尋ねると、本当は困ったことだらけなのに、うまく考えがまとまらなかったり、気を遣ったりして答えることができないことも少なくありません。あなたができること、してあげたいこと、気付いたことを具体的に提案してみましょう。例えば、「食べ物や飲み物を買ってこようか?」「家の前の掃き掃除だけでもしておく?」「ゴミは貯まってない?」などの声掛けが考えられます。
部下の○○さんは、事件の被害に遭ってしばらく入院と自宅療養をしていましたが、近々、職場に復帰する予定です。ほかの同僚は、○○さんの被害を知りません、上司である私は何をすべきでしょうか。
まず、○○さんと復帰に向けた話し合いをして、本人が不安に思っていること、配慮してほしいことなどを具体的に確認しましょう。その上で、具体的な勤務時間や配置所属等に関する配慮、同僚に対して長期休暇の理由等をどのように伝えるかなどを検討するのが良いでしょう。また、上司であるあなた自身も○○さんに対してなるべく自然に接する、体調の変化に気を配るなどの配慮をお願いします。
友人から、犯罪の被害に遭ったことを打ち明けられました。警察に行こうか迷っているということなのですが、どんなアドバイスをすべきでしょうか。
警察では、犯罪被害者等の負担軽減を図るため、希望する性別の職員が応対するようにしています。また、専門のカウンセラーによるカウンセリングを受けたり、病院の初診料等を公費により負担する制度等もあります。特に、性犯罪の被害者は、妊娠や性感染症のリスクがあるため、早急に専門医の診断を受けることが重要です。警察においては、そのような場合における緊急避妊に要する経費や性感染症の検査費用等を公費負担する制度もあります。ご友人にこれらのことを伝えてあげるなどにより、警察への相談を勧めてください。

犯罪被害者等の声~周囲の方の言動や行動から~

犯罪被害者等のから実際に話をうかがった警察職員が、犯罪被害者等と接する中で体験した事例をまとめました。

良かったこと

犯罪被害者等にとっては、周囲の人の何気ない気配りや
ちょっとした気遣いで安心できることがあります。

  • 友人が夕飯を差し入れてくれた。
  • 大事な仕事があるとき、同僚が子供の面倒を見てくれた。
  • 趣味のスポーツで知り合った複数の友人が、毎日、代わる代わる付き添ってくれた。
  • 友人が代わりに買い物をしてくれた。外出にも付き合ってくれた。
  • 自治会やPTAの当番(係)の交代を申し出てくれた。
  • 友人に被害を打ち明けたら、直ぐに駆けつけてくれた。
  • 職場で、休暇や勤務配置を考慮してくれた。

辛かったこと

犯罪被害者等との関係性にもよりますが、良かれと思って言ったこと、
行動したことが逆に犯罪被害者等を傷つけてしまうこともあります。

  • 近所の人に、無理をして明るく振る舞っていたら「元気そう。」「強いね。」などと言われた。
  • 知人に「家にこもってばかりはだめ。」と言われ、無理矢理、外出させられた。
  • 同僚に「私はこんな辛いことがあるけど、あなたとどっちが辛いかな。」と天秤に掛ける発言をされた。
  • 知人から犯人の近況を伝えられた。
  • 名前が報道されたら、疎遠だった友人から急にSNSで連絡が来た。
  • 友人に「時間も経ったし、これからは普通に接するね。」と言われた。

被害者支援リーフレット