第1章 組織犯罪との闘い 

(3)組織の整備・総合的な取組み

 暴力団犯罪,組織化された来日外国人による犯罪,組織を背景としたけん銃事犯及び薬物事犯等の組織犯罪について,(1)及び(2)で述べたような取組みを円滑に行うためには,警察が,組織・人員の効率的な運用を始めとする合理化を徹底するとともに,従来の部門の枠にとらわれることなく,組織体制を整備することが必要である。このため,多くの都道府県において,組織犯罪対策のための体制が整備されてきている。

事例1
 神奈川県警察では,平成14年1月に,警察本部長を長とし,生活安全部,刑事部,警備部の関係各課長・課員からなる「組織犯罪対策本部」と,その事務局として「組織犯罪対策室」を設置し,各部門での経験を生かした総合力の発揮,情報の一元化による犯罪組織の実態解明と壊滅,関係機関との連携強化等,組織犯罪対策を強力に推進している。

 さらに,15年2月には,各都道府県ごとに情勢に合わせた自主的な取組みが可能となるよう警察法施行令が改正され,「警視庁及び道府県警察本部の内部組織の基準」が弾力化された。これを受け,警視庁では,15年4月,組織犯罪対策部を設け,新たな総合的な体制を整備した(第9章第3節「我が国の警察組織」参照)。
 警察では,引き続き,組織犯罪対策に関する総合的な取組み,警察庁及び都道府県警察の組織の在り方について,不断の検討を行うこととしている。

事例2
 警視庁では,15年4月,刑事部にあった捜査第四課,暴力団対策課,国際捜査課,生活安全部にあった銃器薬物対策課,国際組織犯罪特別捜査隊,公安部にあった外事特別捜査隊の各課・隊を移行・再編して,組織犯罪対策部を新設した。これまで同庁では,13年9月に組織犯罪対策本部を設け,関係各部の連絡調整を密にして組織犯罪に対応してきたが,組織犯罪対策部を独立させて新設することで,より一体的な対策の推進を目指している。

 

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