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第2章 精神的・身体的被害の回復・防止への取組

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1 保健医療サービス及び福祉サービスの提供(基本法第14条関係)

(1) 「PTSD対策に係る専門家の養成研修会」の内容の充実等

【施策番号39】

厚生労働省においては、「PTSD(心的外傷後ストレス障害)対策専門研修」で医師、看護師、保健師、精神保健福祉士等を対象としたPTSD等に関する技能研修を行い、精神保健福祉センター、医療機関、保健所等における地域住民等に対する相談支援の充実を図っている。

「PTSD対策専門研修」では、犯罪被害者等の心のケアに関する研修も実施しており、平成29年度は333人が受講した。

(2) PTSDの診断及び治療に係る医療保険適用の範囲の拡大

【施策番号40】

厚生労働省においては、平成30年度の診療報酬改定において、通院における精神療法を初診時に長時間(60分以上)行う場合の評価を新設した。また、PTSDの診断及び治療を含む精神療法については、次のとおり医療保険適用の範囲の拡大や診療報酬の評価の充実を段階的に図っている。

18年度の診療報酬改定:PTSDの診断のための心理テストを保険適用とした。

22年度の診療報酬改定:通院・在宅における精神療法を長時間(30分以上)行う場合の評価を充実させた。

24年度の診療報酬改定:精神科救急医療体制の確保に協力を行っている精神保健指定医等が行う通院・在宅における精神療法の評価を充実させた。

26年度の診療報酬改定:通院・在宅における精神療法において、必要に応じて児童相談所等と連携すること等を要件として、20歳未満の患者に対する診療の評価を充実させた。また、在宅における精神療法を長時間(60分以上)行う場合の評価を新設した。

28年度の診療報酬改定:PTSDに対する認知療法・認知行動療法を保険適用とした。また、専門的な精神医療を提供している保険医療機関や特定機能病院が行う、20歳未満の患者に対する通院・在宅における精神療法の評価を新設した。

(3) PTSD治療の可能な医療機関についての情報提供

【施策番号41】

厚生労働省においては、平成19年4月から、医療機関に対し、医療機能に関する一定の情報について、都道府県への報告を義務付け、都道府県が医療機関の診療科目、医師や看護師数等の基本的な情報、提供する医療の内容に関する情報及び医療連携や医療安全に関する情報を比較できるように整理し、ウェブサイト等において住民が利用しやすい形で公表する医療機能情報提供制度を施行している。同制度の報告事項には、PTSD治療の可否も含まれており、厚生労働省においては、政府広報やウェブサイトを活用し、同制度の周知に努めている(厚生労働省ウェブサイト:http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/teikyouseido/index.html)。

(4) PTSD治療に係る自立支援医療制度の利用の周知

【施策番号42】

厚生労働省においては、「犯罪被害者等のPTSD治療に係る自立支援医療(精神通院医療)の利用について(周知依頼)」(平成28年4月28日付け厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部精神・障害保健課長通知)により、各都道府県・指定都市障害保健福祉主管部(局)長に対して、PTSD治療(保険診療に限る。)が自立支援医療(精神通院医療)の対象となることについて、広報等を通じた周知を依頼した。

(5) 犯罪被害者等への適切な対応に資する医学教育の促進

【施策番号43】

文部科学省においては、平成29年3月に「医学教育モデル・コア・カリキュラム」※1(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/koutou/033-2/toushin/1383962.htm)を改訂し、PTSDについては、学生が複眼的に学修できるよう不安障害群や心的外傷及びストレス因関連障害群として整理するとともに、同年5月に開催された全国医学部長病院長会議における総会をはじめとした医学部関係者が参加する各種会議で第3次基本計画の内容を紹介し、各大学におけるPTSD等の精神的被害に関する教育の充実に向けた取組を要請した。

また、厚生労働省においては、医学部卒業後の医師臨床研修の到達目標に、経験が求められる疾患として精神・神経系疾患を位置付けており、研修医の精神疾患に対する理解を促進している。


※1 各大学のカリキュラム改革に資するよう、13年3月に文部科学省の「医学・歯学教育の在り方に関する調査研究協力者会議」において、全ての医学生が卒業までに最低限修得すべき教育内容をガイドラインとして示したもの。

(6) 精神保健福祉センターに対する犯罪被害者等支援業務についての理解促進

【施策番号44】

精神保健福祉センターにおいては、心のケアが必要な犯罪被害者等に対して精神保健に関する相談・支援を行っているところ、厚生労働省においては、平成20年度に「犯罪被害者の精神健康の状況とその回復に関する研究」で取りまとめられた「犯罪被害者等支援のための地域精神保健福祉活動の手引」(http://www.ncnp.go.jp/nimh/seijin/www/pdf/shiryo_tebikizenbun.pdf)を、精神保健福祉センターに配布し、支援の充実を図っている。

また、必要に応じて、厚生労働省が主催する精神保健福祉センター長会議で犯罪被害者等に関する議題を取り上げることとしている。

(7) 地域格差のない迅速かつ適切な救急医療の提供

【施策番号45】

厚生労働省においては、ドクターカー・ドクターヘリの普及や、初期救急、入院を要する救急である二次救急、救命救急である三次救急の救急医療体制の体系的な整備を図っている。また、消防庁及び厚生労働省においては、医学的観点から救急救命士を含む救急隊員が行う応急処置等の質を担保するとともに、平成29年10月現在、全都道府県及び243の地域単位のメディカルコントロール協議会の質を底上げし、メディカルコントロール体制※2を充実強化することを目的として、全国メディカルコントロール協議会連絡会を開催している。


※2 救急現場から医療機関に搬送されるまでの間において、救急救命士等が行う応急処置等の質を保障する仕組み。具体的には、各種プロトコールの作成、医師による指示・指導・助言、救急活動の事後検証等が行われる体制をいう。

(8) 救急医療に連動した精神的ケアのための体制整備

【施策番号46】

厚生労働省においては、救命救急センターに犯罪被害者等が搬送された場合にも、救急医療の実施と併せて、精神科の医師による診療等が速やかに行われるよう、精神科の医師を必要に応じて適時確保することを各都道府県に求めている。

なお、平成28年度末現在、215の救命救急センターが救急医療の実施と併せて、精神科の医師による診療等が行える体制を整備している(厚生労働省ウェブサイト:http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188907.html)。

(9) 交通事故による重度後遺障害者に対する医療の充実等

【施策番号47】

国土交通省においては、平成13年度から自動車事故による重度後遺障害者で在宅介護を受けている者の入院を積極的に受け入れる病院を短期入院協力病院として指定することを始め、29年度には13病院を新たに指定し、全国で合計177病院となった。また、病院に加えて、25年度から障害者支援施設等を短期入所協力施設として指定することを始め、29年度には21施設を新たに指定し、全国で合計92施設となった。

独立行政法人自動車事故対策機構(NASVA〔ナスバ〕)においては、全国8か所の療護施設において、自動車事故による遷延性意識障害者に対する高度な治療・手厚い看護を行っているほか、新たな取組として、30年1月、急性期から慢性期における連続した治療・リハビリの臨床研究等を行う「一貫症例研究型委託病床」を新設した。(コラム4「独立行政法人自動車事故対策機構(NASVA)による自動車事故被害者支援」参照)。

NASVAの被害者支援に関するポスター
NASVAの被害者支援に関するポスター

(10) 高次脳機能障害者への支援の充実

【施策番号48】

厚生労働省においては、各都道府県で実施する「高次脳機能障害及びその関連障害に対する支援普及事業」を支援しており、同事業では、高次脳機能障害者に対する支援を行うための支援拠点機関の設置、相談支援コーディネーターによる専門的な相談支援、関係機関との地域ネットワークの充実、高次脳機能障害の支援手法等に関する研修等を行っている。

また、平成23年10月、国立障害者リハビリテーションセンター内に高次脳機能障害情報・支援センターを設置し、高次脳機能障害に関する最新の支援情報をはじめとする様々な情報を集約し、高次脳機能障害のある者やその家族、支援関係者等に役立つ情報をウェブサイトで発信する体制を整備するなど、情報提供機能の強化を図っている。特に、専用ページ(http://www.rehab.go.jp/brain_fukyu/)において、高次脳機能障害のある者が障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づくサービスの対象であることや、疾患や年齢に応じた制度等を掲載し、周知を図っている。

高次脳機能障害及びその関連障害に対する支援普及事業
高次脳機能障害及びその関連障害に対する支援普及事業

(11) 思春期精神保健の専門家の養成

【施策番号49】

厚生労働省においては、思春期精神保健対策専門研修として、医療従事者及びひきこもり支援従事者を対象に、児童虐待や家庭内暴力等に起因する精神障害等、子供の心の診療に関連した系統講義を行っている。

平成29年度は、医療従事者専門研修(全2回)に延べ113人、ひきこもり対策研修に175人が参加した。

(12) 被害少年等のための治療等の専門家の養成、体制整備及び施設の増強に資する施策の実施

【施策番号50】

厚生労働省においては、虐待を受けた子供の児童養護施設等への入所が増えていることを受け、平成23年度に児童養護施設等に心理療法担当職員及び個別対応職員の配置を義務化するなど、適切な援助体制を確保している。

また、児童相談所においては、円滑な業務遂行のため、児童福祉司(指導及び教育を行う児童福祉司スーパーバイザーを含む。)、相談員、医師(精神科又は小児科を専門とする医師)又は保健師、児童心理司、心理療法担当職員、弁護士等を配置するとともに、子供の相談援助活動を行うに当たって専門的・医学的な判断や治療を必要とする場合には、医療機関の受診に関する援助を行うこととしている。

29年4月現在、全国の児童相談所には、630人の医師、138人の保健師及び1,379人の児童心理司が配置されている。

児童相談所の設置状況・職員配置状況
  児童
相談所数
児童
福祉司数
児童
心理司数
平成22年4月1日現在 205 2,477 1,108
平成23年4月1日現在 206 2,606 1,162
平成24年4月1日現在 207 2,670 1,193
平成25年4月1日現在 207 2,771 1,237
平成26年4月1日現在 207 2,829 1,261
平成27年4月1日現在 208 2,934 1,293
平成28年4月1日現在 209 3,030 1,329
平成29年4月1日現在 210 3,253 1,379
※ 平成22年の児童相談所数については、同年5月10日現在
提供:厚生労働省

(13) 里親制度の充実

【施策番号51】

厚生労働省においては、平成28年5月に成立し、29年4月から施行された児童福祉法等の一部を改正する法律(以下「児童福祉法等改正法」という。)により改正された児童福祉法に基づき、家庭における養育が困難又は適当でない場合には、まずは養子縁組や里親等への委託を優先することとした。また、同法において、里親の開拓から児童の自立支援までの一貫した里親支援が都道府県(児童相談所)の業務として位置付けられたことに伴い、29年度から従前の里親支援機関事業を拡充した里親支援事業を実施し、里親制度の更なる充実を図っている。

(14) 児童虐待に対する夜間・休日対応の充実等

【施策番号52】

ア 厚生労働省においては、児童相談所が夜間・休日を問わず、いつでも相談に応じられる体制を整備するための予算補助を行っており、平成30年3月現在、全ての児童相談所で24時間・365日対応できる体制が確保されている(69自治体、210か所)。

【施策番号53】

イ 厚生労働省においては、都道府県が、児童相談所では対応しきれない医学的判断・治療が必要となるケースについて迅速かつ適切に対応するため、地域の医療機関を協力医療機関に指定し、医学的知見から個々のケースに応じた心身の治療の必要性等について専門的・技術的な助言を得る取組に対し、予算補助を行っている。

(15) 被害少年等の保護に関する学校及び児童相談所等の連携の充実

【施策番号54】

地方公共団体が設置する要保護児童対策地域協議会は、虐待を受けている子供等の早期発見や適切な保護を図るため、児童相談所、学校・教育委員会、警察等の関係機関と要保護児童やその保護者等(以下「支援対象児童等」という。)に関する情報共有や、支援内容の協議を行うこととしており、その結果を踏まえ、関係機関が適切な連携の下で対応している。同協議会は、平成28年4月現在、99.2%の市町村で設置されている。

また、児童福祉法等改正法により改正された児童福祉法及び児童虐待の防止等に関する法律において、保護者の養育を支援することが特に必要と認められる子供等(以下「要支援児童等」という。)と思われる者に日頃から接する機会の多い学校、病院、診療所、児童福祉施設等の関係機関は、要支援児童等と思われる者を把握した場合、当該者の情報を現在地の市町村に提供するよう努めなければならないこととされ、また、当該関係機関は、児童相談所等から児童虐待の防止等に関する資料等の提供を求められたときは、当該資料等を提供することができることとされた。

要保護児童対策地域協議会
要保護児童対策地域協議会
  平成25年度 平成27年度 平成28年度
設置している市町村数(全市町村に占める割合) 1,722(98.9%) 1,726(99.1%) 1,727(99.2%)
登録ケース数(うち児童虐待) 178,610(84,917) 191,806(92,140) 219,004(97,428)
調整機関
職員数
<1> 児童福祉司と同様の専門資格を有する職員 1,586 1,800 1,663
<2> その他専門資格を有する職員 3,091 3,873 3,403
<3> <1><2>以外の職員(事務職等) 3,556 3,647 2,967
<4> 合計 8,233 9,320 8,033
※ 「設置している市町村数」及び「調整機関職員数」については、各年4月1日現在の数値
提供:厚生労働省

(16) 被害少年等に対する学校におけるカウンセリング体制の充実等

【施策番号55】

ア 文部科学省においては、犯罪被害者等を含む児童生徒の相談等に適切に対応できるよう、学校における教育相談体制の充実に取り組んでいる。具体的には、児童生徒の心理に関して高度に専門的な知識・経験を有するスクールカウンセラーの学校等への配置及び緊急支援のための派遣に対して補助を行っている。平成31年度までに、全公立小・中学校約2万7,500校にスクールカウンセラーを配置することを目標としており、29年度においては、その配置に係る経費(2万6,000校分)を予算措置した。また、福祉の専門的な知識・技術を用いて児童生徒を支援するスクールソーシャルワーカーの教育機関等への配置に対して補助を行っている。31年度までに、全ての中学校区に約1万人のスクールソーシャルワーカーを配置することを目標としており、29年度においては、その配置に係る経費(5,047人分)を予算措置した。

スクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカーの活動概要
スクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカーの活動概要

【施策番号56】

イ 教職員が犯罪被害者等である児童生徒の相談等にも的確に対応できるよう、大学の教職課程においては、カウンセリングに関する基礎的な知識を含む教育相談の理論及び方法を必ず取り扱うこととされている。また、地方公共団体の教育相談指導者を対象として、犯罪被害者等に関する内容を含む教育相談の研修を実施している。

(17) 被害少年が受ける精神的打撃軽減のための継続的支援の推進

【施策番号57】

人格形成の途上にある少年が被害を受けた場合、その後の健全育成に与える影響が大きいことから、警察においては、被害少年の再被害を防止するとともに、その立ち直りを支援するため、少年補導職員等による指導・助言のほか、カウンセリング等の継続的な支援を行っている。

被害少年の支援に際しては、臨床心理学、精神医学等の高度な知識・技能を有する部外の専門家を被害少年カウンセリングアドバイザーとして委嘱し、その適切な指導・助言を受けながら支援を実施するとともに、それぞれの地域においては、保護者等との緊密な連携の下に、少年を取り巻く日常の環境の変化や生活状況を把握しつつ、きめ細かな訪問活動を行うボランティアを被害少年サポーターとして委嘱し、これらの者と連携した支援活動を推進している。

子供の性被害をめぐる情勢については、平成29年中、児童ポルノ事犯の検挙を通じて新たに特定された被害児童は1,216人で、このうち21.6%は抵抗するすべを持たない低年齢児童(小学生以下)であるほか、SNSの利用に起因して児童買春等の被害に遭う児童の数が近年増加を続けているなど、厳しい状況である。警察では、このような情勢を踏まえ、同年4月に犯罪対策閣僚会議において決定された「子供の性被害防止プラン」(児童の性的搾取等に係る対策の基本計画)に基づき、関係省庁と連携し、被害児童の迅速な保護及び適切な支援に向けた取組を推進している(コラム5「子供の性被害防止プラン」参照)。

被害少年への支援活動
被害少年への支援活動

(18) 警察における性犯罪被害者に対するカウンセリングの充実

【施策番号58】

警察においては、平成30年4月現在、40都道府県警察で135人(うち臨床心理士85人)の部内カウンセラーを配置するとともに、45都道府県警察でカウンセリング費用の公費負担制度を運用している(【施策番号15】参照)。

(19) 性犯罪被害者に対する緊急避妊に関する情報提供

【施策番号59】

厚生労働省においては、性犯罪被害者を含め、緊急避妊を必要とする者が、緊急避妊薬の使用目的や使用方法等を含め、緊急避妊の方法等に関する情報を得られるよう、保健所や女性健康支援センター等を通じて情報提供を行っている。

警察におけるカウンセリングの様子
警察におけるカウンセリングの様子

(20) 性犯罪被害者対応における看護師等の活用

【施策番号60】

厚生労働省においては、医師・看護師等の職種が連携し、各々の専門性を発揮して性犯罪も含めた暴力被害者支援に取り組んでいる実践的な事例を盛り込んだ「チーム医療推進のための基本的な考え方と実践的事例集」をウェブサイト(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001ehf7.html)等で周知している。

(21) ワンストップ支援センターの設置促進

【施策番号61】

ア 警察庁においては、関係省庁、地方公共団体及び犯罪被害者等の援助を行う民間の団体等に対し、「犯罪被害者等施策情報メールマガジン」を通じてワンストップ支援センターの開設状況や効果的な広報啓発活動について情報提供を行うなどにより、地方公共団体における性犯罪被害者支援に係る関係部局や医療機関、犯罪被害者等の援助を行う民間の団体間の連携・協力の充実・強化を要請している。

【施策番号62】

イ 内閣府においては、性犯罪被害者等が安心して相談をし、必要な支援を受けられる環境を整備するため、地方公共団体の職員や性犯罪被害者等の支援を行う相談員を対象とした研修を実施し、先進的な取組等の好事例を紹介するなどしている。

【施策番号63】

ウ 厚生労働省においては、都道府県等の協力を得て、犯罪被害者支援団体、医師等の医療関係者等から、ワンストップ支援センター開設に向けた相談があった場合には、協力が可能な医療機関の情報を収集し、当該団体等に提供することとしている。

【施策番号64】

エ 厚生労働省においては、平成28年3月、告示改正を行い、医療機能情報提供制度の内容に、ワンストップ支援センターが施設内に設置されているかどうかに関する項目を追加した(医療機能情報提供制度については、【施策番号41】参照)。

【施策番号65】

オ 内閣府においては、都道府県による性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターの設置を促進し、運営の安定化を図るため、29年度に性犯罪・性暴力被害者支援交付金を創設した(性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターの設置状況については、コラム6「性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターの設置促進」を、警察庁における取組については、【施策番号201】を、それぞれ参照)。

(22) 犯罪被害者等に関する専門的知識・技能を有する専門職の養成等

【施策番号66】

ア 警察庁においては、一般社団法人日本臨床心理士会に働き掛け、犯罪被害者等に関する専門的知識・技能を有する臨床心理士の養成及び研修の実施を促進しているほか、都道府県臨床心理士会の被害者支援担当者を集めた研修会に職員を派遣し、犯罪被害者等施策に関する講義を実施している。

また、犯罪被害者週間の実施に当たり、同会や各都道府県の臨床心理士会、臨床心理士受験資格に関する指定大学院に広報啓発ポスターや啓発イベントの開催案内を送付し、臨床心理士等の参加を呼び掛けるなどしている。

【施策番号67】

イ 警察庁においては、社会福祉士がインターネットを通じていつでも基本法や第3次基本計画の内容等について学ぶことができるe-ラーニングのコンテンツ作成について、公益社団法人日本社会福祉士会に協力し、犯罪被害者等に関する専門的な知識・技能を有する社会福祉士の養成及び研修の実施に努めている。

また、犯罪被害者週間の実施に当たり、厚生労働省と連携して、同会や各都道府県の社会福祉士会、社会福祉学科等を設けている大学、公益社団法人日本看護協会等に広報啓発ポスターや啓発イベントの開催案内を送付し、社会福祉士等の参加を呼び掛けるなどしている。

(23) 法科大学院における教育による犯罪被害者等への理解の向上の促進

【施策番号68】

文部科学省においては、犯罪被害者等に対する理解の向上を含め、真に国民の期待と信頼に応え得る法曹の養成に努めるよう、法科大学院に促している。法科大学院においては、これに応え、犯罪被害者等の実態を把握・分析し、犯罪被害者等の法的地位、損害回復の方法、被害者支援活動における課題等を考察する「被害者学」、「被害者と法」等の授業科目を開設するなどの取組を行っている。

(24) 犯罪被害者等に対する医療機関に関する情報の周知

【施策番号69】

厚生労働省においては、医療機能情報提供制度(【施策番号41】参照)を運用し、犯罪被害者等を含む患者が、医療に関する情報を得られ、適切に医療機関を選択できるよう支援している。

(25) 犯罪被害者等の受診情報等の適正な取扱い

【施策番号70】

ア 個人情報保護委員会及び厚生労働省においては、医療機関等による個人情報の適切な取扱いを確保する目的で、「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」(平成29年4月14日付け個人情報保護委員会事務局長・厚生労働省医政局長・医薬・生活衛生局長・老健局長通知)を定め、医療機関等に適切な対応を求めている。また、厚生労働省においては、「診療情報の提供等に関する指針」(15年9月12日付け厚生労働省医政局長通知)を策定しており、医療機関等に適切な対応を求めている。さらに、医療法に基づき設置されている都道府県等の医療安全支援センターにおいては、患者やその家族から個人情報の取扱いを含めた医療に関する苦情・相談を受けた場合、当該患者やその家族又は苦情・相談のあった医療機関の管理者に対し、必要に応じて助言を行うこととされている。医療保険者についても、「健康保険組合等における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」(29年4月14日付け個人情報保護委員会事務局長・厚生労働省保険局長通知)等の関連ガイダンスを通知し、引き続き適切な対応を求めている。

【施策番号71】

イ 金融庁においては、犯罪被害者等の保険利用に関する情報をはじめとする個人情報の取扱いに関し、保険会社に問題があると認められる場合には、保険業法等に基づき、保険会社に対する検査・監督において適切な対応を行っている。

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