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第2節 支援等のための基盤・体制整備状況

「犯罪被害者等のための施策は,被害の状況及び原因,犯罪被害者等が置かれている状況その他の事情に応じて適切に(基本法第3条第2項)」,また,「犯罪被害者等が,被害を受けたときから再び平穏な生活を営むことができるようになるまでの間,必要な支援等を途切れなく受けることができるよう(同条第3項)」講ぜられることが期待されている。

そのため,国,地方公共団体,日本司法支援センターその他の関係機関,犯罪被害者等の援助を行う民間の団体その他の関係する者は,犯罪被害者等のための施策が円滑に実施されるよう,「相互に連携を図りながら協力しなければならない(基本法第7条)」。そして,これを実現するために,第2次基本計画において,「V 重点課題に係る具体的施策―第4 支援等のための体制整備への取組」として,相談及び情報の提供等に関する50施策,調査研究の推進等に関する14施策,民間の団体に対する援助に関する9施策が掲げられている(なお,再掲含む)。

その例として,内閣府において,地方公共団体における被害者支援の窓口となる部局(以下「施策主管課」という。)等の設置を促し,地方公共団体として犯罪被害者等への支援を行う際の留意点や関係機関・団体等の支援内容や連絡先等をまとめた「犯罪被害者支援ハンドブック(仮称)」の作成・活用等について要請するとともに,先進的・意欲的な取組を実施している地方公共団体による事例紹介等を通じ,情報の共有化及び各地方公共団体の取組を促進することとされている(第4-1-(1) ア及びイ,施策番号141,142)。また,内閣府において,地方公共団体に対し,把握している犯罪被害者支援団体に関する情報を提供するとともに,自らも犯罪被害者支援団体の実態を把握し連携の強化を図るよう要請する(同第4-3-(3),施策番号209)こととされている。

ここでは,上記のような施策に関連し,地方レベルでの支援体制の充実について,主として地方公共団体における取組の進展状況について紹介する(上記内閣府の取組も含め,支援等のための体制整備への取組に関する実施状況については,第2章P68以下参照)。

1 地方公共団体における窓口

(1) 確定・設置状況

内閣府においては,第1次基本計画及び第2次基本計画を通じて,犯罪被害者等施策に関する施策主管課の確定と,当該地方公共団体における犯罪被害者等に関する適切な情報提供を行う総合的な対応窓口(以下「総合的対応窓口」という。)の設置を地方公共団体に対して働きかけてきた。

ア 都道府県・政令指定都市における状況

都道府県・政令指定都市においては,既に平成24年4月1日時点において全ての地域において施策主管課の確定及び総合的窓口の設置がなされている。

なお,平成25年4月1日現在,都道府県・政令指定都市における犯罪被害者等施策主管課は,いずれも他の関連施策の担当課も兼務しており,例えば84%の犯罪被害者等施策主管課は,地域安全・安心(防犯)も兼ねている。そのほか,兼務の多い施策分野としては,多い順に交通安全69%,消費者24%,人権18%,男女共同参画16%等がある。いずれも重複する目標がうかがえる関連分野であり,課として兼務していない場合であるとしても,かかる分野を担当する他部局も含めた庁内での情報共有・連携が図られることが望ましい。

(都道府県・政令指定都市における施策主管課の状況の詳細は,P208資料9-1参照

イ 市町村及び特別区における状況

市町村及び特別区(以下「市区町村」という。)における状況としては,平成25年4月1日現在,全国1,722市区町村中,1,643市区町村(約95%)において施策主管課が確定され,1,188市区町村(約69%)において総合的対応窓口が設置されている。

都道府県内の全ての市区町村において施策主管課及び総合的対応窓口双方が確定・設置されているのは,秋田,山形,栃木,群馬,新潟,富山,石川,福井,滋賀,京都,兵庫,和歌山,島根,岡山,山口,長崎,熊本,鹿児島の18地域である。傾向として,施策主管課を設けている率の方が高く,全ての市町村において施策主管課が設置されているにもかかわらず,総合的対応窓口の設置率は50%にも満たない地域も少なくない。

総合的対応窓口の設置率が低い理由としては,総合的対応窓口に求められる役割の理解の不足が考えられる。また,施策を担当する窓口が確定していない地域は,総合的対応窓口の設置も進んでいない状況からは,そもそも地方行政と犯罪被害者等との関わりに関する理解の不足もうかがえる。

しかし,犯罪被害者等が平穏な生活を取り戻す上で地方公共団体に求められる役割は,各種届出や申請手続等での関わり以外でも,最も身近な公的機関として少なくない(P12コラム3「犯罪被害者等の声」参照)。内閣府において,引き続き地方公共団体職員研修や,メールマガジン等を通じ,地方公共団体における犯罪被害者等支援に関する実例等の情報を提供するなど,当該地方行政機関内における犯罪被害者等に関する施策の拠点が,他機関・地域住民にとって不明瞭な状態となっている市区町村に,適切な窓口を設置することを促していくこととする(市区町村における施策主管課の確定・総合的対応窓口の設置状況の詳細は,P210資料9-2参照)。

(2) 適切な対応のための取組

総合的対応窓口の設置は,犯罪被害者等が求める情報を得やすくするための取組ではあるが,犯罪被害者等がそれと明示せずとも,市区町村における住民届や国民健康保険等,実際に地域住民として訪れることとなる各種窓口において,無用な二次被害を与えず,適切な対応がなされていることが望ましい。

この観点から,都道府県・政令指定都市において,二次被害防止のためのマニュアルの備付けや市区町村職員も含め,各種窓口担当者に対する研修会の開催などの取組が行われている。

窓口担当職員に対する意識啓発の実施状況(平成24年度)

さらに,都道府県施策主管課において,他の部局や市区町村の施策主管課との連携のために,庁内連絡会議の開催,市区町村担当課長会議や市区町村の担当者に対する研修会の開催,都道府県独自のメールマガジンの発行などの取組が行われている。

他の部局,市区町村との連携のための取組状況(平成24年度,47都道府県中の数値)
他の部局との連携のための取組市区町村との連携のための取組
会議,研修会等の開催4139
メールマガジン等による情報共有 613
その他66

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