警察において、犯罪被害者等からの要望がある場合には、交番・駐在所の地域警察官が犯罪被害者等を訪問し、被害の回復、拡大防止などに関する情報の提供、防犯上の指導連絡などを行っている。また、被害の態様などによっては、必要に応じて、パトロールや女性警察官による訪問・連絡活動などを行っている。
警察庁においては、平成19年2月に地域部門と事件捜査部門の連携強化や警察署長などを責任者とする指導監督体制を盛り込むなどの改正を加えた「地域警察官による被害者への訪問・連絡活動実施要領」を各都道府県警察に発出しており、同要領の効果的運用を指示している。
検察庁において、事件の処理結果、公判期日、裁判結果などのほか、希望があるときは不起訴裁定の主文、不起訴裁定の理由の骨子などを通知する、全国統一の被害者等通知制度を実施している。なお、平成19年12月からは、同制度を拡充し、検察庁、刑事施設、保護観察所などが連携し、被害者等の希望に応じて、加害者の処遇状況などについても通知している(P84(18)「判決確定後の加害者情報の犯罪被害者等に対する提供の拡充」、P84(19)「保護処分決定確定後の加害少年に係る情報の提供に関する検討及び施策の実施」参照)。
平成22年の実施状況については、通知希望者数は、62,993名であり、実際に通知を行った延べ数は114,996名であった。
通知希望者数 | 通知者数 | |
平成13年 | 14,777 | 22,672 |
平成14年 | 47,690 | 76,691 |
平成15年 | 44,442 | 76,087 |
平成16年 | 45,967 | 75,877 |
平成17年 | 46,953 | 74,813 |
平成18年 | 50,504 | 76,377 |
平成19年 | 51,676 | 77,487 |
平成20年 | 55,330 | 91,818 |
平成21年 | 61,007 | 107,464 |
平成22年 | 62,993 | 114,996 |
合計 | 481,339 | 794,282 |
提供:法務省
※平成13~19年については、検察庁における実施状況※通知者数とは、通知の延べ数である。
検察庁において、被害者等に対し、よりきめ細かな配慮を行うため、犯罪被害者等の支援に携わる「被害者支援員」を配置し、特に大規模庁においては、常時複数名を配置している。
被害者支援員は、犯罪被害者等からの様々な相談への対応、法廷への案内・付添い、事件記録の閲覧、証拠品の返還などの各種手続の手助けをするほか、犯罪被害者等の状況に応じて精神面、生活面、経済面などの支援を行っている関係機関や団体などを紹介するなどの支援活動を行っている。
検察庁において、犯罪被害者等による電話やファックスでの被害相談の受付のため、地方検察庁本庁に、被害者相談専用電話であるホットラインを置き、被害者支援員などが電話対応をしている。
法務省の人権擁護機関において、各種人権相談への対応を実施している。法務局・地方法務局やその支局で開設している常設相談所や社会福祉施設などで開設する特設相談所においては、犯罪被害者等からの人権相談に応じている。また、専用相談電話「子どもの人権110番」(P92(19)「『子どもの人権110番』の活用・充実」参照)や「女性の人権ホットライン」を設置し、犯罪被害者等である子どもや女性が相談しやすい環境の整備に努めており、全国一斉の「子どもの人権110番」強化週間や「女性の人権ホットライン」強化週間を実施するなどの相談体制の充実に努めているほか、全国一斉「高齢者・障害者の人権あんしん相談」強化週間を実施しており、さらには、全国8か所の法務局・地方法務局に英語や中国語などの通訳を配置した「外国人のための人権相談所」を開設するなど、幅広く犯罪被害者等からの人権相談に応じている。
このほか、法務省の人権擁護機関では、全国の小中学校の児童・生徒に「子どもの人権SOS ミニレター」(便せん兼封筒)を配布して、犯罪等による被害を受けた子どもの悩みごとの把握に努めているほか、法務省のホームページ上に「インターネット人権相談受付窓口」を開設して、パソコンや携帯電話からインターネットでいつでも相談を受け付ける体制を整備するなど、更なる犯罪被害者等への相談体制の強化を図っている。
平成22年中における犯罪被害者等からの相談件数は276件であった。
法務省の人権擁護機関において、人権相談などで犯罪被害者等に対する人権侵害の疑いのある事案を認知した場合には、人権侵犯事件として調査を行い、その結果、人権侵害の事実が認められれば、関係機関と連携・協力して当該事案に即した適切な解決を図っている。
平成22年中に取り扱った犯罪被害者等に対する人権侵犯事件は7件であった。
海上保安庁において、犯罪被害者等に対し捜査や公判に支障を及ぼしたり、関係者の名誉などの権利を不当に侵害するおそれのある場合を除き、当該事件の捜査の経過などを通知している。
内閣府において、都道府県・政令指定都市に対して、犯罪被害者等施策主管課室長会議(以下「主管課室長会議」という。P121 2「地方公共団体との連携・協力」参照)の開催などを通じ、犯罪被害者等からの問い合わせや相談があった場合に総合的な対応を行う窓口の設置などを要請している。
基本計画策定以降、平成22年4月までに、44の都道府県、13の政令指定都市に総合的対応窓口が設置されており、犯罪被害者等からの相談の対応や支援に関する情報提供を行っている(「犯罪被害者等施策に関する基礎資料8.政府・地方公共団体の犯罪被害者等施策担当窓口一覧及び地方公共団体の取組状況」を参照)。
内閣府において、平成19年3月から、犯罪被害者等施策ホームページにおいては、主な犯罪被害者等支援体制の概要を紹介するとともに、主な相談窓口について情報提供を行っている。(「主な支援機関・団体」:http://www8.cao.go.jp/hanzai/soudan/kikan/kikan.html)
警察において、他の犯罪被害者等支援に係る諸機関・団体などとの連携・協力を充実・強化し、それらの諸機関・団体などの犯罪被害者等支援のための制度などを説明できるよう努めている。さらに、犯罪被害者等支援のための諸制度を所掌する省庁の協力を得て、当該制度に関する案内書、申込書などを常備し、犯罪被害者等に提供している。
警察において、生活上の支援を始め、医療、公判に関することなど極めて多岐にわたる犯罪被害者等のニーズに応え、総合的な支援を行うため、警察のほか、地方検察庁、弁護士会、法テラス、医師会、臨床心理士会、知事部局や市の担当部、県や市の相談機関などによる「被害者支援連絡協議会」を全都道府県に設立し、関係機関・団体などの相互の連携を図っている。また、個々の事案において、犯罪被害者等の具体的なニーズを把握し、よりきめ細かな総合的支援を行うために、警察署を単位とした連絡協議会(被害者支援地域ネットワーク)の構築を進めている。
平成22年4月1日現在、被害者支援連絡協議会が47(全都道府県)、被害者支援地域ネットワークが1,134(全警察署数1,184)設置されている。
警察において、犯罪被害の未然防止などに関する相談に応じる窓口として、警察本部に警察総合相談室を設置している。また、電話による相談についても、全国統一番号の相談電話「♯9110番」を設置するとともに、このような総合的な相談に加え、犯罪被害者等のニーズに応じて、性犯罪相談、少年相談、消費者被害相談など個別の相談窓口を設け、相談体制の充実に努めている。
警察において、専門的な被害者支援が必要とされる事案が発生したときに、捜査員とは別に指定された警察職員が犯罪被害者等への付添い、ヒアリング、説明などの事件発生直後における被害者支援活動を行う「指定被害者支援要員制度」を各都道府県警察で導入している。
平成22年12月現在、指定被害者支援要員として全国で3万1,187名が配置されている。
内閣府において、交通事故被害者救済対策の一環として、交通事故相談所に勤務する初任の相談員に対し、相談員として必要な基本的知識などの習得を目的とした「交通事故相談員中央研修会(初任者コース)」を開催している。
また、交通事故相談員総合支援事業を通して、被害者等からの相談に対する相談員の対応能力を向上させるため、民事損害賠償問題に関する研修会の開催、交通事故相談業務に関する資料の提供により、都道府県・政令指定都市の交通事故相談活動に対する支援を行っている。
警察において、全都道府県警察に設置されている少年サポートセンターや警察署の少年係などが窓口となって、少年や保護者などからの相談を受け付けている。相談には、警察官や少年補導職員が対応し、必要な助言、指導を行っている。
また、全都道府県警察において、「ヤングテレホンコーナー」などの名称で電話による少年相談窓口を設けており、フリーダイヤルによる相談、FAX や電子メールなどによる夜間、休日における受付など、少年や保護者などが相談しやすい環境の整備を図っている。
平成22年10月、警察庁では、少年や保護者に対する相談活動を強化するため、少年補導職員などを対象に全国少年相談協議会を開催した。
平成22年4月1日現在、全国197か所に少年サポートセンターが設置されているが、そのうち68か所は、少年や保護者などが気軽に立ち寄ることができるよう、警察施設以外の施設に設置されている。
警察において、犯罪被害者等の意思を踏まえ、「ストーカー行為等の規制等に関する法律」(平成12年法律第81号。以下「ストーカー規制法」という。)に基づく警告、禁止命令、自衛策の教示などにより危害の拡大防止を図っているほか、ストーカー行為者の検挙に努めている。
各種法令に抵触しない場合でも、犯罪被害者等に自分の身を守るための方策を教示したり、避難などが必要となったときのために、婦人相談所などの関係機関を教示するほか、必要に応じて、ストーカー行為者に対する指導・警告を行うなど、犯罪被害者等の立場に立った積極的な対応を図っている。
平成22年中のストーカー規制法に基づく警察本部長などの援助件数は2,470件となっており、「被害防止措置の教示」や「被害防止交渉場所として警察施設の利用」などの援助を行っている(「ストーカー事案及び配偶者からの暴力事案の対応状況について」:http://www.npa.go.jp/safetylife/seianki/h22_stdv.pdf)。
法務省において、犯罪被害者等に配慮した捜査・公判活動を行うため、検察官などの研修において、福祉・心理関係の専門機関の関係者を講師に招くなど、その連携・協力の充実・強化を図っている。
法務省において、犯罪被害者等の支援に携わる被害者支援員を対象とする研修において、被害者支援団体の関係者を講師に招くなど、その連携・協力の充実・強化を図るとともに、犯罪被害者支援員の意義や役割についても記載されている犯罪被害者等向けパンフレット「犯罪被害者の方々へ」を犯罪被害者支援関係機関・団体等に配布するなどして犯罪被害者支援員制度に係る情報提供の充実を図っている。
法務省の人権擁護機関において、法務局・地方法務局に専用相談電話「子どもの人権110番」(0120(007)110「フリーダイヤルぜろぜろななのひゃくとうばん」)を設置し、電話番号を全国共通化するなど、犯罪等による被害を受けた子どもが安心して相談できる環境を整備して、人権擁護委員や法務局職員が相談に応じている。平成22年中における「子どもの人権110番」を利用した犯罪被害者等からの相談件数は22件であった。
また、平成22年6月28日から同年7月4日までの間を「全国一斉『子どもの人権110番』強化週間」とし、相談時間を延長するなどして積極的に犯罪被害者等である子どもからの相談に応じており、同強化週間は平成23年度も実施を予定している(6月27日から7月3日まで)。
このほか、全国の小中学校の児童・生徒に、「子どもの人権SOS ミニレター」(便せん兼封筒)を配布したり、法務省のホームページ上に「インターネット人権相談受付窓口」を開設して、パソコンや携帯電話からインターネットでいつでも相談を受け付ける体制を整備するなど、更なる犯罪被害者等への相談体制の強化を図っている(P88(5)「犯罪被害者等からの各種人権相談への対応」参照)。
文部科学省において、学校で児童生徒が犯罪被害者等となる重大事件が発生した場合に、当該児童や保護者の相談対応の窓口として学校が有効に機能することを支援しており、平成20年2月には、「児童生徒の安全の確保及び犯罪被害の防止について」(通知)を発出し、関係機関と連携した取組の推進を促したほか、各種会議においても、学校・教育委員会・関係機関などの連携・協力を促している。
文部科学省において、学校内で児童生徒や保護者の相談などに適切に対応ができるよう、スクールカウンセラーや子どもと親の相談員の配置の拡充やスクールカウンセラーの緊急支援のための派遣に対して補助を行ってきた。平成22年度も引き続き、小学校に配置するスクールカウンセラーを拡充し、相談体制などの充実を図っている。
文部科学省において、学校の教職員が児童生徒の相談などに的確に対応できるよう、生徒指導の指導者となる教員に対して教育相談に関する研修を実施している。
都道府県・政令指定都市教育委員会において、社会問題化したいじめ問題への対応策の一つとして、平成19年2月から、夜間・休日でも子どもの悩みや不安を受け止めることのできる「24時間いじめ相談ダイヤル(全国統一ダイヤルは0570―0―78310(なやみ言おう))」を実施している。
警察庁において、情報提供を始めとする基本的な犯罪被害者等支援策が確実に実施されるよう、各種会議などを通じて各都道府県警察に対し指導・督励するとともに、毎年、被害者支援担当者体験記を発行し、各都道府県警察に配付している。
警察庁において、平成20年11月、「被害者の手引」モデル案を改訂し、新たに、被害者参加制度や損害賠償命令制度の情報を掲載したほか、刑事手続や裁判で利用できる制度についての情報や、犯罪被害給付制度などの経済的支援や被害の回復についての情報、各種相談機関・窓口についての情報の充実を図っている。
また、平成22年4月、少年事件の処理の流れが分かりやすく「被害者の手引」に示されるようそのモデル案を作成するなど、少年犯罪の被害者に向けた情報提供の充実を図っている。
「被害者の手引」は、これまでと同様に被害者連絡の対象者に配布するほか、被害者連絡の対象者以外にも、刑事手続・犯罪被害者等のための制度を教示する際などに広く活用することとしている。
さらに、都道府県警察に対し、外国語版の「被害者の手引」についても、それぞれの都道府県の事情に応じて、積極的に作成・配布するよう、引き続き指示している。
厚生労働省において、医療機関と犯罪被害者等支援に係る諸機関・団体などとの連携・協力を図るため、「支援のための連携に関する検討会」の検討結果を踏まえ、必要に応じて、情報提供に関して協力要請をするなど、適切に対応している。
また、平成17年度より3年計画で行っている「犯罪被害者の精神健康の状況とその回復に関する研究」では、地域精神保健機関の犯罪被害者支援における関係諸機関との連携に関する調査を実施した。19年度は、17年度、18年度の調査研究の結果などを踏まえて、精神科医療機関における犯罪被害者治療を促進するための提言をまとめた。20年度には、「犯罪被害者等支援のための地域精神保健福祉活動の手引」(http://www.ncnp.go.jp/nimh/seijin/www/pdf/shiryo_tebikizenbun.pdf)を作成し、精神保健福祉センターに配布した。
なお、精神保健福祉センター、保健所においては、現在、心のケアが必要な犯罪被害者等に対して、精神保健に関する相談支援を行っている。
都道府県警察において、性犯罪被害者から被害相談などを受けるための性犯罪相談専用電話窓口の設置、相談室の整備などを推進し、性犯罪被害者による情報入手の利便性の拡充を図っている。
平成22年4月現在、全国の都道府県警察本部において、女性警察官などによる性犯罪電話相談の受理体制、相談室が整備されている。
法務省・検察庁において、性犯罪被害者が情報を入手する利便性を拡大させるよう、検察官に対する研修や会議などの様々な機会を通じて、現場へ周知徹底を図るとともに、パンフレット「犯罪被害者の方々へ」や法務省ホームページ及び検察庁ホームページなどにより情報を入手し易くしている(P81(7)「刑事の手続等に関する情報提供の充実」参照)。
厚生労働省においては、「良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律」の成立により、情報提供を図っている(P64(27)「性暴力被害者のための医療体制の整備に資する施策の検討及び実施」参照)。
法テラスにおいて、平成18年10月から犯罪被害者支援業務を行っている。
業務の具体的な内容は、犯罪被害者等が、そのとき最も必要な支援が受けられるよう
・刑事手続に適切に関与したり、損害・苦痛の回復や軽減を図るための法制度に関する情報の提供
・犯罪被害者支援を行っている機関・団体の案内
・犯罪被害者支援の経験や理解のある弁護士の紹介
・被害者参加人のための国選弁護制度に関する業務
である。
利用の窓口としては、固定電話であれば、全国どこからでも3分8.5円(税別)の通話料で利用できるサポートダイヤル(コールセンター)のほか、全国各都道府県に地方事務所を設けており、電話や面談による問い合わせを受け付けている。サポートダイヤル(コールセンター)では、相談内容を問わず、様々な法的トラブルに関する問い合わせを受け付ける一般ダイヤル(0570―078374「おなやみなし」)のほか、犯罪被害者支援ダイヤル(0570―079714「なくことないよ」)という専用の電話番号を設け、犯罪被害者支援の知識・経験を持った専門の担当者が、被害者に二次的被害を与えないよう心情に配慮しながら情報提供を行っている(利用時間:平日9:00~21:00、土曜日9:00~17:00)。犯罪被害者支援ダイヤルにおける平成22年1月1日から同年12月末日までの問い合わせ件数は10,493件であった。主な問い合わせ内容は、生命・身体犯被害、配偶者等からの暴力(DV)、性被害、ストーカー被害などである。
全国の地方事務所における電話及び担当者との面談による情報提供件数は平成22年1月1日から同年12月末日までに14,673件あった。また、犯罪被害者支援の経験や理解があるとして弁護士会から推薦を受けている弁護士を、個々の状況に応じて紹介しており、平成23年1月現在、1,976名の弁護士を紹介用名簿に登載している。平成22年1月1日から同年12月末日までの紹介件数は945件であった。
法テラスでは、弁護士を通じた援助制度として、経済的に余裕のない方に民事訴訟などにおける弁護士費用などを立て替える民事法律扶助業務を行っている。また、法テラスでは、平成19年10月から、日本弁護士連合会から委託を受けて法律援助に関する業務を行っている。この日本弁護士連合会からの委託業務は、被害者参加人のための国選弁護制度や民事法律扶助制度などではカバーされない方を対象に、人権救済の観点から弁護士費用の援助を行うもので、生命、身体、自由又は性的自由に対する犯罪、配偶者等からの暴力(DV)、ストーカー行為などによる被害を受けた方などに係る告訴・告発、法廷傍聴付添い、刑事手続における和解の交渉、加害者との対話、マスコミ対応、犯罪被害者等給付金申請などを援助する「犯罪被害者法律援助」や、虐待やいじめなどを受けた子どもに係る行政手続や訴訟の代理活動を援助する「子どもに対する法律援助」などがある。
被害者参加人のための国選弁護制度においては、法テラスは、国選被害者参加弁護士の候補となる弁護士の確保のほか、国選被害者参加弁護士の候補を裁判所に指名通知するなどの業務を行っている。平成23年1月現在、被害者参加弁護士契約弁護士は2,360名となっており、平成22年1月1日から同年12月末日までの国選被害者参加弁護士の選定請求受付件数は238件301名であった。
これらの取組を通じて、法テラスは、犯罪被害者等が必要とする支援にたどり着けるよう、犯罪被害者等の内容に応じた最適の専門機関・団体を紹介するコーディネーターとしての役割を果たしている(法テラスホームページ「法テラスの業務(犯罪被害者支援業務)」:http://www.houterasu.or.jp/houterasu_gaiyou/mokuteki_gyoumu/hanzaihigaishashien/)。
法テラスの犯罪被害者支援業務において、警察庁や日本弁護士連合会などの関係機関・団体に対する法テラスの周知とともに、これら関係機関・団体と十分な連携を図っていくことが求められる。
各都道府県警察などが事務局となって主催している被害者支援連絡協議会のほか、警察、地方公共団体、日本弁護士連合会、民間被害者支援団体などの関係機関・団体を招いて開催する地方協議会において被害者参加制度や被害者参加人のための国選弁護制度に関する説明及び被害者週間における啓発・広報活動などの取組を通じて、被害者支援に関する関係機関・団体との連携・協力関係の強化を図った。
今後も、各地の関係機関・団体とより緊密な連携・協力関係を構築するため、関係機関・団体が実施する連絡会議において、業務現況の説明や協力要請、実務担当者間における情報交換の実施などの積極的な働きかけ、取組を行っていく。
また、国民への制度周知・広報の取組としては、国民にとって見やすく、かつ分かりやすい表現を心掛けた犯罪被害者支援業務リーフレット(改訂版)、Q&A リーフレット(「犯罪被害者支援Q&A」、「ドメスティックバイオレンス(DV)」)などの各種広報物(法テラスホームページ「刊行物」:http://www.houterasu.or.jp/houterasu_gaiyou/kankoubutsu/)の発行、地方公共団体などに依頼して広報物を窓口に備え置いてもらう、各団体の機関紙に法テラスの紹介記事を掲載してもらうなど、関係機関・団体を通じた地道な広報活動を進めているほか、全国各地でテレビや新聞などのマスメディアを利用した広報を展開した。
今後も引き続き、法テラスにおける犯罪被害者等に対する援助制度についての周知・広報に努めていく。
内閣府において、犯罪被害者等の援助を行う特定非営利活動法人などの情報を検索により取得可能とする「NPO ポータルサイト」の管理・運営を行っている(内閣府NPOホームページ:https://www.npo-homepage.go.jp/)。
内閣府において、平成19年2月から、犯罪被害者等施策ホームページに、「犯罪被害者団体等紹介サイト」を開設している。同ページでは、内閣府に対して情報提供のあった、自助グループを含む犯罪被害者団体・犯罪被害者支援団体の活動内容、団体の連絡先などを紹介している(内閣府犯罪被害者団体等紹介サイト:http://www8.cao.go.jp/hanzai/soudan/dantai/dantai.html)。
警察において、犯罪被害者等の要望を踏まえ、相談や支援などの機会や民間被害者支援団体を通じて、犯罪被害者等に自助グループを紹介している。
内閣府において、犯罪被害者等施策に関する情報を提供することにより、国民の理解や犯罪被害者等の被害からの回復に役立つものとなるよう、犯罪被害者等施策のホームページの充実を図っている。
現在、相談機関、犯罪被害者団体等の一覧、被害者の手記、広報・啓発行事の告知・開催報告、各種調査結果などの情報を掲載するとともに、基本法・基本計画・白書といった犯罪被害者等施策に関する基本的な情報、推進会議、基本計画策定・推進専門委員等会議(以下「専門委員等会議」という。)、などの各種会議の議事内容など、幅広く情報提供を行っている。
引き続き、コンテンツの充実を図るとともに、国民が必要な情報を利用しやすいサイト環境の整備改善に努めていく。
各省庁において、インターネットなどで情報を得ることができる者とそうでない者との間に不公平が生じることのないよう配慮するとともに、積極的な情報提供に努めている。
内閣府においては、基本法の制定・基本計画の策定に係る経緯や概要を記した「犯罪被害者等基本計画紹介パンフレット」を配布してきた。また、推進会議や専門委員等会議などの議事の概要を会議開催後にメディアに対して説明するなど、積極的な情報提供に努めている。
警察庁においては、「被害者の手引」(P93(25)「『被害者の手引』の内容の充実等」参照)・「警察による犯罪被害者支援」(P113(10)「様々な広報媒体を通じた犯罪被害者等施策に関する広報の実施」参照)などにより積極的な情報提供に努めている。
総務省においては、住民基本台帳の閲覧制度改正について、地方公共団体に対する説明会を開催し、その模様を自治体衛星通信機構において放映するとともに、同通信機構において紹介番組を放映した。また、ポスターやリーフレットを作成し、全市町村の窓口に配置した。
法務省においては、「犯罪被害者等の方々へ」、「もしも…あなたが犯罪被害に遭遇したら」などにより積極的な情報提供に努めている(P81(7)「刑事の手続等に関する情報提供の充実」参照)。
文部科学省においては、犯罪被害者等施策にかかわる省庁の協力を得て、「被害者の手引」など当該制度に関する案内書や申込書を教育委員会に常備し、教育関係者などに提供している。
厚生労働省においては、児童虐待について幅広く国民の理解を深め、社会的関心を喚起するため、全国フォーラムの開催、広報啓発ポスター・チラシの作成、配布などの広報啓発活動を実施している(P113(9)「犯罪被害者等施策の関係する特定期間における広報・啓発事業の実施」参照)。
国土交通省においては、公営住宅への入居に関する情報について、管理主体に対し募集パンフレットやホームページへの記載、警察当局との連携による情報提供を要請し、また、法務省作成の犯罪被害者用パンフレット「犯罪被害者の方々へ」に公営住宅への優先入居などの施策について記載している。
警察において、犯罪被害者等早期援助団体や被害者支援連絡協議会を始めとする関係機関・団体、関係省庁などとの連携を図り、犯罪の発生直後から、被害の回復・軽減、再発防止などのための支援活動が総合的・横断的かつ充実して展開されるよう努めている。
文部科学省において、不登校児童生徒への対応に際して、中核的な機能を果たす教育支援センター(適応指導教室)などの整備充実を促進するとともに、「生徒指導・進路指導総合推進事業」において、不登校などの問題を抱える児童生徒の支援のために効果的な取組について、子どもの状況の把握の在り方、関係機関とのネットワークを活用した早期からの支援の在り方といった観点から、調査研究を引き続き実施している。
文部科学省において、問題行動を起こす個々の児童生徒に着目して的確な対応を行うため、学校、教育委員会、関係機関からなるサポートチームの組織化など、地域における支援システム作りを行い、警察庁と共催による「問題行動に対する連携ブロック協議会」を開催し、各地域における効果的な取組の普及を図っている。
また、「生徒指導・進路指導総合推進事業」において、いじめや暴力行為などの問題を抱える児童生徒の支援のために効果的な取組について調査研究を実施している。
法テラスにおいて、被害を受けた時からの時間的経過の長短を問わず、情報提供などを通じた支援を行っている。
外務省において、海外で邦人が犯罪被害者となった場合に在外公館(大使館、総領事館)が提供している問題解決に資する情報(現地の弁護士や通訳社のリストなど)・支援について、より広く周知を図るためパンフレット「海外で困ったら~大使館・総領事館のできること~」、「海外安全虎の巻~海外旅行のトラブル回避マニュアル~」を改訂・増刷の上、全国の都道府県旅券事務所や在外公館などに配布するとともに、海外安全ホームページ(http://www.anzen.mofa.go.jp/)に掲載し、より多くの国民がこれらの情報を入手しやすくなるよう努めている。
また平成19年12月より、「海外で困ったら~大使館・総領事館のできること~」のフラッシュ動画を海外安全ホームページに掲載している。
今後とも、パンフレットの改訂・増刷や海外安全ホームページでの広報などを通じ、海外における邦人の犯罪被害者等に対する情報をさらに分かりやすくするとともに、国民が事前にこれらの情報を得る機会が増加するよう取り組んでいく。
内閣府において、各地域における犯罪被害者等支援に係る諸機関・団体などの連携・協力を更に促進し、犯罪被害者等が、どの機関・団体などを起点としても必要な情報の提供、支援などを途切れることなく受けることのできる体制作りが行われるようにするため、推進会議の下に、「支援のための連携に関する検討会」を設置した。
同検討会では、関係機関・団体の連携ネットワークの充実・強化とともに、全国どこでも一定レベル以上の支援の質を確保するため、コーディネーターの育成を含め、民間の団体で支援活動を行う者の養成・研修に関して、検討を行い、平成19年8月、「犯罪被害者支援ハンドブック(仮称)」の作成、備付けや研修カリキュラムの作成・認定制度の実施などを盛り込んだ最終取りまとめを行った。同最終取りまとめに基づき、内閣府において、20年12月、「犯罪被害者支援ハンドブック・モデル案」を作成し、21年3月、「民間被害者支援団体における研修カリキュラム・モデル案」を作成した。
警察庁において、平成18年12月に被害者連絡実施要領、20年11月に「被害者の手引」モデル案をそれぞれ改正し、改善を図っている。これを受けて、都道府県警察では、捜査状況や被疑者の検挙状況、刑事手続の概要などについて、犯罪被害者等への適切な情報提供に努めている。
法務省において、保護観察所が犯罪被害者等に対する相談・支援を行っており、犯罪被害者等からの相談に応じて、悩みや不安を聴くとともに、必要な情報を提供するなどしている。この相談・支援業務などに当たるため、全国の保護観察所に被害者担当官及び被害者担当保護司が配置されている。
海上保安庁において、犯罪被害者等の支援、関係機関との連絡調整を行う犯罪被害者支援主任者を部署ごとに指定し、犯罪被害者等の個々の具体的な事情を把握し、その事情に応じ犯罪被害発生直後から犯罪被害者等へ必要な助言、情報提供などを行うとともに、具体的な支援の説明を行うなど、犯罪被害者等への経済的・精神的負担の軽減に努めている。
海上保安庁において、ホームページで犯罪被害者支援制度に係る周知を図るとともに犯罪被害者等支援に係る業務を専門的かつ総合的に取り扱う警務管理官の指導の下、犯罪被害者等支援主任者に指名された海上保安官により、関係機関との連携・情報提供などに努めている。