警察において、犯罪被害者に対して再度危害が加えられることを未然に防止するため、携帯用自動通報装置を犯罪被害者に貸し出し、不安感の払拭や安全確保を図っている。
警察において、企業及び行政対象暴力事犯に対して、検挙の徹底、暴力団対策法の効果的な運用に努めるとともに、都道府県暴力追放運動推進センターと連携して、不当要求防止責任者*6に対する講習を実施したり、パンフレットを作成したりするなどして、犯罪被害者等の保護、救済を図っている。
平成22年11月、「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」(平成19年6月19日犯罪対策閣僚会議幹事会申合せ。以下「指針」という。)に沿った企業等の取組み状況についてアンケート調査(回答3,469社)を実施したところ、不当要求は企業等の規模にかかわらず認められるが、上場企業等以外は取組みが遅れていることが判明した。このような実態を踏まえ、犯罪対策閣僚会議下に設置された「暴力団取締り等総合対策ワーキングチーム」において、企業活動からの暴力団排除について、政府が今後、更に取り組むべき施策が検討され、第16回犯罪対策閣僚会議(平成22年12月開催)において、政府として<1>「関係業界に対する指針の更なる普及啓発」、<2>「暴力団排除意識の高い企業に対する評価方策の検討」、<3>「公共事業等の契約の相手方企業やその下請企業等に対する指針に基づく取組の啓発」、<4>「業種ごとの標準契約約款における暴力団排除条項のモデル作成の支援」、<5>「経済団体及び関係業界団体との連携の強化」及び<6>「業の主体からの暴力団等の排除」を推進することが報告された。また、都道府県警察の本部に「企業対象暴力特別対策本部」を設置して、各種相談体制の充実、企業や業界団体に対する指導、広報啓発活動、保護対策などを積極的に行っている。
行政対象暴力対策については、全国の地方公共団体に対して、暴力団などの不当要求に対する組織的な対応を規定する、いわゆるコンプライアンス条例・要綱などを制定するよう働きかけを行っている。平成22年12月末には、コンプライアンス条例・要綱などは全国の地方公共団体の99.9%で制定されており、行政機関などにおける不当要求防止責任者数は12万9,729人となった。行政機関などにおける組織的対応の強化を推進するため、平成15年7月以降、「行政対象暴力関係省庁等連絡会議」を8回にわたって開催した。
また、暴力団対策法が改正され、行政機関などを相手方とした、指定暴力団員による行政庁が行う許認可に関する不当要求や国などが行う公共工事の入札・契約に関する不当要求について、中止命令などを発出できることとされた(平成20年8月1日施行)。
以上の施策を推進した結果、平成22年中は、462件の「企業及び行政対象暴力事犯」を検挙した。
(*6)各事業所に選任された、不当要求による事業者や使用者などの被害を防止するために必要な業務を行うこととされている者
警察庁においては、悪質商法やヤミ金融被害の防止を図るため、検挙状況や主要な検挙事例などをホームページに掲載している(「平成22年中おける生活経済事犯の検挙状況等について」:http://www.npa.go.jp/safetylife/seikan25/h22_seikeijihan.pdf、「悪質商法の被害にあわないために」:http://www.npa.go.jp/safetylife/seikan44/akutoku_boushi.pdf
)。また、インターネットテレビ等の政府広報や関係機関と連携したリーフレットの作成・配布などによる被害防止広報を実施している。
都道府県警察においては、ホームページ上での被害防止のポイントの紹介のほか、地元のメディアや通常の警察活動などあらゆる媒体、機会を通じて被害防止広報などを実施している。
法務省において、犯罪被害者が加害者との接触回避などの措置を講じることにより再被害を避けることができるよう、出所情報通知制度を実施している。警察から再被害防止措置上必要とする受刑者の釈放などに関する情報の通報要請があった場合、通報を行うのが相当であると認められるときは、受刑者の釈放などに関する情報(自由刑の執行終了による釈放予定と予定年月日・帰住予定地、仮釈放による釈放予定と予定年月日・指定帰住地など)を通報している。
また、犯罪被害者等が希望する場合に、検察官が相当と認めるときは、犯罪被害者等に対し、受刑者の釈放前に釈放予定に関する通知を行っている。
本施策については、実施後9年経過したところであるが、各会議などにおいて制度について周知を図り、実務担当者からも犯罪被害者等に対して案内をしている。
警察においては、独自に把握した情報や刑事施設などから通報を受けた情報について、提供の必要性を個別に判断した上で、犯罪被害者等に対して教示している。
通知希望者数 | 通知者数 | |
平成13年 | 131 | 37 |
平成14年 | 264 | 125 |
平成15年 | 344 | 250 |
平成16年 | 622 | 440 |
平成17年 | 787 | 559 |
平成18年 | 1,135 | 779 |
平成19年 | 1,080 | 782 |
平成20年 | 855 | 663 |
平成21年 | 371 | 487 |
平成22年 | 391 | 490 |
合計 | 5,980 | 4,612 |
児童相談所において、必要があると認めるときは、子どもの一時保護(委託を含む。)を実施している。平成21年度の所内一時保護件数は19,298件、委託件数は7,531件となっている。
また、従来から、保護を要する女性については婦人相談所において一時保護(委託を含む。)を実施しており、配偶者からの暴力や人身取引被害者等を含めた一時保護件数は、21年度で12,160件(要保護女性6,625件、同伴家族5,535件)となっている*7。
(*7)厚生労働省「婦人保護事業実施状況報告」より。
海上保安庁において、犯罪の手口、動機・組織的背景、被疑者と犯罪被害者等との関係、被疑者の言動などの状況から、犯罪被害者等に後難が及ぶおそれがあるときは、被疑者などに当該犯罪被害者の氏名などを告げないようにするほか、必要に応じ犯罪被害者等の保護のための措置を講じている。
法務省において、再被害防止のための犯罪被害者等に対する出所情報通知制度(P65(4)「再被害防止のための犯罪被害者等に対する出所情報通知制度」参照)について、引き続き制度実施に係る円滑な連携を図るため、会議などの機会を活用し、関係者などへの制度の一層の周知徹底に努めている。
警察において、子どもを対象とした暴力的な性犯罪により刑事施設に服役している者の出所予定日、出所後の帰住予定先などの出所情報について、平成17年6月から、法務省から提供を受け、出所者の改善更生や社会復帰を妨げないように配慮しつつ、犯罪の予防や捜査への活用を図ってきたところであるが、制度開始後5年が経過したことから、その運用状況を検証して制度の見直しを行い、平成23年4月から訪問による所在確認や同意を前提とした面談を取り入れるなど再犯防止措置について強化したところである。
法務省・検察庁において、証拠開示の際に証人などの住居などが関係者に知られることがないよう求める制度、性犯罪の被害者等について公開の法廷では仮名を用いる運用がなされていることについて、会議や研修などの機会を通じて検察官などへの周知徹底を図っている。
犯罪被害者等の保護の観点も含め住民基本台帳の閲覧制度などの抜本的見直しを行い、何人でも閲覧を請求できるという従前の制度は廃止し、個人情報保護に十分留意した制度として再構築を行うため、「住民基本台帳法」の一部が平成18年11月1日に改正され、各市町村において同法に基づき、適切な運用がなされている。
厚生労働省において、児童相談所・婦人相談所の一時保護所や、婦人相談所が一時保護委託先として契約した婦人保護施設や民間シェルターなどにおいて一時保護を実施しており、犯罪被害者等の個々の状況に応じて保護期間を延長するなど柔軟に対応するとともに、適切な運用に努めている。また、児童相談所の一時保護所においては、「子ども・子育てビジョン」に基づき、虐待を受けた子どもと非行児童との混合処遇等を改善するべく、次世代育成支援対策施設整備交付金の活用を含め、児童相談所の一時保護所の環境改善を推進する(平成26年度までに全都道府県・政令指定都市・児童相談所設置市)。
警察において、「再被害防止要綱」に基づき、同じ加害者により再び危害を加えられるおそれのある犯罪被害者等を「再被害防止対象者」に指定し
・再被害防止のための関連情報の収集
・関連情報の教示
・連絡体制の確立と要望の把握
・自主警戒指導
・警察による警戒措置
・加害者への警告
などの再被害防止措置を実施している。実施に当たっては、加害者を収容している刑事施設などと密接に連携している。
警察庁においては、都道府県警察から、再被害防止対象者の指定状況や刑事施設との連携状況などについて、定期的又は随時に報告を求め、都道府県警察における再被害防止措置の徹底を図っている。
警察において、暴力団犯罪の被害者等の安全を確保するため、暴力団などによる危害行為を未然に防止するための基本的な事項を定めた「保護対策実施要綱」に基づき、的確な保護対策を実施している。
事務所撤去運動などを推進する住民や暴力団との関係遮断に取り組む企業関係者を保護対象者として指定し、警察官による警戒に加え、必要な装備資機材を配備するとともに民間警備を補完的に活用するなどして保護の万全を図り住民の安全確保を推進している。
法務省・検察庁において、加害者の保釈に関し、検察官が、犯罪被害者等から事情を聞くなどによりその安全確保を考慮して裁判所に意見を提出するなど、適切な対応に努めるため、会議や研修などの様々な機会を通じて検察官などへの周知徹底を図っている。
警察庁・厚生労働省において、配偶者からの暴力(DV)・人身取引・児童虐待の被害者等の保護に関する、警察・婦人相談所・児童相談所の連携を一層充実させている。
警察においては、配偶者等からの暴力事案に対し配偶者暴力相談支援センターなど関係機関・団体と連携した被害者支援を講ずるなど、犯罪被害者等の立場に立った適切な対応を図っている。
人身取引事犯の被害者については、その適正な保護がなされるよう関係機関・団体と連携を図るとともに、犯罪被害者等が人身取引の被害を訴えることを容易とするようリーフレット約27万部を作成し、関係省庁、在京関係国大使館、関係国在外公館、NGO などの犯罪被害者等の目に触れやすい場所に広く配布するなどした。また、平成22年7月、人身取引に関係する国の在京大使館・国際機関・NGO などを集めてコンタクトポイント会議を開催し、人身取引被害者の発見・保護などに関する意見交換を行うなどした。さらに、人身取引事犯などの被害者となっている女性などの早期保護を図るため、警察庁の委託を受けた民間団体が、市民から匿名で事件情報の通報を受け、これを警察に提供して、捜査などに役立てる「匿名通報ダイヤル」を、19年10月から運用している(「平成22年中における子どもや女性を守るための匿名通報事業の運用状況について」:http://www.npa.go.jp/safetylife/hoan/h22_tokumei.pdf、「平成22年中における人身取引事犯について」:http://www.npa.go.jp/safetylife/hoan/h22_zinshin.pdf
)。
児童虐待の被害者については、街頭補導、少年相談など様々な活動の機会を通じ、その早期発見と児童相談所への確実な通告に努めている。また、国民に児童虐待事案の通告・通報を促すためのリーフレット30万部を都道府県警察を通じて広く配布しているほか、「匿名通報ダイヤル」の対象に児童虐待事案を追加し、平成22年2月から運用を開始している。さらに、都道府県知事・児童相談所長による児童の安全確認や一時保護、立入調査を円滑化するための援助を実施するとともに、子どもを守る地域ネットワーク(要保護児童対策地域協議会)などへ積極的に参加するなど、学校、児童相談所などの関係機関との情報交換や連携強化に努めている。
厚生労働省においては、配偶者からの暴力(DV)の被害者、人身取引の被害者などの保護に関しては、婦人相談所と警察や児童相談所などの関係機関との連携が不可欠であることから、その充実を図っている。特に、配偶者からの暴力被害者の保護と支援について、関係機関相互の共通認識・総合調整が必要不可欠であることから、連携を強化するためのネットワークの整備にかかる費用を補助している。
具体的には、婦人相談所は、配偶者からの暴力被害者の相談、保護、自立支援において、警察や福祉事務所などの関係機関との連携を図るため、連絡会議や事例検討会議を開催するとともに、事例集や関係機関の役割などの内容を掲載したパンフレットを作成し、関係機関に配布している。
児童相談所においては、触法少年・ぐ犯少年の通告、棄児、迷子、虐待を受けた子どもなど要保護児童の通告などについて、警察と連携を図っている。
警察庁・文部科学省において、警察と学校など関係機関の通報連絡体制の活用、子どもを守る地域ネットワーク(要保護児童対策地域協議会)の活用、加害少年やその保護者に対する指導などの一層の充実を図り、再被害の防止に努めている。
また、非行や犯罪被害など個々の少年の抱える問題行動に応じた的確な対応を行うため、学校、警察、児童相談所などの担当者からなる少年サポートチームを編成し、それぞれの専門分野に応じた役割分担の下、少年への指導・助言を行っている。平成22年度においても、少年サポートチームの効果的な運用等連携を図るため、警察庁と文部科学省と合同で、都道府県警察、関係機関・団体の実務担当者に対する協議会を実施した。
文部科学省においては、各教育委員会に対し、学校と警察が連携し、児童生徒の問題行動に対応できるよう、会議の場や通知などで促している。
また、要保護児童などに関し、「要保護児童対策地域協議会設置・運営指針」を踏まえ、虐待を受けている子どもを始めとする要保護児童の適切な保護を図るための関係機関との適切な連携について教育委員会などへ周知している。
警察において、児童虐待防止対策に従事する職員、検視の専門官、少年補導職員などに対し、早期に児童虐待を発見するための観点や、関係機関との連携の在り方、カウンセリング技術などについて指導・教育を行うなど、児童虐待防止に関する専門的な知識・技能の向上のための教育を実施している。
また、児童虐待防止広報啓発用リーフレットの作成・配布や「匿名通報ダイヤル」の通報対象に児童虐待事案を追加し(平成22年2月から運用)、児童虐待の早期発見・早期対応に努めている。
文部科学省において、平成22年度は、児童虐待などの問題へ対応するため、教育分野に関する知識に加えて、社会福祉の専門的な知識・技術を用いて児童生徒を支援するスクールソーシャルワーカーを、各地域の実情に応じて学校などの教育機関に配置する地方自治体の取組に対して補助を行っている。また、「生徒指導・進路指導総合推進事業」において、児童虐待などの問題を抱える児童生徒への支援に効果的な取組について、子どもの状況の把握の在り方、関係機関とのネットワークを活用した早期からの支援の在り方などといった観点から、調査研究を引き続き実施している。
厚生労働省において、児童虐待の早期発見等に資するため、児童相談所を中心とした関係機関の連携による取組の好事例について、随時、各種関係会議における行政説明などにおいて報告している。
また、平成22年3月、「学校及び保育所から市町村又は児童相談所への定期的な情報提供に関する指針」が文部科学省及び厚生労働省から各自治体及び教育委員会等に通知されている。平成22年10月には同指針に基づく情報提供等の実施状況についての調査を実施し、その結果を受けた対応について、平成23年3月に「学校及び保育所から市町村又は児童相談所への定期的な情報提供の実施状況について」が文部科学省及び厚生労働省から各自治体及び教育委員会等に通知されている。
平成21年4月には「児童福祉法等の一部を改正する法律」(平成20年法律第85号)が一部を除き施行された。児童虐待に関係する主な内容としては、<1>「乳児家庭全戸訪問事業」、「養育支援訪問事業」、「地域子育て支援拠点事業」等子育て支援サービスの法定化、<2>子どもを守る地域ネットワーク(要保護児童対策地域協議会)の機能強化、<3>里親制度の改正、施設内虐待の防止等の規定等がある。
また、虐待を受けたと思われる子どもを見つけたときなどに、ためらわずに児童相談所へ電話してもらえるよう、児童相談所全国共通ダイヤルの周知徹底を図っている。
平成22年9月には、児童相談所に虐待通告のあった事例の安全確認の実施状況について調査結果を公表するとともに、児童虐待の通告のあった児童に対する安全確認の徹底を図るため、通告・相談への対応や調査、保護者・子どもへのアプローチにおける着眼点や工夫例等を盛り込み、児童相談所の虐待対応の参考とするべく「虐待通告のあった児童の安全確認の手引き」を作成した。
厚生労働省において、児童虐待による死亡事例等の検証は、事件の発生を防止するための対策を講ずる上での課題を抽出するために重要な意義を持つことから、社会保障審議会児童部会の下に設置している「児童虐待等要保護事例の検証に関する専門委員会」において、平成16年より実施されており、これまで6次にわたる報告がとりまとめられている。これらの報告書には死亡事例から学んだ対応の在り方を盛り込み、児童相談所等の対応力の向上を図っている。
法務省において、矯正施設に収容されている加害者に対し、被害者感情を理解させるためのオリジナルビデオ教材などを活用した指導を実施している。平成18年度以降は、犯罪被害者等や支援団体の方々から被収容者に対し直接講話するゲストスピーカー制度を拡大するなど、「被害者の視点を取り入れた教育」の充実に努めており、刑事施設においては、「刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律」の施行(同年5月。平成19年6月からは「刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律」に名称変更)に伴い、必要な者には同教育を義務付けて実施している。
「被害者の視点を取り入れた教育」は、被収容者に対し、自らの犯罪と向き合い、犯した罪の大きさや犯罪被害者等の心情などを認識させ、犯罪被害者等に誠意を持って対応するとともに、再び罪を犯さない決意を固めさせることを目標としており、社会復帰後の犯罪被害者等への対応、再犯の防止などにいかされることが期待できる。
また、ストーカー事犯者、性犯罪事犯者などの保護観察対象者に対しては、事案に応じて、当該被害者への接近を禁止するなどの特別遵守事項を設定していることに加えて、「更生保護法」(平成19年法律第88号)の施行(平成20年6月)後は、性犯罪者については専門的処遇プログラムを受講することについての特別遵守事項も設定し、これを守るよう指導監督している。また、慰謝の措置や被害弁償に誠意を尽くすことなどの生活行動指針を設定し、それを守る努力をするよう指導監督している。
仮釈放等審理における意見等聴取制度の施行(平成19年12月)後は、犯罪被害者等から聴取した意見などを踏まえ、より一層適切に特別遵守事項を設定している。
保護観察対象者に対しては、再び罪を犯さない決意を固めさせるとともに、犯罪被害者等の意向に配慮しながら誠実に対応することを促すため、しょく罪指導のためのプログラムを策定し、全国の保護観察所において、一定の重大な犯罪をした保護観察対象者に対し、以下のとおり個別指導を実施している。
〈1〉自己の犯罪行為を振り返らせ、犯した罪の重さを認識させる。
〈2〉犯罪被害者等の実情(気持ちや置かれた立場、被害の状況など)を理解させる。
〈3〉犯罪被害者等の立場で物事を考えさせ、また、犯罪被害者等に対して、謝罪、被害弁償などの責任があることを自覚させる。
〈4〉具体的なしょく罪計画を策定させる。
また、良好な家庭環境を維持し、児童虐待の防止にも資する取組として、親が学習や体験を通じ、家庭教育に関する理解を深めることができるような講座が地域で実施されるよう支援するとともに、子育てサポーターリーダー等の地域人材の養成や、民生委員、元教職員、保健師等の地域人材を活用した家庭教育支援チームの組織化、学校等と連携して家庭を訪問しての相談対応や情報提供、学習機会へのコーディネート等の地方公共団体の取組を支援している。
平成19年6月20日に成立した「犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事訴訟法等の一部を改正する法律」により、「刑事訴訟法」が一部改正され、裁判所の決定があった場合、起訴状の朗読などの訴訟手続を被害者の氏名などを明らかにしない方法により行うことと、検察官が、証拠開示の際に、弁護人に対し、被害者の氏名などがみだりに他人に知られないようにすることを求めることが可能となり(同年12月26日施行)、現在、法務省において円滑な運用に取り組んでいる。
厚生労働省において、児童相談所の一時保護所については、福祉行政報告例等において、一時保護所の職員数や一時保護日数などのデータを把握している。
婦人相談所による一時保護についても、福祉行政報告例や婦人保護事業実施状況報告*8などにおいてデータを把握しており、平成20年度においては、婦人相談所が婦人保護施設や民間シェルターなどに一時保護委託する場合の委託費について増額を行った。
平成21年度においては、婦人相談所が婦人保護施設や民間シェルターなどに一時保護委託する場合に、同伴児童のうち特に乳幼児に対するケアを充実するため、新たに乳幼児用の単価を設定した。引き続き、調査結果を踏まえながら、有効な施策を実施し、児童虐待や配偶者からの暴力の被害者に関する施策の充実を図っていく。
(*8)厚生労働省雇用均等・児童家庭局家庭福祉課調べ。
厚生労働省において、医療施設における児童虐待や配偶者等からの暴力(DV)の早期発見のための取組を促進するため、平成19年3月に各都道府県・関係団体あてに「児童虐待・配偶者等からの暴力(DV)の早期発見のための取組の促進について」(通知)を発出し、医療関係者が、児童虐待の早期発見に努めること、配偶者からの暴力によって負傷したか疾病にかかったものの発見・通報に積極的な対応が求められていることについて周知徹底を図り、引き続き医療施設における取組の促進を図っている。
また、配偶者からの暴力の被害を受けた女性の保護に関する医療施設における研修に補助を行っており、医療関係機関に対し、積極的な受講を求めている。