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第2部 第4次犯罪被害者等基本計画に盛り込まれた具体的施策の進捗状況
第2章 精神的・身体的被害の回復・防止への取組

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2 安全の確保(基本法第15条関係)

トピックス 刑事手続において犯罪被害者等を保護するための近時の法改正について

■ 犯罪被害者等の情報を保護するための規定の整備

令和5年5月に成立した刑事訴訟法等の一部を改正する法律により、刑事訴訟法が改正され、逮捕手続、勾留手続、起訴状等における犯罪被害者等の個人特定事項(氏名及び住所等の個人を特定させることとなる事項)の秘匿措置に関する規定が整備された。

従来、被疑者に対する逮捕状・勾留状の呈示や被告人に対する起訴状の謄本の送達等を通じて、それらに記載された犯罪被害者等の個人特定事項が被疑者や被告人に知られ得ることとなっていた。

改正後の刑事訴訟法においては、一定の要件の下、

○ 被疑者に対し、逮捕状・勾留状ではなく、犯罪被害者等の個人特定事項の記載がない「逮捕状に代わるもの」・「勾留状に代わるもの」を呈示する

○ 被告人に対し、起訴状の謄本ではなく、犯罪被害者等の個人特定事項の記載がない「起訴状抄本等」を送達し、弁護人に対しては、当該個人特定事項を被告人に知らせてはならない旨の条件を付して起訴状の謄本を送達する

などの措置をとることが可能となったほか、証拠開示や裁判書等における個人特定事項の秘匿措置に関する規定も整備され、捜査段階から公判終了後の段階に至るまで、一貫して犯罪被害者等の情報を保護することができることとなった。

■ 被害者等の聴取結果を記録した録音・録画記録媒体に係る証拠能力の特則の創設

性犯罪の被害者等にとっては、被害状況等を繰り返し供述すること自体が大きな心理的・精神的負担になり得る。

近時、特に、こどもや知的障害等の精神に障害を有する者等のいわゆる供述弱者である被害者等から被害状況等を聴取するに当たり、聴取の状況を録音・録画して記録した上で、供述の信用性を確保しつつ負担を軽減するため、誘導を避けるなど不当な影響を与えないようにするとともに、不安・緊張を緩和するなどして十分な供述を得る、いわゆる司法面接的手法を用いた聴取が広く行われるようになっている。

令和5年6月に成立した刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律により、このような手法を用いた聴取により得られた性犯罪の被害者等の供述を公判において証拠とするための新たな規定が創設された。具体的には、性犯罪の被害者等の聴取結果を記録した録音・録画記録媒体について、その供述が、供述者の年齢、心身の状態等の特性に応じ、

○ 供述者の不安・緊張を緩和すること等の供述者が十分な供述をするために必要な措置

○ 誘導をできる限り避けること等の供述の内容に不当な影響を与えないようにするために必要な措置

が特にとられた情況の下にされたものであると認められる場合であって、聴取に至るまでの情況等の事情を考慮し相当と認めるときは、証拠とすることができ、その場合、裁判所は、訴訟関係人に対して供述者に対する証人尋問の機会を与えなければならないこととされた。

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