2 安全の確保(基本法第15条関係)
トピックス 改正配偶者暴力防止法の施行について
保護命令制度の拡充・保護命令違反の厳罰化を図るため、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律の一部を改正する法律(以下「改正配偶者暴力防止法」という。)が令和6年4月1日から施行されました。
保護命令制度とは、配偶者からの暴力の被害者(以下本トピックスにおいて「被害者」という。)からの申立てにより、裁判所が、相手配偶者に対して、被害者の身辺へのつきまといや住居等の付近のはいかい等の一定の行為を禁止する命令を発令する制度です。「配偶者」には、法律婚の相手方、事実婚の相手方、生活の本拠を共にする交際相手が該当します。
保護命令の主な種類は、被害者の身辺へのつきまといや住居・勤務先等の付近のはいかいを禁止する命令(被害者への接近禁止命令)と被害者とともに住む住居からの退去、住居付近のはいかいを禁止する命令(退去等命令)です。
これらのほか、被害者が自ら加害者に会いに行かざるを得ない状況にならないよう、被害者への接近禁止命令に加え、被害者への電話等禁止命令、被害者と同居する未成年の子への接近禁止命令、被害者の親族等への接近禁止命令を併せて発令することができます。
今回の改正により、被害者への電話等禁止命令の対象行為に、<1>緊急時以外の連続した文書の送付・SNS等の送信、<2>緊急時以外の深夜早朝のSNS等の送信、<3>性的羞恥心を害する電磁的記録の送信、<4>GPSを用いた位置情報の無承諾取得が追加されました。
さらに、子への接近禁止命令とあわせて、被害者への接近禁止命令の実効性を確保するため、被害者の子への電話等禁止命令が創設されました。その対象行為は、<1>行動監視の告知等、<2>著しく粗野乱暴な言動、<3>無言電話、緊急時以外の連続した電話、文書送付、FAX・メール・SNS等の送信、<4>緊急時以外の夜間早朝の電話、FAX送信、<5>汚物等の送付等、<6>名誉や性的羞恥心を害する告知等(電磁的記録の送信を含む)、<7>GPSを用いた位置情報の無承諾取得となります。
また、被害者への接近禁止命令等の有効期間は、これまで6か月とされていたところ、1年に伸長されたほか、退去等命令の期間については、原則2か月であるところ、住居の所有者又は賃借人が被害者のみである場合には、被害者からの申立てにより6か月とする特例が新設されました。
保護命令のうち接近禁止命令等の申立てをすることができる被害者は、これまでは、「身体に対する暴力を受けた者」と「生命又は身体に対する脅迫を受けた者」でした。
配偶者からの暴力は、加害者が自己への従属を強いるために用いることが指摘されています。このような配偶者からの暴力の特殊性に鑑み、害悪を告知することにより畏怖させる行為について広く対象にする必要があることから、今回の改正では、「自由、名誉又は財産に対する加害の告知による脅迫を受けた者」についても、接近禁止命令等の申立ての対象とされました。
なお、退去等命令については、申立てをすることができる被害者の範囲及び要件は、これまでと変わりありません。
保護命令の申立ての対象となる被害者は、性別を問いません。また、同性カップル間の暴力についても、保護命令の対象となった例があります。
また、改正配偶者暴力防止法により、保護命令に違反した者に対する罰則が、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金から、2年以下の拘禁刑※又は200万円以下の罰金へと加重されました。
改正配偶者暴力防止法について、詳細は内閣府男女共同参画局ウェブサイトで紹介しています。
(URL:https://www.gender.go.jp/policy/no_violence/e-vaw/law/32.html)

