警察庁 National Police Agency

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第4章 支援等のための体制整備への取組

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1 相談及び情報の提供等(基本法第11条関係)

・ 地方公共団体における総合的かつ計画的な犯罪被害者等支援の促進

【施策番号166】

警察においては、地方公共団体における犯罪被害者等の視点に立った総合的かつ計画的な犯罪被害者等支援に資するよう、犯罪被害者等支援を目的とした条例等の犯罪被害者等支援のための実効的な事項を盛り込んだ条例の制定又は計画・指針の策定状況に関する情報提供を行っている(警察庁ウェブサイト「犯罪被害者等施策」:https://www.npa.go.jp/hanzaihigai/local/jourei.html)。

また、警察庁においては、「犯罪被害者等施策情報メールマガジン」において、犯罪被害者等支援を目的とした条例の制定状況及び当該条例に基づく主な支援施策等を紹介しているほか、都道府県・政令指定都市における犯罪被害者等支援を目的とした条例に関する資料「条例の小窓」を定期的に取りまとめ、警察庁ウェブサイト(https://www.npa.go.jp/hanzaihigai/local/jourei/komado.pdf)に掲載するなど、地方公共団体に対する情報提供に努めている。

さらに、令和3年3月、都道府県警察に対し、地方公共団体における条例の制定等に向けた検討等に資する協力等を行うよう指示した(令和3年3月31日付け警察庁次長依命通達別添)。

4年4月現在、39都道府県、11政令指定都市、453市区町村において、犯罪被害者等支援を目的とした条例が制定されている(トピックス「犯罪被害者等支援を目的とした条例の制定状況」参照)。

警察においては、地方公共団体間で格差が生じないよう、犯罪被害者等支援を目的とした条例の制定等に関する情報提供等の取組を推進していく。

・ 地方公共団体における総合的対応窓口等の周知の促進

【施策番号167】

警察庁においては、地方公共団体における犯罪被害者等施策の窓口部局(以下「施策主管課」という。)及び総合的対応窓口の担当部局について定期的に確認しており、施策主管課については平成28年度以降、総合的対応窓口の担当部局については31年4月以降、全ての地方公共団体において確定している。

また、総合的対応窓口や都道府県・政令指定都市における犯罪被害者等施策等について、警察庁ウェブサイト「犯罪被害者等施策」(https://www.npa.go.jp/hanzaihigai/local/madoguchi_list.html)に掲載するなどして、国民に周知している。

さらに、政府広報テレビ番組内お知らせコーナー「聞いてナッ得!」(令和3年11月26日放送「考えてみよう!犯罪被害者を社会全体で支えていくために」。https://www.gov-online.go.jp/pr/media/tv/kasumigaseki/movie/20211126.html)や警察庁公式ツイッター等のSNSを活用した広報、広報啓発物の配布等を行い、総合的対応窓口の周知の促進に努めている。

総合的対応窓口案内用ミニのぼり
総合的対応窓口案内用ミニのぼり
総合的対応窓口広報啓発用ボールペン及びウェットティッシュ
総合的対応窓口広報啓発用ボールペン及びウェットティッシュ

・ 地方公共団体における専門職の活用及び連携・協力の一層の充実・強化

【施策番号169】

警察庁においては、犯罪被害者等の生活支援を効果的に行うため、犯罪被害者等施策主管課室長会議や地方公共団体の職員を対象とする研修等を通じ、犯罪被害者等支援の分野における社会福祉士、精神保健福祉士、公認心理師、臨床心理士等の専門職の活用を働き掛けるとともに、総合的対応窓口と関係機関・団体との連携・協力の一層の充実・強化を要請している。

令和4年4月現在、20都道府県・政令指定都市、95市区町村において、総合的対応窓口等に専門職を配置している。

・ 被害者支援連絡協議会及び被害者支援地域ネットワークにおける連携の推進

【施策番号183】

警察においては、生活支援、医療、公判等多岐にわたる犯罪被害者等のニーズに応え、総合的な支援を行うため、警察、地方公共団体の担当部局及び相談機関、検察、法テラス、医師会、公認心理師関連団体、臨床心理士会、弁護士会並びに犯罪被害者等の援助を行う民間の団体等から成る被害者支援連絡協議会を、全ての都道府県に設置し、相互に連携を図っている。

また、犯罪被害者等の具体的なニーズを把握し、事案に応じたきめ細かな総合的支援を行うため、警察署等を単位とした連絡協議会(被害者支援地域ネットワーク)を設置している。

さらに、被害者支援連絡協議会及び被害者支援地域ネットワークについて、メンバー間の連携及び相互の協力を充実・強化し、犯罪被害者等が置かれている立場への理解を増進するための研修や、死傷者が多数に及ぶ事案等の具体的事例を想定した実践的なシミュレーション訓練を通じて、具体的な事案に応じた対応能力の向上を図っている。

令和4年4月現在、全ての都道府県において、被害者支援連絡協議会及び計1,089の被害者支援地域ネットワークが設置され、全ての地域を網羅している。

警察と関係機関・団体等とのネットワーク
警察と関係機関・団体等とのネットワーク
シミュレーション訓練の様子
シミュレーション訓練の様子

・ 弁護士による犯罪被害者支援に対する経済的援助に関する検討

【施策番号209】

法務省において、令和2年7月から「犯罪被害者支援弁護士制度検討会」を開催し、第4次基本計画も踏まえ、弁護士による犯罪被害者支援に対する経済的援助に関し、対象となる犯罪被害者や弁護士活動の範囲、支援の在り方等について広く検討し、論点整理を行った。この論点整理結果を踏まえつつ、日本弁護士連合会や法テラスと連携し、実務的な観点から引き続き検討を行っている。

・ 被害が潜在化しやすい犯罪被害者等に対する相談体制の充実及び理解の促進

【施策番号227】

警察においては、全国統一番号の警察相談専用電話(「#9110」番)や性犯罪被害相談電話につながる全国共通番号「#8103(ハートさん)」を設置するなど、相談体制の充実に努めている。

法務省の人権擁護機関においては、法務局の人権相談窓口のほか、社会福祉施設等における特設相談所において、法務局の職員や人権擁護委員が犯罪被害者等からの人権相談に応じている。また、犯罪被害者等である子供からの人権相談については、専用相談電話「子どもの人権110番」を設置し、人権侵害を受けた子供が安心して相談することができる環境の整備を図るとともに、令和3年8月27日から9月2日までの1週間を「全国一斉「子どもの人権110番」強化週間」とし、相談を受け付ける時間を延長するなどして、子供の人権問題に関する相談体制の充実に努めている。

さらに、教職員や保護者等の身近な者に相談することができない子供の悩みを的確に把握し、学校や関係機関と連携して様々な人権問題に対応できるよう、同年5月下旬から7月上旬にかけて、全国の小・中学校の児童生徒全員に「子どもの人権SOSミニレター」を配布するとともに、法務省ウェブサイト上に「インターネット人権相談受付窓口(SOS-eメール)」 (https://www.jinken.go.jp/kodomo)を設置し、インターネットを通じてパソコン、携帯電話及びスマートフォンからいつでも相談を受け付ける体制を整備するなど、相談体制の充実・強化を図っている。

加えて、若年層が人権相談にアクセスしやすくなるよう、SNSを活用した人権相談体制の整備を進めている。

女性の犯罪被害者等からの人権相談については、専用相談電話「女性の人権ホットライン」を設置するとともに、同年11月12日から同月18日までの1週間を「全国一斉「女性の人権ホットライン」強化週間」とするなど、相談体制の充実・強化に努めている。

このほか、日本語を自由に話すことが困難な外国人等からの人権相談については、全国50か所全ての法務局に「外国人のための人権相談所」(英語・中国語・韓国語・フィリピノ語・ポルトガル語・ベトナム語・ネパール語・スペイン語・インドネシア語・タイ語の10言語に対応)及び「外国語人権相談ダイヤル」(前記10言語に対応)を設置するとともに、法務省ウェブサイト上に「外国語インターネット人権相談受付窓口」(前記10言語に対応)を開設し、外国人の犯罪被害者等にも対応できる体制を整備している。

なお、同年における犯罪被害者等からの人権相談の件数は、44件であった。

また、犯罪被害者等の人権に対する配慮と保護を図るため、「犯罪被害者とその家族の人権に配慮しよう」を強調事項の一つとして掲げ、啓発冊子の配布等の人権啓発活動を実施している。

法テラスにおいては、犯罪被害者支援ダイヤルにより、匿名での相談にも対応できる体制を整備しているほか、女性弁護士による支援を希望する犯罪被害者等のニーズに応えるため、弁護士会等と連携し、全ての都道府県において、女性の犯罪被害者支援の経験や理解のある弁護士(精通弁護士)を複数人確保しており、4年4月現在、その数は計971人である。

内閣府においては、インターネット及びSNSに親和性の高い若年層が性暴力被害について相談しやすいよう、2年10月から、SNSを活用した相談事業「Cure time (キュアタイム)」を試行実施している(「Cure time(キュアタイム)」についてはトピックス「性犯罪・性暴力被害者のための相談体制の拡充について」を、文部科学省における取組については【施策番号53】を、それぞれ参照)。

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