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第3章 刑事手続への関与拡充への取組

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1 刑事に関する手続への参加の機会を拡充するための制度の整備等(基本法第18条関係)

・ 捜査に関する適切な情報提供等

【施策番号145】

警察庁においては、「被害者連絡実施要領」(平成29年7月12日付け警察庁刑事局長等通達別添)に基づき、被害者連絡が確実に実施され、犯罪被害者等に対する情報提供が適切に行われるよう、都道府県警察を指導している。

また、都道府県警察においては、交通事故被害者等の心情に配慮した適切な対応が行われるよう、交通事故に関する被害者連絡を総括する者として都道府県警察本部に設置された被害者連絡調整官等が、警察署の交通捜査員に対する指導・教育を行っている。

さらに、被害者連絡等を通じて把握した犯罪被害者等の置かれている状況やニーズのうち、民間被害者支援団体や他の行政機関と共有すべきものについては、犯罪被害者等の同意を得た上で情報提供を行うなど、関係機関・団体との連携を図っている。

被害者連絡制度の概要
被害者連絡制度の概要

・ 加害者処遇における犯罪被害者等への配慮の充実

【施策番号154】

法務省においては、矯正施設に収容されている加害者のうち必要な者に対し、「被害者の視点を取り入れた教育」の受講を義務付けている。同教育は、被収容者に対し、自らの犯した罪と向き合い、その大きさや犯罪被害者等の心情等を認識させ、犯罪被害者等に誠意を持って対応するとともに、再び罪を犯さない決意を固めさせることを目標としており、犯罪被害者等のゲストスピーカーによる直接講話を実施するなど、犯罪被害者等の心情等の理解を深め、謝罪等の具体的な行動を促す指導に努めている。さらに、同教育の更なる充実のため、令和2年度に外部有識者を招いた「刑事施設における「被害者の視点を取り入れた教育」検討会」を開催して、標準プログラムの改訂方針等について検討を行い、5年度からの運用開始に向け、3年度から同プログラムの改訂に着手している。このほか、矯正施設においては、家庭裁判所や検察庁等から送付される処遇上の参考事項調査票等に記載されている犯罪被害者等の心情等の情報について、被収容者に対する指導に活用している。

【施策番号158】

保護観察所においては、犯罪被害者等の申出に応じて犯罪被害者等から被害に関する心情、犯罪被害者等の置かれている状況等を聴取し、保護観察対象者に伝達する制度(心情等伝達制度)において、当該対象者に被害の実情を直視させ、反省や悔悟の情を深めさせるための指導監督を徹底している。

3年中に同制度に基づいて心情等を伝達した件数は、182件であった。

また、法務省においては、「更生保護の犯罪被害者等施策の在り方を考える検討会」報告書等を踏まえ、犯罪被害者等による心情等伝達制度へのアクセスの向上、しょく罪指導のためのプログラム(しょく罪指導プログラム)の充実強化等について検討を行っている。さらに、4年6月に成立した刑法等の一部を改正する法律により改正された更生保護法(以下「改正更生保護法」という。)では、保護観察対象者に対する伝達を前提とせずに、犯罪被害者等からの申出に応じて犯罪被害者等の心情等を聴取する制度を新たに設けることとされたことから、同制度の具体的な運用等について、現在、必要な検討を行っている。

更生保護における各種制度
更生保護における各種制度
心情等伝達制度の運用状況
年次 心情等伝達件数
平成29年 177
平成30年 185
令和元年 158
令和2年 155
令和3年 182
提供:法務省

・ 犯罪被害者等の視点に立った保護観察処遇の充実

【施策番号159】

地方更生保護委員会及び保護観察所の長は、これまでも、保護観察等の措置を執るに当たっては、当該措置の内容に応じ、犯罪被害者等の被害に関する心情、犯罪被害者等が置かれている状況その他の事情を考慮しているところ、改正更生保護法にその旨が明記されたことを踏まえ、一層適正な運用を図ることとしている。

【施策番号160】

犯罪被害者等の被害に関する心情、犯罪被害者等が置かれている状況その他の事情を理解し、その被害を回復すべき責任を自覚するための保護観察対象者に対する指導に関する事実について、保護観察官又は保護司に申告し、又は当該事実に関する資料を提示することを、保護観察における遵守事項の類型に加える。

【施策番号161】

地方更生保護委員会においては、これまでも、犯罪被害者等の申出に基づき、仮釈放等を許すか否かに関する審理において、犯罪被害者等から加害者の仮釈放等に関する意見等を聴取していたところ、生活環境の調整及び仮釈放等の期間中の保護観察に関する意見についても併せて聴取することが改正更生保護法に明記されたことを踏まえ、仮釈放等審理はもとより、生活環境の調整やその後の保護観察処遇をより一層適正に実施することとしている。

また、令和4年4月以降、収容中の特定保護観察処分少年について新たに設けられた退院審理についても、本制度の対象としている。

【施策番号162】

法務省においては、保護観察所の長が、保護観察対象者に対し、具体的な賠償計画を立て、犯罪被害者等に対しての慰謝の措置を講ずることを生活行動指針として設定し、これに即して行動するよう指導を行うための運用指針を、4年3月に新たに策定し、当該指導の充実を図っている。

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