第7章 警察活動の支え

6 留置施設の管理運営

(1)留置施設の管理運営

令和4年4月1日現在、留置施設は、全国で1,064施設(収容基準人員(注)2万1,237人)が設置されている。警察では、刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律に基づき、捜査と留置の分離を徹底しつつ、被留置者の人権に配慮した処遇及び施設の改善を推進しており、月に2回の健康診断の実施、健康に配慮した食事の提供、冷暖房装置の整備等のほか、次のような取組を行っている。

① 女性被留置者に対する適切な処遇

警察では、女性被留置者に対してより適切な処遇を行うという観点から、女性被留置者のみを留置し、女性警察官が常時看守業務に従事する女性専用留置施設の設置を推進している。また、留置施設への女性警察職員の配置を進めるなど、物的及び人的基盤の整備を進めている。

注:留置施設の定員数

 
図表7-11 女性専用留置施設数の推移(平成30~令和4年)
図表7-11 女性専用留置施設数の推移(平成30~令和4年)
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図表7-12 留置業務に従事している女性警察職員数の推移(平成30~令和4年)
図表7-12 留置業務に従事している女性警察職員数の推移(平成30~令和4年)
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② 外国人被留置者に対する適切な処遇

警察では、外国人被留置者向けに、複数の言語の告知書(注)を用意しているほか、被留置者の信仰する宗教を踏まえた食事の提供を行うなど、言語や宗教等の違いに配慮した処遇に努めている。

注:留置の開始に際し、留置施設での処遇について説明するための書面

③ 留置施設に対する巡察

警察庁では、被留置者の処遇の全国的な斉一を図るため、毎年度全ての都道府県警察の留置施設に対し、計画的な巡察を実施している。

④ 留置施設視察委員会

留置施設の運用状況の透明性を高めるため、警察部外の第三者から構成される機関として、留置施設視察委員会(以下「委員会」という。)が、都道府県警察本部及び方面本部に設置されている。委員会は、弁護士等の法律関係者や医師、地域住民等の委員で構成されている。各委員は、留置施設を実際に視察し、被留置者と面接するなどして留置施設の実情を把握した上で、委員会として留置業務管理者(警察署長等)に意見を述べるものとされており、警視総監、道府県警察本部長及び方面本部長は、委員会からの意見及びこれを受けて警察が講じた措置の概要を公表することとされている。

 
図表7-13 留置施設視察委員会委員の職業別割合(令和5年1月1日現在)
図表7-13 留置施設視察委員会委員の職業別割合(令和5年1月1日現在)
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(2)被留置者の収容状況

被留置者の年間延べ人員は、図表7-14のとおり減少傾向にあり、留置施設の収容率(注)も、図表7-16のとおり低下傾向にある。一方、一時的に過剰な収容状態となる場合が依然としてあることから、警察では、警察署の建て替え等に際して十分な規模の留置施設を整備したり、拘置所等刑事施設への早期の移送を要請したりするなどして、収容力の確保を図っている。

注:留置施設の定員数に対する被留置者の割合

 
図表7-14 被留置者延べ人員の推移(平成25~令和4年)
図表7-14 被留置者延べ人員の推移(平成25~令和4年)
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留置施設の整備に当たっては、被留置者の居室を並列に配置し、居室前面の一部に遮蔽板を設けたり、留置施設内の風通しや採光に配慮したりするなど、被留置者のプライバシー保護や人権に配慮した設計を取り入れている。

 
図表7-15 留置施設の収容基準人員の推移(平成25~令和4年)
図表7-15 留置施設の収容基準人員の推移(平成25~令和4年)
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図表7-16 留置施設の収容率の推移(平成25~令和4年)
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CASE

警察庁では、令和4年中、被留置者が留置施設内で自殺を図り死亡した事案等を受けて、全国警察への検証結果の共有、全国留置施設に対する緊急点検の実施、自殺防止対策の組織的な管理の強化・徹底等の取組により、適正な留置管理業務のより一層の推進を図った。



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