4 自転車の安全利用の促進
(1)自転車関連交通事故の状況
自転車関連交通事故件数は減少傾向にあり、令和3年中の自転車乗用中死者数(注)も361人と、前年より58人(13.8%)減少した。しかし、自転車側の約8割に何らかの法令違反があり、中でも、安全不確認及び運転操作不適が多い。
注:第1・2当事者以外の当事者を含む。

(2)良好な自転車交通秩序の実現のための対策
① 自転車利用者に対するルール等の周知徹底
警察では、地方公共団体、学校、自転車関係事業者等と連携し、「自転車安全利用五則」(注)を活用するなどして、全ての年齢層の自転車利用者に対して、自転車通行ルール等の周知を図っている。
また、ルールを守らなかった場合の罰則や交通事故発生の危険性等を周知するとともに、全ての年齢層へのヘルメットの着用や幼児を自転車に乗車させる場合のシートベルトの着用の促進を図っている。
この点、「第11次交通安全基本計画」や、令和3年5月に閣議決定された「第2次自転車活用推進計画」において、全ての年齢層の自転車利用者に対して、ヘルメットの着用を促すべきなどとされたことを踏まえ、道路交通法の一部を改正する法律により、全ての年齢層の自転車利用者に対して、ヘルメットの着用の努力義務を課すこととされた。
注:「自転車は、車道が原則、歩道は例外」、「車道は左側を通行」、「歩道は歩行者優先で車道寄りを徐行」、「安全ルールを守る(飲酒運転・二人乗り・並進の禁止、夜間はライトを点灯及び交差点での信号遵守と一時停止・安全確認)」、「子供はヘルメットを着用」を内容とし、平成19年7月に中央交通安全対策会議(交通安全対策基本法により、内閣府に置かれ、内閣総理大臣を会長とし、関係する大臣等を委員とする会議)交通対策本部で決定された「自転車の安全利用の促進について」において、自転車の通行ルールの広報啓発に当たって活用することとされたもの。

広報啓発ポスター
② 自転車利用者による交通違反に対する指導取締りの強化
警察では、自転車指導啓発重点地区・路線(注)を中心に、自転車利用者の信号無視、通行区分違反(右側通行、歩道通行等)、一時不停止等に対し、指導警告を行うとともに、悪質・危険な交通違反に対しては検挙措置を講じるなど、厳正に対処している。
また、交通の危険を生じさせるおそれのある一定の違反行為を反復して行った自転車の運転者を対象として、自転車の運転による交通の危険を防止するため、自転車運転者講習を実施しており、令和3年中は555人が受講した。
なお、本講習は、受講者の行動特性に応じた教育内容となっており、受講者に自身の運転行動を気付かせた上で、その変容を促すものとなっている。
注:自転車が関係する交通事故の発生状況、地域住民の苦情・要望等を踏まえ、全国1,887か所(令和4年4月末警察庁調べ)を指定
