5 新たなモビリティを含めた多様な交通主体の交通ルールの整備
(1)新たなモビリティ
近年、技術の進展等により、電動キックボード、自動配送ロボット等の多様なモビリティが登場しており、海外の一部の国では、それらが新たな移動・運送手段として活用され始めている状況にある。また、我が国においても、これらの新たなモビリティの更なる活用を目指して各地で実証実験が行われているところである。

電動キックボードの公道実証実験の状況

自動配送ロボットの公道実証実験の状況
(2)新たなモビリティに係る交通ルールの整備
電動キックボード等の新たなモビリティについては、現行の道路交通法においては、原動機付自転車等に分類されることになるが、その使用実態をみると、性能上、歩行者や自転車並の速度でしか走行しないものもあり、既存の交通ルールをそのまま適用することは必ずしも適当ではなく、交通ルール等の在り方の見直しを求められている。
これを踏まえ、令和2年7月から令和3年11月にかけて、警察庁において「多様な交通主体の交通ルール等の在り方に関する有識者検討会」を開催し、専門家の意見を聴きながら、新たなモビリティ以外の交通主体も含めた多様な交通主体全ての安全かつ快適な通行を可能とするような交通ルール等の在り方を、幅広く検討した。その結果、同検討会から、新たなモビリティについて、最高速度や車体の大きさに着目して車両の区分を定め、それに応じた交通ルールを定めることが適当であるとの提言がなされた。
そして、令和4年4月、第208回国会において、電動キックボードの交通ルールの整備や自動配送ロボットに関する制度の整備等を内容とする道路交通法の一部を改正する法律が成立した(注)。この改正により、性能上の最高速度が自転車と同程度であるなど一定の要件を満たす電動キックボード等については、運転免許を要しないこととし、16歳未満の者の運転を禁止することとしたほか、走行場所やヘルメットの着用について、自転車と同様の交通ルールとすることとされた。また、交通ルールの周知のため、電動キックボード等の販売業者等に対し、購入者や利用者に対する交通安全教育を行うことを努力義務として課すこととされた。さらに、一定の要件を満たす自動配送ロボット等の使用について届出制度が新設され、必要な場合に都道府県公安委員会が行政処分を行うことができることとされた。
警察では、道路交通法の改正により定められた電動キックボード等の走行場所等に係る新たな交通ルールが広く国民に周知されるよう、積極的な広報啓発等を行うとともに、悪質・危険な違反行為に対する取締りを徹底し、新たなモビリティも含めた多様な交通主体全ての安全かつ快適な通行を確保することとしている。
注:電動キックボードの交通ルールの整備については公布の日(令和4年4月27日)から2年以内、自動配送ロボットに関する制度の整備については公布の日から1年以内に施行される。