第5章 安全かつ快適な交通の確保

3 子供の交通安全の確保

(1)子供が関係する交通事故の特徴

令和3年中の15歳以下の子供の死者数は42人であり、同年齢層の人口10万人当たりの死者数は、全年齢層に比べても大幅に少なく、過去10年間の減少率も大きい。

幼児及び小学生の死者・重傷者数の推移をみると、共に減少傾向にあるが、令和3年中は、約6割が歩行中の事故となっている。

また、平成24年から令和3年までの期間における小学生の死者・重傷者数を学齢別にみると、小学2年生が最も多く、各学齢を更に状態別でみると、低学年ほど歩行中の事故、高学年になるほど自転車乗用中の事故の割合が高くなっている。

 
図表5-12 15歳以下の人口10万人当たり死者数の推移(平成24年~令和3年)
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図表5-13 幼児の状態別死者・重傷者数の推移(平成24年~令和3年)
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図表5-14 小学生の状態別死者・重傷者数の推移(平成24年~令和3年)
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図表5-15 小学生の学齢別状態別死者・重傷者数(平成24年~令和3年の合計)
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(2)子供の交通安全教育

警察では、心身の発達段階に応じた段階的かつ体系的な交通安全教育を推進している。

幼児に対しては、チャイルドシートの使用等の幼児に特有の内容のほか、自らの判断で行動する歩行者となるために基本となる交通ルールや交通マナー等を習得させるため、幼稚園・保育所、保護者等と連携して、腹話術や紙芝居等の視聴覚に訴える教育手法を取り入れた交通安全教室等を実施している。

また、児童に対しては、歩行者及び自転車利用者として必要な技能・知識を習得させるとともに、道路交通における危険を予測し、これを回避して安全に通行する意識及び能力を高めるため、小学校、PTA等と連携した交通安全教育を実施している。

 
児童に対する交通安全教室
児童に対する交通安全教室

MEMO 歩行者優先と正しい横断に向けた取組

① 交通の方法に関する教則の改正

交通の方法に関する教則は、正しい交通の仕方が歩行者や運転者一人一人に分かりやすく理解されるように作成したもので、その内容は、道路交通法等の法令で決められた交通の方法や安全のために守るべきこと、運転に必要な自動車の構造についての知識等となっている。

令和3年3月、「第11次交通安全基本計画」が作成され、横断歩行者の安全確保のための普及啓発活動として、運転者に対して横断する意思を明確に伝え、安全を確認してから横断を始めるなど、歩行者が自らの安全を守るための交通行動を促す交通安全教育等を推進することとされた。

これを踏まえ、同年4月に交通の方法に関する教則が改正され、信号機のない場所で横断しようとするときの歩行者の心得として、手を挙げるなどして運転者に対して横断する意思を明確に伝えることなどが規定された。

② 横断歩道における歩行者優先等を徹底するための広報啓発活動

警察では、シミュレーター等の各種教育機材を活用した参加・体験・実践型の交通安全教育等の従前の活動に加え、学校の放送設備や事業所等の会議システムの活用、動画を活用した学習機会の提供、ウェブサイトやSNS等の各種媒体の積極的活用等、対面によらない交通安全教育や広報啓発活動を実施している。その一例として、歩行者優先と正しい横断を呼び掛ける広報啓発動画を作成し、都道府県警察のウェブサイトに動画を掲載するなどの取組を実施している。

 
広報啓発動画
広報啓発動画

③ 横断歩行者等妨害等に対する指導取締りの効果的な実施

警察では、横断歩行者の事故の実態に着目し、横断歩行者等妨害等の違反や歩行者による信号無視等の違反を分析の上、横断中はもとより、横断しようとする歩行者の保護に資する指導取締りを推進している。

 
図表5-16 横断歩行者等妨害等の取締り件数の推移(平成29年~令和3年)
図表5-16 横断歩行者等妨害等の取締り件数の推移(平成29年~令和3年)
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④ 道路標識・道路標示の適切な維持管理等

警察では、横断歩行者優先の前提となる横断歩道の道路標識・道路標示が、破損、滅失、褪色(たい)、摩耗等の理由によりその効用が損なわれないよう、適切な維持管理に努めているほか、道路管理者と連携して、スムーズ横断歩道(注)の整備を推進している。

注:車両の運転者に減速と横断歩行者優先の遵守を促す、ハンプと横断歩道を組み合わせた構造物

 
スムーズ横断歩道(神奈川県横浜市)
スムーズ横断歩道(神奈川県横浜市)


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