第4節 地域住民の安全・安心確保のための取組
1 相談業務の充実強化
（1）相談取扱いの現状
相談取扱件数の推移及び相談内容については、図表2-77から図表2-79までのとおりであり、犯罪等による被害防止、家庭・職場・近隣関係、刑事事件、サイバー関係に関するもの等について多くの相談が寄せられている。
（2）相談受理体制
警察では、国民から寄せられた相談に対し、迅速・確実な組織対応を行うことができるよう、警視庁及び道府県警察本部並びに各警察署の総・警務部門にそれぞれ相談の総合窓口を設置している。総合窓口では、警察職員のほか、経験豊富な元警察職員等を非常勤の警察安全相談員として配置するなど、相談受理体制を整備するとともに、各担当部門における、相談の処理状況の点検を実施している。
また、警視庁及び道府県警察本部に警察相談専用電話を設置し、全国統一番号の「＃（シャープ）9110」番（注）に電話をかければ発信地を管轄する警察本部等の総合窓口に接続されるようにするなど、相談上の利便を図っているほか、9月11日を「警察相談の日」と定め、「＃9110」番や各都道府県警察に設置している各種相談窓口について広報し、相談内容に応じた適切な相談窓口の利用を呼び掛けている。
「♯（シャープ）9110」番の広報活動
（3）相談内容に応じた適切な対応の推進
① 相談への組織的な対応
寄せられた相談に対しては、相談内容に応じて、関係する部署が連携を図って対応し、指導、助言、他の専門機関の教示、相手方への警告、検挙等、犯罪等の被害の発生の有無にかかわらず相談者の不安等を解消するため、必要な措置を講じている。
相談者等の生命又は身体に危害が及ぶおそれのある相談等緊急の対応を要する相談事案を認知した場合には、直ちに幹部へ報告がなされる仕組みや、総・警務部門が各担当部署における相談の処理状況を点検する仕組み等を構築し、組織的な対応を強化している。
② 相談に対応する職員への研修の実施
多種多様な相談に適切に対応できる職員を育成するため、都道府県警察では、相談に対応する職員に対し、各部門の業務担当者による事案ごとの相談受理・対応要領の講義や、様々な専門的知識を有する部外講師による講義のほか、ロールプレイング方式の相談対応訓練等、実務に直結する研修を実施している。
ロールプレイング方式の相談対応訓練
③ 関係機関・団体等との連携の推進
警察以外の機関・団体等で取り扱うことが適切である相談や警察以外の機関・団体等との緊密な連携が必要とされる相談への適切な対応を図るため、関係機関・団体等との連絡会議を開催して意見交換を行うなど、関係機関・団体等との連携強化に努めている。
コラム 認知症に係る行方不明者等への対策
認知症に係る行方不明者等については、その早期発見・保護の必要性が高いところ、平成26年中の認知症に係る行方不明者届の受理件数は、1万783件であり、25年に比べて461件（4.5％）増加した。認知症に係る行方不明者の発見活動や迷い人（注1）の身元確認は、自治体等と連携した取組が重要であり、警察では、以下の施策を推進するとともに、自治体等との連携を一層強化することとしている。
○ 行方不明者情報掲載のリンクページの設置
都道府県警察では、行方不明者届の届出人の意思を確認の上、適当と認めるときは、行方不明者に関する情報をウェブサイトに掲載しているほか、26年10月からは、警察庁のウェブサイト（注2）から全国の行方不明者に関する情報に容易にアクセスできるようにしている。
また、26年8月に厚生労働省が設置した「身元不明の認知症高齢者等に関する特設サイト」と、警察庁の上記ウェブサイトを相互にリンクさせている。
○ 迷い人に係る閲覧資料の備付け
都道府県警察では、自治体等で保護されている一定期間身元が判明しない迷い人については、自治体等の要請に基づいて、その写真等の資料を警察署又は警察本部に備付けるとともに、当該資料を他の都道府県警察にも提供し、行方不明者届の届出人等が閲覧できるようにしている。
注2：http://www.npa.go.jp/safetylife/seianki/fumei/index.htm
行方不明者情報掲載のリンクページ