第2章 生活安全の確保 

第3節 地域住民の安全・安心確保のための取組

1 相談業務の充実強化

(1)相談取扱いの現状

相談取扱件数の推移及び相談内容については、図表2-35から図表2-37までのとおりであり、近年、犯罪等による被害防止、家庭・職場・近隣関係、刑事事件、契約・取引関係に関するもの等について多くの相談が寄せられている。

 
図表2-35 相談取扱件数の推移(平成16~25年)
図表2-35 相談取扱件数の推移(平成16~25年)
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図表2-36 相談内容の内訳(平成25年)
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図表2-37 主な相談内容とその推移(平成21~25年)
図表2-37 主な相談内容とその推移(平成21~25年)
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(2)相談受理体制

警察では、国民から寄せられた相談に対し、迅速・確実な組織対応を行うことができるよう、警視庁及び道府県警察本部並びに各警察署の総・警務部門にそれぞれ相談の総合窓口を設置している。総合窓口では、警察職員のほか、経験豊富な元警察職員等を非常勤の警察安全相談員として配置するなど、相談受理体制を整備するとともに、各担当部門における、相談の処理状況の点検を実施している。

また、警視庁及び道府県警察本部に警察相談専用電話を設置し、全国統一番号の「♯(シャープ)9110」番(注)に電話をかければ発信地を管轄する警察本部等の総合窓口に接続されるようにするなど、相談上の利便を図っているほか、9月11日を「警察相談の日」と定め、「♯9110」番や各都道府県警察に設置している各種相談窓口について広報し、利用を呼び掛けている。

注:携帯電話からも利用できる。なお、ダイヤル回線及び一部のIP電話では利用できないので、警察安全相談専用の一般加入電話番号を警察庁ウェブサイト等で広報している。

 
「♯9110」番の広報活動

「♯9110」番の広報活動


(3)相談内容に応じた適切な対応の推進

① 相談への組織的な対応

寄せられた相談に対しては、相談内容に応じて、関係する部署が連携を図って対応し、指導、助言、他の専門機関の教示、相手方への警告、検挙等、犯罪等の被害の発生の有無にかかわらず相談者の不安等を解消するため必要な措置を講じている。

 
相談への対応状況

相談への対応状況


② 研修の実施

多種多様な相談に適切に対応できる職員を育成するため、警察庁では、警視庁及び道府県警察本部の相談業務担当職員に対して相談対応要領や相談者の心理等を内容とする研修を実施している。また、都道府県警察においても、警察署の職員を対象に研修会等を実施している。

③ 関係機関・団体等との連携の推進

警察以外の機関・団体で取り扱うことが適切である相談や警察以外の機関・団体と相互に緊密な連携を図ることが必要とされる相談への適切な対応を図るため、関係機関・団体等とのネットワークを強化し、円滑な引継ぎを行うとともに、関係機関・団体等と連携した相談の対応に取り組んでいる。

事例①

兵庫県警察では、尼崎市における被害者多数の殺人・死体遺棄事件に関する相談への対応状況の調査結果を踏まえ、平成25年5月、同県警察本部に「広域相談指導係」を設置し、同係において複数の警察署又は複数の部門にまたがる相談を集約・分析した上で、主として対応する警察署や部門を調整するとともに、関係する所属に対して対応を指導している。

同係は、設置後半年間で、約3,000件に上る複数の警察署にまたがる相談に対応している。一例としては、「農機具の売掛金を支払ってもらえない」旨の相談が、隣接する警察署において複数なされていたことから、同係は検挙に向けた検討を関係警察署へ指示し、捜査の結果、同年11月までに、建設作業員の男(33)を詐欺罪で検挙した(兵庫)。

 
広域相談指導係発足式

広域相談指導係発足式

事例②

25年12月、男性(55)から「所有する土地の木を伐採するに当たり、何者かによって蜂の巣箱が置き去りにされており対応に困っている。自ら巣箱を処分してよいか教えてほしい」旨の相談を受けた。弁護士等と検討の上、「所有者の同意なく巣箱を処分すると損害賠償責任が発生し得る。遺失物法に基づく拾得物件として警察署長に対して届け出ることが可能である」旨相談者に対して教示したところ、相談者は当該巣箱を警察に届け出て、相談の解決に至った(宮崎)。


 第3節 地域住民の安全・安心確保のための取組

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