第2章 組織犯罪対策の推進

第3節 来日外国人犯罪対策

1 来日外国人犯罪の情勢

(1)全般的傾向

平成22年中の来日外国人犯罪の検挙件数は1万9,809件、検挙人員は1万1,858人と、それぞれ前年より8,027件(28.8%)、1,399人(10.6%)減少した。しかし、来日外国人犯罪の情勢が比較的平穏に推移していた昭和から平成初期までと比べると、件数が元年の約3.4倍、人員が約2.6倍と大きく増加しており、来日外国人犯罪の検挙状況は、依然として高い水準にある。

図2―12 来日外国人犯罪の検挙状況の推移(昭和56~平成22年)

表2―12 来日外国人犯罪の検挙状況の推移(平成13~22年)

(2)国籍・地域別検挙状況

平成22年中の来日外国人犯罪の検挙状況を国籍・地域別にみると、中国(台湾、香港を除く。)が最も多く、検挙人員の約4割を占めている。刑法犯検挙件数を罪種別にみると、侵入盗では中国が58.4%、車上狙いではブラジルが77.0%となっているなど、罪種によって高い比率を占める国が異なっている。

図2―13 来日外国人犯罪の国籍・地域別検挙状況(平成22年)

(3)不法残留者、不法入国者及び不法上陸者等の状況

不法残留者の数については、警察を含む関係機関による総合的な施策により減少しており、平成23年1月1日現在、7万8,488人と、過去5年間で11万5,257人(59.5%)減少した。

しかし、依然として我が国には多数の不法滞在者(注)が存在していることから、警察では、不法滞在者に対する取締りを強化するとともに、入国管理局との合同摘発を積極的に推進している。

図2―14 入管法違反の検挙状況の推移(平成18~22年)

図2―15 国籍・地域別の不法残留者数の推移(平成18~23年)

注:出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」という。)第3条違反の不法入国者、入国審査官から上陸の許可を受けないで本邦に上陸した不法上陸者及び適法に入国した後在留期間を経過して残留している者等の不法残留者

(4)不法滞在者による犯罪

平成22年中の来日外国人刑法犯に占める不法滞在者の割合は7.0%であるが、罪種別にみると、侵入窃盗では30.6%、侵入強盗では14.9%となるなど、国民に強い不安感を与える身近な犯罪への不法滞在者の関与が依然として高い水準にある。

図2―16 来日外国人刑法犯の検挙人員に占める不法滞在者の割合(平成22年)

(5)来日外国人犯罪の組織化の動向

平成22年中の来日外国人による刑法犯の検挙件数に占める共犯事件の割合は、51.8%と、日本人(15.8%)の約3.3倍に上り(注)、罪種別にみると、住宅を対象とした侵入盗で89.7%と共犯事件の割合が極めて高く、強盗では40.5%が共犯事件となっている。

このように、来日外国人による犯罪は、日本人によるものと比べて多人数で行われる場合が多く、来日外国人犯罪の組織化の傾向がうかがえる。

図2―17 来日外国人刑法犯の検挙件数に占める共犯事件の割合の推移(平成13~22年)

図2―18 来日外国人と日本人の刑法犯における共犯率の違い(平成22年)

注:来日外国人と日本人の共犯事件については、主たる被疑者の国籍・地域により、来日外国人による共犯事件であるか、日本人による共犯事件であるかを分類して計上している。


第3節 来日外国人犯罪対策

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