第2章 生活安全の確保と犯罪捜査活動 

10 ヤミ金融事犯、悪質商法等

(1)ヤミ金融事犯
 平成17年中のヤミ金融事犯(注1)の検挙事件数は339事件(前年比93事件(21.5%)減)、検挙人員は706人(前年比213人(23.2%)減)と、いずれも前年より減少した。このうち、暴力団が関与する事件は約25%であった。

注1:出資法違反(高金利)事件及び貸金業の規制等に関する法律違反事件並びに貸金業に関連した詐欺、暴行、脅迫等の事件


 
 表2-4 金融事犯の検挙状況の推移(平成13~17年)
表2-4 金融事犯の検挙状況の推移(平成13~17年)
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 最近のヤミ金融事犯は、大手信販会社に似せた名称や架空の貸金業登録番号を掲載したダイレクトメールを送付し、顧客を信用させて融資を勧誘するなど、手口が巧妙化している。また、年金等の公的給付が振り込まれる預貯金口座の通帳等を担保として預かり、融資する悪質な事例もみられた。

事例
 貸金業を営む者(38)ら4人は、16年6月から17年3月にかけて、年金受給者名簿を基に融資を勧誘し、約200人に法定利息の7倍から22倍の高金利で合計約1億円を貸し付けた上、返済を受けることを目的に、年金等が振り込まれる預金口座の通帳等を預かり保管した。同年6月までに、貸金業の規制等に関する法律違反(公的給付に係る預金通帳等の保管等の制限)及び出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律(以下「出資法」という。)違反(高金利)で検挙した(警視庁)。

(2)悪質商法
〔1〕 資産形成事犯
 平成17年中の資産形成事犯(注2)の検挙事件数は9事件、検挙人員は41人で、被害額等は約107億円であった。検挙事件には、「元本保証」、「高配当」等をうたい文句に多額の出資をさせた事件等がある。

注2:資産形成の各種取引に係る出資法、証券取引法、無限連鎖講防止法等の違反事犯


 
 表2-5 資産形成事犯の検挙状況の推移(平成13~17年)
表2-5 資産形成事犯の検挙状況の推移(平成13~17年)
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事例1
 情報通信会社の役員(56)ら4人は、15年3月ころから17年3月ころにかけて、「外国為替証拠金取引に出資すれば、毎月2%の配当を支払う。預かったお金は海外の銀行に分離保管されて守られる」などとして、顧客約200人から約18億7,000万円を預かった。17年12月、出資法違反(預り金の禁止)で逮捕した(沖縄)。

〔2〕 特定商取引等に係る事犯
 17年中の特定商取引等事犯の検挙事件数は124事件、検挙人員は330人であった。高齢者等を対象として、床下や屋根を点検し、必要のない修繕工事を高額で行うなどの「点検商法」が80事件で、全検挙事件数の約3分の2を占めた。
 
 表2-6 特定商取引等に係る事犯の検挙状況の推移(平成13~17年)
表2-6 特定商取引等に係る事犯の検挙状況の推移(平成13~17年)
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事例2
 リフォーム会社の従業員(28)ら11人は、14年12月ころから16年2月ころにかけて、高齢者の居宅を訪問して床下等を点検し、工事をする必要がないのに、「基礎にひびが入っている。家の重さに耐えられなくなる」などと虚偽の事実を告げ、約5,400人に修繕工事の契約を締結させるなどした。17年11月までに、特定商取引に関する法律違反(不実の告知)、詐欺罪等で逮捕した(警視庁)。

事例3
 教材販売業者役員(34)ら8人は、11年ころから17年8月ころにかけて、主婦等に電話で総合旅行業務取扱管理者の資格取得教材の販売勧誘をする際、「当社の教材を買った人はほとんど合格している。資格を取れば仕事をあっせんする」などと虚偽の事実を告げ、約9,100人に高額の販売契約を締結させるなどした。17年10月、特定商取引に関する法律違反(不実の告知)及び詐欺罪で検挙した(北海道)。

(3)その他の経済事犯
 平成17年中の不動産取引をめぐる事犯の検挙事件数は32事件、検挙人員は57人で、検挙した事件の主な適用法令は、建設業法、宅地建物取引業法であった。
 また、同年中の国際経済事犯の検挙事件数は6事件、検挙人員は9人であった。

 第1節 最近の犯罪情勢とその対策

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