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2 見舞金制度等の導入状況

犯罪被害者等に対しては,犯罪被害給付制度等各種給付制度が存在しているものの,特に支給までの間の経済的負担の軽減の必要性が指摘されている。また,見舞金の給付や緊急に必要な資金の貸付等による地域社会からの支援は,犯罪被害者等の精神的被害軽減にも資することが期待できるといわれている。かかる観点から,地方公共団体における犯罪被害者等に対する給付・貸付制度の導入促進を図っていくことが適当として,第2次基本計画の中にも,施策として盛り込まれているところである(第1-2-(4),施策番号15)。

平成25年4月1日現在で,犯罪被害者等を対象とし得る見舞金の制度を導入しているのは,政令指定都市では2市,普通地方公共団体としては84市町,貸付金の制度を導入しているのは,2県,7市区町である(なお,全国の全市区町村数は1,722。見舞金・貸付金制度導入状態の詳細は,P230資料9-5参照)。昨年度からは,12地方公共団体が新規に制度を導入している。

見舞金制度を導入している地方公共団体のうちには,最も早くには埼玉県蕨市が昭和43年,愛知県犬山市が昭和44年と,基本法制定より大分以前から制度を導入している例も見られるが,いずれの見舞金制度も死傷原因を犯罪被害に特化しているものではなく,同制度未導入の地方公共団体においても参考となると思われる。

見舞金制度は,犯罪被害者等にとれば,支給額を返済する必要がないことから,比較的利用しやすい制度ではないかと推察されるが,全国86制度において,平成25年4月1日現在,実施例の合計は92件であった。制度はありつつ,まだ実施例がない原因としては,まだ,制度導入後間もない,制度の周知が不十分,支給対象となるような重大殺傷事犯が発生していない等が考えられる。

また,貸付金や金融機関への融資あっせん制度などについては,全国で9の制度がある中,実施例は下記の表のように8件にとどまり,うち,5件が神奈川県の制度に集中している。同制度についても,制度導入からの時期や,犯罪発生状況との関連を無視することができないが,そもそも犯罪被害者等にとって借りる実益がある制度となっているか,貸付条件や返済条件について,今後,各地の制度や運用の推移に注目していく必要がある。

制度実績状況
地方公共団体名見舞金の実績貸付金の実績
山形県1件/300,000円
神奈川県5件/2,485,615円
京都市8件/2,400,000円
秋田県能代市1件/300,000円
秋田県横手市1件/300,000円
秋田県大館市1件/100,000円
東京都杉並区1件/100,000円
神奈川県秦野市1件/100,000円
福井県越前市1件/100,000円
愛知県犬山市16件/2,080,000円
山梨県韮崎市1件/100,000円
滋賀県大津市6件/1,000,000円
滋賀県彦根市3件/300,000円
滋賀県長浜市4件/1,200,000円
滋賀県草津市3件/500,000円
京都府福知山市1件/100,000円
京都府舞鶴市1件/100,000円
京都府宇治市3件/300,000円
京都府城陽市2件/200,000円
京都府京丹後市1件/100,000円
大阪府松原市22件/1,100,000円
兵庫県宝塚市3件/300,000円
兵庫県たつの市2件/400,000円
兵庫県明石市4件/400,000円1件/500,000円
兵庫県姫路市6件/800,000円
岡山県総社市1件/100,000円
合計 92件 12,380,000円 8件 3,385,615円
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