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3 居住場所確保等支援状況

犯罪被害者等の中には,自宅が事件現場となったことによって物理的に居住困難な状況になったり,耐え難い精神的な苦痛を受けることで居住ができなくなったり,その他犯罪等による被害に起因する様々な要因により転居を余儀なくされる者が少なくない。そうした犯罪被害者等にとって,再び平穏な生活を営むことができるようになるためには,安定した新たな居住先の確保が必要である。

かかる観点から,第2次基本計画においては,地方公共団体に対する居住場所の確保等に関する啓発・情報提供に関する施策が掲げられており(第1-3-(2)オ,施策番号27),以下の表のように,地方公共団体においても,公営住宅への入居に関して様々な配慮が行われている。

平成25年4月1日現在,公営住宅や借り上げ住宅への入居に関し,犯罪被害者等に特別の配慮をする何らかの制度を設けているのは,50都道府県・政令指定都市,128市区町村に認められる。

この配慮の中身としては,当該被害者等の生活状況等が地方公共団体で定める入居要件を満たす場合の優先入居(抽選倍率の優遇,抽選なしの入居),入居要件の緩和,その他入居要件を満たさない場合でも一時使用を許可するなどであり,これら様々な配慮を複数組み入れた制度設計を行っている例も多い(地方公共団体における制度の詳細については,P236資料9-6参照)。

公営住宅等の入居に際しての配慮の状況
(制度あり/全体数)抽選によらず入居入居要件の緩和抽選倍率の優遇その他
都道府県(39/47)972612
政令指定都市(11/20)4364
市区町村(128/1,722)39403740

なお,特に都市部においては,優遇入居制度はあったとしても,公営住宅の空きがなくて入居をさせることができない,又は空いた状況の公営住宅は,犯罪被害者等にとっても入居することが難しい環境や状態のものである等,需要と供給がかみ合わないこともまま見受けられるようである。このような問題点を回避する上で,近隣市町村や県の住宅状況を問い合わせたり,地元の不動産業界の協力を仰ぎ,民間賃貸住宅へのあっせん・紹介を行ったりする等,できるだけ犯罪被害者等のニーズに応えようとする取組が広がっている。また,県の協定に基づきあっせんした民間賃貸住宅についての仲介手数料を無料とする取組(神奈川県),賃料の一部補助(大阪府摂津市,兵庫県明石市,三木市,篠山市)といった独自の支援制度を設けている例もあり,今後,さらに地域の実情に応じた取組の広がりが期待される。

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