第5章 安全かつ快適な交通の確保 

2 運転者に対する取組

(1)運転者の危険性に応じた行政処分の実施

道路交通法違反を繰り返し犯す運転者や重大な交通事故を起こす運転者を道路交通の場から早期に排除するため、行政処分の厳正かつ迅速な実施に努めている。平成25年12月より、無免許運転に付される基礎点数が19点から25点に引き上げられ、悪質・危険運転者対策が強化されている。

 
図表5-18 運転免許の行政処分件数の推移(平成21~25年)
図表5-18 運転免許の行政処分件数の推移(平成21~25年)
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(2)運転適性相談の充実

警察では、障害者及び一定の症状を呈する病気等にかかっている者が安全に自動車等を運転できるか個別に判断するために運転適性相談窓口を設置している。運転適性相談窓口では、専門知識の豊富な職員を配置するとともに、相談者のプライバシーに特段の配慮をしている。また、患者団体や医師会等との密接な連携を取りながら、必要に応じて相談者に専門医を紹介するなど、運転適性相談の充実を図っている。あわせて、運転免許センターや警察署にポスターを掲示するなどにより、運転適性相談窓口の周知徹底に努めている。

 
運転適性相談を呼び掛けるポスター

運転適性相談を呼び掛けるポスター


(3)運転免許手続等の利便性の向上と国民負担の軽減

警察では、運転免許証の更新に係る利便性の向上と国民の負担の軽減のため、更新免許証の即日交付、日曜日の申請受付、警察署における更新窓口の設置、申請書の写真添付の省略等の施策を推進している。

また、障害者の利便性向上のため、試験場施設の整備・改善、漢字に振り仮名を付けた学科試験の実施や字幕入り講習用ビデオの活用等を推進している。

(4)国際化への対応

外国等の行政庁等の運転免許を有する者については、一定の条件の下に運転免許試験の一部を免除できる制度があり、平成25年中の同制度による運転免許証の交付件数は2万7,730件であった。また、警察では、外国人運転者のための安全教育ビデオを作成し、その活用を図るとともに、地域の実情に応じ、外国人運転者に対する安全教育の充実に努めている。

(5)高齢運転者対策の充実

① 高齢運転者に対する教育

更新期間が満了する日における年齢が70歳以上の者は、運転免許証を更新する際、高齢者講習の受講が義務付けられている。この講習では、安全運転に必要な知識等に関する講義のほか、自動車等の運転指導や、運転適性検査器材(注)による指導等を通じ、受講者に自らの身体的機能の変化を自覚してもらうとともに、その結果に基づいた安全な運転の方法について具体的な指導を行うこととしている。平成25年中は201万2,134人が受講した。

また、更新期間が満了する日における年齢が75歳以上の者は、運転免許証の更新期間が満了する日前6月以内に、講習予備検査(認知機能検査)を受けることが義務付けられている。この検査は、高齢運転者に対して、自己の記憶力・判断力の状況を自覚してもらい、引き続き安全運転を継続することができるよう支援することを目的としており、検査の結果に応じた高齢者講習を受講することとされている。25年中の講習予備検査(認知機能検査)の受検者数は145万1,989人であった。

注:視覚を通じた刺激に対する反応の速度及び正確性を検査する器材、動体視力検査器、夜間視力検査器及び視野検査器

 
運転適性検査器材を用いた高齢者講習

運転適性検査器材を用いた高齢者講習

 
図表5-19 更新時の高齢者講習
図表5-19 更新時の高齢者講習
② 申請による運転免許の取消し(運転免許証の自主返納)

身体機能の低下等を理由に自動車等の運転をやめる際には、運転免許の取消しを申請して運転免許証を返納することができるが、その場合には、返納後5年以内に申請すれば、運転経歴証明書の交付を受けることができる。

 
運転経歴証明書の様式

運転経歴証明書の様式


この運転経歴証明書は、金融機関の窓口等で犯罪収益移転防止法の本人確認書類として使用することができる。

このような運転経歴証明書制度は、運転免許証が果たしていた身分証明書としての機能を代替するものを、都道府県公安委員会が交付することにより、運転に不安を有する高齢者等に対して、自主的な運転免許証の返納を促すためのものである。

警察では、運転経歴証明書制度の充実、周知を図るとともに、運転免許返納者への支援の強化に努めるなど、車等の運転に不安を有する高齢者等が運転免許証を返納しやすい環境の整備に向けた取組を進めている。

 
図表5-20 運転経歴証明書交付件数の推移(平成21年~25年)
図表5-20 運転経歴証明書交付件数の推移(平成21年~25年)
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 第3節 安全運転の確保

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