第5章 安全かつ快適な交通の確保 |
運転者教育の機会は、運転免許を受ける過程及び運転免許を受けた後における各段階に体系的に設けられており、その流れは次のとおりである。
運転免許を受けようとする者は、都道府県公安委員会の行う運転免許試験を受けなければならないが、指定自動車教習所(注1)の卒業者はそのうち技能試験が免除される。
指定自動車教習所は、初心運転者教育の中心的役割を担うことから、警察では教習指導員の資質の向上を図るなどして、指定自動車教習所における教習の充実に努めている。
・指定自動車教習所
全国で1,351か所(平成 25年末現在)
・その卒業者で 25年中に運転免許試験に合格した者の数
160万2,848人(合格者全体の96.9%)
また、運転免許を受けようとする者は、その種類に応じ、安全運転に関する知識や技能等を習得するための講習(取得時講習)を受講することが義務付けられている。ただし、指定自動車教習所又は特定届出自動車教習所(注2)を卒業した者はこれと同内容の教育を受けているため、受講する必要がない。
注1:職員、施設及び運営方法が一定の基準に適合するものとして都道府県公安委員会が指定した自動車教習所
注2:届出自動車教習所のうち、職員、施設、教習方法等が一定の基準に適合するものとして都道府県公
更新時講習は、運転免許証の更新の機会に定期的に講習を行うことにより、安全な運転に必要な知識を補い、運転者の安全意識を高めることを目的としている。この講習は、受講対象者を法令遵守の状況等により優良運転者、一般運転者、違反運転者及び初回更新者に区分して実施している。
道路交通法等に違反する行為をし、累積点数が一定の基準に該当した者や行政処分を受けた者に対しては、その危険性の改善を図るための教育として、初心運転者講習、取消処分者講習、停止処分者講習及び違反者講習を実施している。
特に飲酒運転者対策として、停止処分者講習等において、飲酒運転違反者を集めて行う飲酒学級を設置し、飲酒体験ゴーグル、運転シミュレーター等を活用した酒酔い等の疑似体験、飲酒運転事故の被害者遺族等による講義を実施するなど、教育内容の充実に努めている。さらに、飲酒運転違反者に対する一層効果的な教育を目的とした、AUDIT(注1)、ブリーフ・インターベンション(注2)等の飲酒行動の改善のためのカリキュラムを盛り込んだ新たな取消処分者講習(飲酒取消講習)を、平成 25年4月から全国で実施している。
注1:Alcohol Use Disorders Identification Testの略。世界保健機関(WHO)がスポンサーになり、数か国の研究者によって作成された「アルコール使用障害に関するスクリーニングテスト」で、面接又は質問紙により、その者が危険・有害な飲酒習慣を有するかどうかなどを判別するもの
注2:受講者に、日々の飲酒量等に関し自身が設定した目標の達成状況を一定期間記録させた上で、その記録内容に基づき、受講者ごとに問題飲酒行動及び飲酒運転の抑止のための指導を行うもの
飲酒体験ゴーグルを活用した疑似体験
自動車教習所は、いわゆるペーパードライバー教育を始めとする運転免許取得者に対する交通安全教育も行っており、地域における交通安全教育センターの役割も果たしている。都道府県公安委員会は、認定制度によりこうした教育の水準の向上と普及に努めている。
第3節 安全運転の確保 |
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