第2章 国際社会における日本警察の活動 

 


第2章 国際社会における日本警察の活動

 情報通信技術や輸送技術のめざましい発展は、社会経済の国際化を促進し、ヒト・モノ・カネや情報が国境を越えて移動し、やり取りされる機会を格段に拡大した。これにより、人々の生活には様々な恩恵がもたらされたが、同時に、犯罪活動も容易に国境を越えることが可能になった。すなわち、国際間における犯罪者の移動や禁制品の密輸出入、犯罪収益の隠匿、犯罪組織やテロ組織の連携が容易になるなど、世界の治安情勢は大きく変化し、良好であった日本の治安にも多大な影響を及ぼしている。
 このような情勢の下で、各国の治安機関が国際犯罪に的確に対処するためには、国内の対策を充実させるだけでは十分でなく、他国の治安機関や国際機関といかにして連携を図っていくかが重要な課題となる。そこで、日本警察は、多数国間の国際会議や二国間協議等を通じて、外国の治安機関に対し、日本の犯罪対策への理解や協力を求めるとともに、様々な協力・援助を通じて、相手国の犯罪対処能力の強化と、それによる日本の治安水準の向上に努めてきた。
 本特集では、第1節で、日本が直面する新たな国際犯罪の一端を紹介する。第2節では、これまで日本警察がどのように各国の治安機関と協調し、犯罪の国際化に対処してきたかを述べる。第3節では、日本警察が推進する国際協力のための取組みを概観する。第4節では、これらを踏まえ、日本警察が今後取り組んでいくべき国際的課題を総括する。
 「一国治安主義」は過去のものとなり、日本警察は、相互依存を強める国際社会と歩調を合わせながら、犯罪の国際化への対応を進めている。本特集を通じて、そうした日本警察の活動に、国民の更なる理解と支援が得られることを期待する。

 第2章 国際社会における日本警察の活動

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