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犯罪被害者等施策に関する基礎資料

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5.第4次犯罪被害者等基本計画(令和3年3月30日閣議決定)

V 重点課題に係る具体的施策

第2 精神的・身体的被害の回復・防止への取組

1 保健医療サービス及び福祉サービスの提供(基本法第14条関係)
(1) 「PTSD対策専門研修」の内容の充実等

【施策番号38】

厚生労働省において、医師、保健師、精神保健福祉士等の医療従事者等を対象に、「PTSD(心的外傷後ストレス障害)対策専門研修」を実施する。性犯罪被害者を含む犯罪被害者等への適切な対応・治療を行うために必要な、司法を含めた専門的知識と治療に関する内容の充実を図り、犯罪被害者等の精神的被害や犯罪被害者等施策等に関する知識の普及・啓発を推進する。【厚生労働省】

(2) PTSD等の治療に対応できる医療機関に関する情報提供

【施策番号39】

厚生労働省において、病院等の医療機関の医療機能に関する情報を住民・患者に対して提供する医療機能情報提供制度を運用している。同制度においては、PTSD等の疾病の治療に対応できる医療機関を検索することが可能となっており、引き続き同制度の周知に努める。【厚生労働省】

(3) 医療現場における自立支援医療制度の周知

【施策番号40】

PTSD等の治療に係る自立支援医療(精神通院医療)制度については、厚生労働省において、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部精神・障害保健課長通知(平成28年4月28日障精発0428第1号)により、犯罪被害者等が適切に同制度を利用できるよう、既に都道府県・指定都市等に周知依頼を行っているところであるが、再度周知徹底を依頼するなど、引き続き周知する。【厚生労働省】

(4) 犯罪被害者等への適切な対応に資する医学教育の推進

【施策番号41】

文部科学省において、医学部関係者が参加する各種会議での要請や「医学教育モデル・コア・カリキュラム」*1等を通じて、医学部においてPTSD等の精神的被害に関する知識・診断技能及び犯罪被害者等への理解を深めるための教育を推進する。また、厚生労働省において、臨床研修の到達目標等を通じて、精神疾患への初期対応と治療の実情に関する医学部卒業生の理解促進を図る。【文部科学省、厚生労働省】

(5) 犯罪被害者等支援業務に関する精神保健福祉センターの職員の理解促進

【施策番号42】

精神保健福祉センターにおいて犯罪被害者等に対する心の健康回復のための支援が適切に行われるよう、厚生労働省において、同センターの職員が犯罪被害者等支援に関する研修を受講するよう促すなどして、犯罪被害者等支援業務に関する同センターの職員の理解促進を図る。【厚生労働省】

(6) 地域格差のない迅速かつ適切な救急医療の提供

【施策番号43】

厚生労働省において、地域の格差なく迅速かつ適切な救急医療が提供されるよう、初期救急、二次救急及び三次救急の救急医療体制の整備を図るとともに、総務省と連携し、メディカルコントロール体制*2の充実強化を図る。【厚生労働省】

(7) 救急医療における精神的ケアのための体制の確保

【施策番号44】

厚生労働省において、救急医療における犯罪被害者等の精神的ケアに対応するため、救急医療体制における精神科医との連携体制の確保を図る。【厚生労働省】

(8) 自動車事故による重度後遺障害者に対する医療の充実等

【施策番号45】

国土交通省及び独立行政法人自動車事故対策機構において、自動車事故による重度後遺障害者が質の高い治療・看護・リハビリテーションを受けられる機会の充実等を図るため、療護施設の充実やリハビリテーションの機会の確保に向けた取組を推進する。また、自動車事故による重度後遺障害者に対する介護料の支給等を推進するとともに、相談・情報提供等の介護料受給者への支援の充実・強化を図るほか、在宅で療養生活を送る自動車事故による後遺障害者の介護が様々な理由により困難となる場合に備えた環境整備を推進する。【国土交通省】

(9) 高次脳機能障害者への支援の充実

【施策番号46】

厚生労働省において、令和2年度から厚生労働科学研究費補助金で実施している「高次脳機能障害の診断方法と診断基準に資する研究」等を踏まえ、引き続き、患者・家族からの相談への対応や高次脳機能障害者への支援の普及啓発等を行う「高次脳機能障害支援普及事業」の実施を支援する。【厚生労働省】

(10) 子供の被害者等に対応できる思春期精神保健の専門家の養成

【施策番号47】

厚生労働省において、医師、看護師、保健師、精神保健福祉士、公認心理師、臨床心理士、児童相談員等を対象に、家庭内暴力や児童虐待等の児童思春期における様々な精神保健に関する問題への対応を習得するための「思春期精神保健研修」を実施する。【厚生労働省】

(11) 被害少年等のための治療等の専門家の養成、体制整備及び施設の増強に資する施策の実施

【施策番号48】

厚生労働省において、虐待を受けた子供の児童養護施設等への入所が増加していることを受け、平成23年度には児童養護施設等に心理療法担当職員及び個別対応職員の配置を義務化しており、引き続き適切な援助体制を確保する。具体的には、児童虐待が発生した場合の子供の安全を確保するための初期対応が迅速・確実に行われるよう、「児童虐待防止対策体制総合強化プラン」(平成30年12月18日児童虐待防止対策に関する関係府省庁連絡会議決定)や令和元年6月に成立した児童虐待防止対策の強化を図るための児童福祉法等の一部を改正する法律(令和元年法律第46号)による改正後の児童福祉法(昭和22年法律第164号)等に基づき、児童福祉司(指導及び教育を行う児童福祉司スーパーバイザーを含む。)、児童心理司、保健師、弁護士、医師等の配置を支援する。【厚生労働省】

(12) 里親制度の充実

【施策番号49】

厚生労働省において、被害少年等の保護に資するよう、里親支援機関事業による里親の支援等により、里親制度の充実を図る。【厚生労働省】

(13) 児童虐待への夜間・休日対応の充実等

【施策番号50】

ア 厚生労働省において、児童相談所が夜間・休日を含めいつでも虐待通告等の緊急の相談に対応できるよう、その体制整備に努める。【厚生労働省】

【施策番号51】

イ 厚生労働省において、虐待を受けた児童に対する医療ケアの重要性に鑑み、地域の医療機関との連携・協力体制の充実に努める。【厚生労働省】

(14) 被害少年等の保護に関する学校及び児童相談所等の連携の充実

【施策番号52】

文部科学省及び厚生労働省において、被害少年等の保護に関し、要保護児童対策地域協議会を活用するなど、学校と児童相談所等の被害少年等の保護に資する関係機関との連携の充実を図る。【文部科学省、厚生労働省】

(15) 被害少年等に対する学校における教育相談体制の充実等

【施策番号53】

ア 文部科学省において、被害少年等を含む児童生徒の相談等に適切に対応できるよう、現在の配置状況も踏まえ、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置時間の充実等、学校における専門スタッフとしてふさわしい配置条件の実現を目指すとともに、勤務体制や環境等の工夫等、学校においてスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーを機能させるための取組や、犯罪等の被害に関する研修等を通じた資質の向上を図ることにより、学校における教育相談体制の充実を図る。【文部科学省】

【施策番号54】

イ 文部科学省において、被害少年等である児童生徒に対する心理的ケアについても、大学の教職課程におけるカウンセリングに関する教育及び教職員に対するカウンセリングに関する研修内容に含めるなど、その内容の充実を図るよう促す。 【文部科学省】

(16) 被害少年の精神的被害を回復するための継続的支援の推進

【施策番号55】

警察において、被害少年の精神的被害を回復するため、保護者の同意を得た上で、カウンセリングの実施、関係機関又は犯罪被害者等早期援助団体をはじめとする民間被害者支援団体への紹介等の支援を継続的に推進する。【警察庁】

(17) 警察における性犯罪被害者に対するカウンセリングの充実

【施策番号56】

警察庁において、性犯罪被害者の精神的被害の回復に資するため、公認心理師、臨床心理士等の資格を有する部内カウンセラーが効果的に活用され、警察によるカウンセリング費用の公費負担制度が効果的に運用されるよう、都道府県警察を指導するとともに、都道府県警察における部内カウンセラーの配置状況や同制度の措置状況を毎年公表する。【警察庁】

(18) 性犯罪被害者等に対する緊急避妊に関する情報提供

【施策番号57】

厚生労働省において、性犯罪被害者を含め、緊急避妊を必要とする者がその方法等に関する情報を得られるよう、保健所や女性健康支援センター等による情報提供を行う。【厚生労働省】(再掲:第4-1(177)

(19) 性犯罪被害者への対応における看護師等の活用

【施策番号58】

厚生労働省において、内閣府、警察庁及び文部科学省の協力を得て、医療機関に対し、性犯罪被害者への対応に関する専門的知識・技能を備えた看護師、助産師等の活用について啓発を推進する。【厚生労働省】(再掲:第4-1(178)

(20) ワンストップ支援センターの体制強化

ワンストップ支援センターの体制を強化するため、次の施策を推進する。

【施策番号59】

ア 内閣府において、関係省庁と連携し、ワンストップ支援センターについて、24時間365日対応化や拠点となる病院の整備促進、コーディネーターの配置・常勤化等の地域連携体制の確立、専門性を高めるなどの人材の育成や運営体制確保、支援員の適切な処遇等、運営の安定化及び質の向上を図る。また、全国共通短縮番号「♯8891(はやくワンストップ)」を周知するとともに、夜間・休日においても相談を受け付けるコールセンターの設置及び地域での緊急事案への対応体制の整備、各都道府県の実情に応じた被害者支援センターの増設等、相談につながりやすい体制整備を図る。さらに、全国共通短縮番号について、運用の在り方を検討する。【内閣府】(再掲:第4-1(172)

【施策番号60】

イ 警察庁において、地方公共団体における犯罪被害者等施策の担当部局に対し、ワンストップ支援センターに関する情報提供等を行うほか、内閣府及び厚生労働省と連携し、地域における性犯罪・性暴力被害者支援の充実のため、ワンストップ支援センターにおける取組事例を含めた資料の提供に努める。【警察庁】(再掲:第4-1(173)

【施策番号61】

ウ 厚生労働省において、都道府県等の協力を得て、犯罪被害者支援団体、医師をはじめとする医療関係者等から、ワンストップ支援センターの開設に向けた相談があった場合には、協力が可能な医療機関の情報を収集し、当該犯罪被害者支援団体等に提供する。【厚生労働省】(再掲:第4-1(174)

【施策番号62】

エ 厚生労働省において、医療機能情報提供制度の充実を図るとともに、同制度によりワンストップ支援センターを施設内に設置している医療機関を検索することができる旨を周知する。【厚生労働省】(再掲:第4-1(175)

【施策番号63】

オ 前記施策のほか、関係府省庁において、障害者や男性等を含む様々な性犯罪・性暴力被害者への適切な対応や支援を行うことができるよう、性犯罪・性暴力被害者の支援体制の充実のための施策を検討する。【内閣府、警察庁、厚生労働省】(再掲:第4-1(176)

(21) 犯罪被害者等に関する専門的な知識・技能を有する専門職の養成等

【施策番号64】

ア 警察庁において、公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会及び一般社団法人日本臨床心理士会に働き掛け、犯罪被害者等に関する専門的な知識・技能を有する臨床心理士の養成及び研修の実施を促進する。【警察庁】

【施策番号65】

イ 警察庁及び厚生労働省が連携し、公益社団法人日本社会福祉士会、公益社団法人日本精神保健福祉士協会及び公益社団法人日本看護協会に働き掛け、犯罪被害者等に関する専門的な知識・技能を有する社会福祉士、精神保健福祉士及び看護師の養成及び研修の実施を促進する。【警察庁、厚生労働省】

【施策番号66】

ウ 警察庁、文部科学省及び厚生労働省が連携し、一般社団法人日本公認心理師協会及び一般社団法人公認心理師の会に働き掛け、犯罪被害者等に関する専門的な知識・技能を有する公認心理師の養成及び研修の実施を促進する。【警察庁、文部科学省、厚生労働省】

【施策番号67】

エ 前記施策のほか、警察庁において、関係府省庁と連携し、関係機関・団体における犯罪被害者等に関する専門的な知識・技能を有する専門職の養成及び研修の実施に必要な協力を行う。【警察庁】

(22) 法科大学院における教育による犯罪被害者等への理解の向上の促進

【施策番号68】

文部科学省において、各法科大学院が、自らの教育理念に基づき多様で特色のある教育を展開する中で、犯罪被害者等に対する理解の向上を含め、真に国民の期待と信頼に応え得る法曹の養成に努めるよう促す。【文部科学省】

(23) 犯罪被害者等に対する医療機関の医療機能に関する情報の提供

【施策番号69】

厚生労働省において、犯罪被害者等が利用しやすいよう、医療機関の医療機能に関する情報をウェブサイト上で提供するとともに、関係機関において当該情報を共有し、適時適切に犯罪被害者等に提供する。【厚生労働省】

(24) 犯罪被害者等の受診情報等の適正な取扱い

【施策番号70】

ア 厚生労働省において、犯罪被害者等の受診情報が医療機関や保険者から流出することのないよう、個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)に基づき、医療機関や保険者に適切に対応する。また、「診療情報の提供等に関する指針」(平成15年9月12日付け厚生労働省医政局長通知)に基づき、引き続き医療機関等に適切な対応を求める。さらに、医療安全支援センターにおいて、個人情報の取扱いを含めた医療に関する苦情・相談のあった医療機関の管理者に対し、必要に応じて助言を行う。【厚生労働省】

【施策番号71】

イ 金融庁において、犯罪被害者等の保健医療に関する情報をはじめとする個人情報の取扱いに関し、損害保険会社に問題があると認められる場合には、保険業法(平成7年法律第105号)に基づき、当該保険会社に対する検査・監督において適切に対応する。【金融庁】

2 安全の確保(基本法第15条関係)
(1) 判決確定、保護処分決定後の加害者に関する情報の犯罪被害者等への提供の適正な運用及び拡充の検討

【施策番号72】

法務省において、加害者の処遇状況等に関する事項の情報提供について、被害者等通知制度を引き続き適切に運用するとともに、犯罪被害者等への情報提供の在り方について、同制度の運用状況や加害者の改善更生への影響、個人のプライバシーの問題等を総合的に考慮しつつ検討を行い、3年以内を目途に結論を出し、必要な施策を実施する。【法務省】

(2) 医療観察制度における加害者の処遇段階等に関する情報提供の適正な運用

【施策番号73】

法務省において、医療観察制度における犯罪被害者等に対する加害者の処遇段階等に関する情報提供制度に基づき、医療観察制度における加害者の処遇段階等に関する犯罪被害者等の要望に応じた情報提供について、一層円滑かつ適正な運用に努める。また、犯罪被害者等への情報提供の在り方について、情報提供制度の運用状況、医療観察制度の対象となる加害者の社会復帰の促進や個人情報の保護等を総合的に考慮しつつ検討を行う。【法務省】

(3) 更生保護における犯罪被害者等施策の周知

【施策番号74】

法務省において、心情等伝達制度等を利用した犯罪被害者等の体験談等を法務省ウェブサイトに掲載するなどして、更生保護における犯罪被害者等施策の広報や関係機関・団体等に対する周知に努める。【法務省】

(4) 被害者等通知制度の周知

【施策番号75】

検察庁において、検察官等が犯罪被害者等の事情聴取等を行ったときは、被害者等通知制度に基づく通知の希望の有無を確認するとともに、パンフレット「犯罪被害者の方々へ」を配布するなどして、同制度の周知に努める。また、法務省において、少年審判後の同制度に関するリーフレットを関係機関に配布するなどして、同制度の周知に努める。【法務省】

(5) 加害者に関する情報提供の適正な運用

【施策番号76】

法務省において、再被害防止のため、警察の要請に応じ、刑事施設、地方更生保護委員会及び保護観察所が警察に対して行う受刑者の釈放予定、帰住予定地、仮釈放中の特異動向等の情報提供や、再度の加害行為のおそれを覚知した検察官、刑事施設、地方更生保護委員会及び保護観察所による警察への連絡について、関係者への周知徹底を図り、引き続き、円滑かつ適正な運用に努める。【警察庁、法務省】

(6) 警察における再被害防止措置の推進

【施策番号77】

ア 警察において、13歳未満の子供を被害者とした強制わいせつ等の暴力的性犯罪で服役して出所した者の再犯防止を図るため、法務省から情報提供を受け、定期的な所在確認を実施する。また、必要に応じて当該出所者の同意を得て面談を行うとともに、関係機関・団体との連携強化に努める。【警察庁】

【施策番号78】

イ 警察において、同一の加害者により再び危害を加えられるおそれのある犯罪被害者等を再被害防止対象者として指定するとともに、当該加害者を収容している刑事施設等と緊密に連携し、防犯指導・警戒等の再被害防止措置を推進する。また、関係機関と連携し、犯罪被害者等の個人情報の保護に配慮した上で、事案に応じた柔軟な対応に努める。【警察庁】

(7) 警察における保護対策の推進

【施策番号79】

警察において、暴力団等による危害を未然に防止するため、暴力団等から危害を受けるおそれのある者を保護対象者として指定し、危害を受けるおそれの程度に応じ、その危害を防止するための必要な措置を講ずるなど、警察組織の総合力を発揮した保護対策を推進する。【警察庁】

(8) 保釈に関する犯罪被害者等に対する安全への配慮の充実

【施策番号80】

加害者の保釈申請がなされた場合には、法務省において、事案に応じ、改めて犯罪被害者等に連絡して事情聴取を行うなどして、裁判所に提出する検察官意見に犯罪被害者等の意見を適切に反映させるとともに、保釈申請の結果を犯罪被害者等に連絡するなど、犯罪被害者等の安全確保に一層配慮するよう努める。【法務省】(再掲:第3-1(134)

(9) 再被害の防止に向けた関係機関の連携の強化

【施策番号81】

ア 警察庁及び厚生労働省において、配偶者等からの暴力事案の被害者、人身取引(性的サービスや労働の強要等)事犯の被害者、児童虐待の被害児童等の保護に関する警察、婦人相談所、児童相談所等の連携について、犯罪被害者等の意見・要望を踏まえ、一層の強化を図る。【警察庁、厚生労働省】

【施策番号82】

イ 警察庁及び文部科学省において、警察と学校等関係機関の通報連絡体制や要保護児童対策地域協議会の活用、加害少年やその保護者に対する指導等の一層の充実を図り、再被害の防止に努める。【警察庁、文部科学省】

(10) 犯罪被害者等に関する情報の保護

【施策番号83】

ア 法務省において、証拠開示の際に証人等の住居等が関係者に知られることのないように求める制度や、性犯罪等の事件の公開の法廷では氏名、住所その他被害者の特定につながる事項を明らかにしない制度について周知徹底を図るとともに、訴訟関係者への注意喚起を含め、これらの制度の一層適正な運用に努めるよう、検察官等の意識の向上を図る。また、証人への付添い、遮へい等の犯罪被害者等の保護のための措置について周知徹底を図り、一層適正な運用に努める。さらに、更生保護官署においても、保管する犯罪被害者等の個人情報を適切に管理するよう周知徹底を図る。【法務省】

【施策番号84】

イ 法務省において、検察官が、ストーカー事案について、所要の捜査を遂げた上、事案に応じた適切な処分を行うとともに、捜査・公判の各段階において、犯罪被害者等に関する情報の保護に配慮するなど、適切な対応に努める。【法務省】

【施策番号85】

ウ 日本司法支援センターにおいて、常勤弁護士を含む職員に対し、犯罪被害者等の個人情報の取扱いに十分留意するよう指導を行う。【法務省】

【施策番号86】

エ 総務省において、引き続き、市区町村における「ドメスティック・バイオレンス、ストーカー行為等、児童虐待及びこれらに準ずる行為の被害者の保護のための住民基本台帳事務における支援措置」制度及び「ドメスティック・バイオレンス及びストーカー行為等の被害者に係る選挙人名簿の抄本の閲覧に関する厳格な取扱いについて」(平成29年9月29日付け総務省自治行政局選挙部選挙課長通知)について、厳格な運用により犯罪被害者等に係る情報の保護の徹底がなされるよう、必要に応じて手続を周知する。【総務省】

【施策番号87】

オ 法務省において、引き続き、市区町村における「DV被害者等の住所等の記載がある届書等に関する戸籍法第48条第2項に基づく届書等の記載事項証明書等の取扱いについて」(平成24年3月23日付け法務省民事局民事第一課補佐官(戸籍担当)事務連絡)に基づく手続、法務局における「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律第1条第2項に規定する被害者が登記義務者又は登記権利者とならないが、添付情報に当該被害者の現住所が記載されている場合における閲覧の方法について」(平成27年3月31日付け法務省民事局民事第二課長通知)等に基づく取組及び「DV被害者から供託物払渡請求書の住所等の秘匿に係る申出があった場合における措置について」(平成25年9月20日付け法務省民事局商事課長通知)に基づく手続を周知するとともに、厳格な運用により犯罪被害者等に係る情報の管理の徹底を図る。【法務省】

【施策番号88】

カ 国土交通省において、引き続き、運輸支局等における登録自動車の「登録事項等証明書の交付請求に係る配偶者からの暴力、ストーカー行為等、児童虐待及びこれらに準ずる行為の被害者の保護のための取扱いについて」(平成26年7月11日付け国土交通省自動車局自動車情報課長通知)や、軽自動車検査協会における「検査記録事項等証明書交付請求に係る配偶者からの暴力、ストーカー行為等、児童虐待及びこれらに準ずる行為の被害者の保護のための取扱いについて」(平成27年1月26日付け国土交通省自動車局整備課長通知)に基づく手続を周知するとともに、厳格な運用により犯罪被害者等に係る情報の管理の徹底を図る。【国土交通省】

【施策番号89】

キ 警察による被害者の実名発表・匿名発表については、犯罪被害者等の匿名発表を望む意見と、マスコミによる報道の自由、国民の知る権利を理由とする実名発表に対する要望を踏まえ、プライバシーの保護、発表することの公益性等の事情を総合的に勘案しつつ、個別具体的な案件ごとに適切な発表内容となるよう配慮する。【警察庁】(再掲:第5-1(274)

(11) 一時保護場所の環境改善等

【施策番号90】

厚生労働省において、児童相談所及び婦人相談所による一時保護や婦人保護施設及び民間シェルター等への一時保護委託の適正な運用に努める。【厚生労働省】(再掲:第1-3(25)

(12) 被害直後及び中期的な居住場所の確保

【施策番号91】

厚生労働省において、「児童虐待防止対策の抜本的強化について」等に基づき、児童相談所の一時保護所において個別対応ができる職員体制の強化や環境整備を推進する。【厚生労働省】(再掲:第1-3(26)

(13) 児童虐待の防止及び早期発見・早期対応のための体制整備等

【施策番号92】

ア 内閣府及び厚生労働省において、配偶者等からの暴力事案がその子供にも悪影響を及ぼすことに鑑み、子供に対する精神的ケア等の支援の充実を図るとともに、配偶者暴力相談支援センター等の配偶者等からの暴力事案への対応機関と児童相談所等の児童虐待への対応機関との連携・協力を推進する。【内閣府、厚生労働省】

【施策番号93】

イ 警察において、児童虐待の早期発見等に資する教育訓練を徹底し、児童虐待に関する職員の専門的知識・技能の向上に努めるとともに、都道府県警察本部に、児童相談所等の関係機関との連携や児童虐待への専門的な対応に関する警察職員に対する指導等の業務を担う「児童虐待対策官」を設置するなど、児童虐待への対応の強化を図る。【警察庁】

【施策番号94】

ウ 法務省において、法的問題の解決が必要な児童虐待及び児童虐待を伴う配偶者等からの暴力事案について、日本司法支援センターの法律相談援助等の利用を促進する。【法務省】

【施策番号95】

エ 文部科学省において、学校教育関係者等の職務上虐待を受けている子供を発見しやすい立場にある者が児童虐待に適切に対応できるよう、学校・教育委員会等に対し、早期発見・早期対応のための体制整備や的確な対応を促す。具体的には、教職員が児童相談所等への通告義務を負うことの周知徹底を図るとともに、教育機関等から福祉部門への定期的な情報提供、教師用研修教材の活用や児童相談所職員との合同研修への参加等を促す。【文部科学省】

【施策番号96】

オ 文部科学省において、地域における児童虐待の未然防止等に資するよう、子育ての悩みや不安を抱えながらも、自ら学びや相談の場等にアクセスすることが困難な家庭等に配慮しつつ、地域の多様な人材を活用した家庭教育支援チーム等による保護者に対する学習機会や情報の提供、相談対応等、地域の実情に応じた家庭教育支援の取組を推進する。【文部科学省】

【施策番号97】

カ 厚生労働省において、児童虐待の未然防止及び早期発見・早期対応に資するよう、児童相談所・市区町村の体制の強化、児童相談所を中心とした様々な関係機関の連携及び体罰等によらない子育てを推進するとともに、全国の好事例を収集し、周知徹底を図る。【厚生労働省】

【施策番号98】

キ 厚生労働省において、「児童虐待防止対策の抜本的強化について」に基づき、配偶者等からの暴力事案の被害者等に同伴する児童に対する支援の充実を図るため、婦人相談所に児童相談所等の関係機関と連携するコーディネーターを配置する。また、婦人相談所の一時保護所及び婦人保護施設に学習指導員を配置するなど、当該同伴児童が適切に教育を受けることができる体制を整備する。さらに、当該同伴児童を適切な環境で保護できるようにするため、心理的ケアや個別対応を含めた体制整備を促進する。【厚生労働省】

(14) 児童虐待防止のための児童の死亡事例等の検証の実施

【施策番号99】

厚生労働省において、児童虐待防止のため、社会保障審議会児童部会の下に設置された「児童虐待等要保護事例の検証に関する専門委員会」の下で児童の死亡事例等の検証を実施する。【厚生労働省】

(15) 再被害の防止に資する教育の実施等

【施策番号100】

ア 内閣府において、配偶者等からの暴力事案の被害者に対する支援の一環として、加害者の暴力を抑止するための地域社会内でのプログラムについて、試行実施を進めるとともに、地方公共団体において民間の団体と連携してプログラムを実施するためのガイドラインを策定するなど、本格実施に向けた検討を行う。【内閣府】

【施策番号101】

イ 法務省において、矯正施設の被収容者を対象に実施している「被害者の視点を取り入れた教育」について、犯罪被害者等や犯罪被害者支援団体の意向等に配慮し、犯罪被害者等の心情等への理解を深めさせ、謝罪や被害弁償等の具体的な行動を促すための指導を含めた改善指導・矯正教育等の一層の充実に努めるとともに、指導効果の検証について、その在り方も含め検討を行う。また、家庭裁判所、検察庁等から矯正施設に送付される資料の中に犯罪被害者等の心情等が記載されている場合には、同資料を被収容者に対する指導に有効活用するよう努める。【法務省】(再掲:第3-1(154)

(16) 再被害の防止に資する適切な加害者処遇

【施策番号102】

ア 地方更生保護委員会又は保護観察所において、事案に応じ、犯罪被害者等の安全確保に必要な仮釈放者及び保護観察付執行猶予者の特別遵守事項の適切な設定に努めるとともに、保護観察所において、当該事項を遵守させるための加害者に対する指導監督を徹底する。【法務省】

【施策番号103】

イ ストーカー事案や配偶者等からの暴力事案等の加害者として刑事施設に収容され仮釈放された者及び保護観察付執行猶予となった者については、犯罪被害者等との接触の禁止等の特別遵守事項を適切に設定することや、その遵守状況を的確に把握し、指導監督することが必要であることから、保護観察所及び警察が緊密かつ継続的に連携し、当該者の特異動向等を双方で迅速に把握して、必要な措置を講ずる。【警察庁、法務省】

【施策番号104】

ウ 法務省において、犯罪被害者等の意向等に配慮し、謝罪及び被害弁償に向けた保護観察処遇における効果的なしょく罪指導を徹底する。【法務省】

(17) 再被害防止のための安全確保方策の検討

【施策番号105】

内閣府、警察庁及び法務省が連携し、ストーカー事案や配偶者等からの暴力事案をはじめ、犯罪被害者等が同一の加害者から再被害を受けている実態やそのおそれ等を把握した上で、他の関係省庁の協力も得て、犯罪被害者等の安全確保方策について検討する。【内閣府、警察庁、法務省】

3 保護、捜査、公判等の過程における配慮等(基本法第19条関係)
(1) 職員等に対する研修の充実等

【施策番号106】

ア 内閣府において、ワンストップ支援センターの相談員、行政職員及び医療関係者に対する研修を引き続き実施するとともに、センター長やコーディネーターに対する研修の令和3年度からの実施を検討する。また、支援に関する基礎知識をオンラインで学ぶことができるよう、オンライン研修教材の開発・提供を進める。【内閣府】

【施策番号107】

イ 警察において、犯罪被害者等への適切な対応を確実に行うため、採用時及び上位の階級又は職に昇任した際に行われる教育、専門的知識を必要とする職務に従事する実務担当者に対する教育、犯罪被害者、遺族等による講演、警察本部の犯罪被害者支援担当課による各警察署に対する巡回教育、犯罪被害者等支援の体験記の配布、犯罪被害者等早期援助団体をはじめとする民間被害者支援団体等との連携要領についての教育、性犯罪被害者への支援要領についての教育等の充実を図り、職員の対応の改善を進めるとともに、二次的被害の防止に努める。【警察庁】

【施策番号108】

ウ 警察において、配偶者等からの暴力事案に的確に対処することができるよう、同事案に対処する警察官に対して必要な教育を行う。【警察庁】

【施策番号109】

エ 警察において、被害児童の聴取に関する警察官の技能の一層の向上を図るため、事情聴取場面を設定したロールプレイング方式の実践的な研修を導入するなど、被害児童の負担軽減に配意しつつ信用性の高い供述を確保するための聴取方法に関する効果的な研修の実施に努める。【警察庁】

【施策番号110】

オ 警察において、性犯罪被害者の心情に配慮した捜査及び支援を推進するため、性犯罪の捜査及び支援に従事する警察官等を対象に、専門的知見を有する講師を招いて講義を行うなど、男性や性的マイノリティが被害を受けた場合の対応を含め、警察学校等における研修を実施する。【警察庁】

【施策番号111】

カ 警察において、障害者の特性を踏まえた捜査及び支援を推進するため、捜査及び支援に従事する警察官等を対象に、専門的知見を有する講師を招いて講義を行うなど、警察学校等における研修を実施する。【警察庁】

【施策番号112】

キ 法務省において、二次的被害の防止の重要性も踏まえ、検察官及び検察事務官に対する各種研修の機会における「犯罪被害者支援」等のテーマによる講義の実施、犯罪被害者等早期援助団体への検察官の派遣、矯正施設職員に対する犯罪被害者団体等の関係者を招いた講義等の実施、更生保護官署職員に対する犯罪被害者等支援の実務家による講義等の実施、全国の地方検察庁に配置されている被害者支援員を対象とした研修における犯罪被害者等に関する諸問題についての講義等の実施等、職員の犯罪被害者等への適切な対応を確実にするための教育・研修等の充実を図り、職員の対応の向上に努める。【法務省】(再掲:第4-2(235)

【施策番号113】

ク 法務省において、検察幹部が犯罪被害者等の心情等への理解を深めることに資するセミナーを実施するとともに、積極的に検察官に市民感覚を学ばせつつ、幅広い視野、見識等をかん養させることを目的として、公益的活動を行う民間の団体や民間企業に一定期間派遣する研修を実施するなどして、職員の対応の向上に努める。【法務省】

【施策番号114】

ケ 法務省において、検察官に対する研修の中で、児童や女性の犯罪被害者等と接する上での留意点等を熟知した専門家等による講義を行い、児童及び女性に対する配慮に関する科目の内容の一層の充実を図る。【法務省】(再掲:第3-1(149)第4-2(236)

【施策番号115】

コ 法務省において、副検事に対する研修の中で、交通事件の留意点等を熟知した専門家等による講義を行うとともに、犯罪被害者等の立場等への理解を深めるための機会を設けるなど、交通事件に関する科目の内容の一層の充実を図る。【法務省】(再掲:第3-1(148)

【施策番号116】

サ 法務省において、犯罪被害者等からの事情聴取に当たり、可能な限り、そのプライバシー、名誉、心身の状況、社会的立場等に十分配慮するよう、検察官等の意識の向上を図る。【法務省】

【施策番号117】

シ 日本司法支援センターにおける犯罪被害者等支援の窓口となる犯罪被害者等への情報提供を担当する職員及び常勤弁護士に対し、犯罪被害者等の実情に配慮した二次的被害防止のための方策等に関する研修を実施する。【法務省】

【施策番号118】

ス 厚生労働省において、民生委員・児童委員が、犯罪被害者等を含め、地域住民に対する適切な相談支援を行うことができるよう、その資質の向上のための研修の実施を支援する。【厚生労働省】

【施策番号119】

セ 厚生労働省において、公的シェルターにおける犯罪被害者等への適切な対応を確実にするための研修及び啓発の充実を図る。また、婦人保護施設における性犯罪被害者支援の現状についての実態を把握しつつ、全国婦人保護施設長等研究協議会や全国婦人保護施設等指導員研究協議会の場を活用して職員の専門的な資質の向上を図るとともに、都道府県が実施する婦人相談所や婦人保護施設の職員、婦人相談員等を対象とした研修を促進する。【厚生労働省】

(2) 女性警察官の配置等

【施策番号120】

警察において、警察本部や警察署の性犯罪捜査を担当する係への女性警察官の配置及び職員の実務能力の向上、事情聴取時における相談室や被害者支援用車両の活用並びに産婦人科医会や犯罪被害者等早期援助団体をはじめとする民間被害者支援団体、ワンストップ支援センター等とのネットワークの構築による連携強化等に努め、性犯罪被害者の心情に配慮した対応を図る。【警察庁】

(3) 被害児童からの事情聴取における配慮

【施策番号121】

警察庁、法務省及び厚生労働省において、警察、検察庁、児童相談所等の関係機関が被害児童からの事情聴取に先立って協議を行い、関係機関の代表者が聴取を行う取組を実施するほか、被害児童からの事情聴取に際しては、場所・回数・方法等に配慮するなどの取組を進める。【警察庁、法務省、厚生労働省】

(4) ビデオリンク等の措置の適正な運用

【施策番号122】

法務省において、ビデオリンク等の犯罪被害者等の保護のための措置について周知徹底を図り、一層適正に運用されるよう努める。【法務省】

(5) 警察における犯罪被害者等のための施設等の改善

【施策番号123】

警察において、被害者用事情聴取室や被害者支援用車両の活用を図るとともに、これらの施設等の改善に努める。【警察庁】

(6) 検察庁における犯罪被害者等のための待合室の設置

【施策番号124】

法務省において、庁舎の建て替えを予定している検察庁については、建て替え時に被害者専用待合室を設置し、それ以外の検察庁については、スペースの有無、設置場所等を勘案しつつ、被害者専用待合室の設置について検討を行う。【法務省】


*1 各大学のカリキュラム改革に資するよう、平成13年3月に文部科学省の「医学・歯学教育の在り方に関する調査研究協力者会議」において、全ての医学生が卒業までに最低限習得すべき教育内容をガイドラインとして示したもの。
*2 救急現場から医療機関に搬送されるまでの間において救急救命士等が行う救急医療活動について、医師による指示・指導・助言、事後検証等を行い、その質を保障する体制。

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