犯罪被害者等施策に関する基礎資料

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5.第4次犯罪被害者等基本計画(令和3年3月30日閣議決定)

はじめに

平成16年12月に犯罪被害者等基本法(平成16年法律第161号。以下「基本法」という。)が制定され、我が国は、犯罪被害者等の視点に立った施策を講じ、その権利利益の保護が図られる社会の実現に向けた新たな一歩を踏み出した。

基本法に基づき、「犯罪被害者等基本計画」(平成17年12月27日閣議決定。以下「第1次基本計画」という。)、「第2次犯罪被害者等基本計画」(平成23年3月25日閣議決定。以下「第2次基本計画」という。)及び「第3次犯罪被害者等基本計画」(平成28年4月1日閣議決定。以下「第3次基本計画」という。)がそれぞれ策定され、これらの計画の下で、犯罪被害者等のための施策は大きく進展した。

例えば、第1次基本計画及び第2次基本計画の下で、犯罪被害給付制度の拡充、損害賠償命令制度の創設、被害者参加制度の創設・拡充等が図られた。また、第3次基本計画の下で、重傷病給付金の給付期間の延長、仮給付金の額の制限の見直し、幼い遺児がいる場合における遺族給付金の額の引上げ及び親族間犯罪における減額・不支給事由の見直しを内容とする犯罪被害給付制度の一層の拡充が行われたほか、平成30年7月までに、カウンセリング費用の公費負担制度が全国で整備された。さらに、同年10月までに、性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター(被害直後からの医療的支援、法的支援、相談を通じた心理的支援等を総合的に行うために設置された組織。以下単に「ワンストップ支援センター」という。)が全ての都道府県に設置された。加えて、平成31年4月までに、犯罪被害者等に適切な情報提供等を行う総合的対応窓口が全ての地方公共団体に設置された。

しかしながら、犯罪被害者等は今もなお多くの問題を抱えており、犯罪被害者等やその援助を行う民間の団体等からは、犯罪被害者等に対する中長期的な支援の充実をはじめ、依然として多岐にわたる意見・要望が寄せられている。

また、性犯罪・性暴力、児童虐待等が深刻な社会問題となる中、自ら被害を訴えることが困難で、支援の手が十分に行き届いていない犯罪被害者等の声なき声にも耳を傾けなければならない。

さらに、被害の形態、犯罪被害者等の属性、犯罪被害者等が直面している困難な状況等も多岐にわたるため、犯罪被害者等の個々の事情に一層配慮した支援が求められている。

犯罪被害者等が一日も早く被害から回復し、社会の中で再び平穏な生活を営むことができるようにするためには、犯罪被害者等一人一人に寄り添ったきめ細かな充実した支援が必要であり、国、地方公共団体及びその他の関係機関並びに民間の団体等が緊密に連携・協力し、取組の一層の強化を図っていかなければならない。

そして、このような取組をより実効的に行うためには、犯罪被害者等に対する国民各層の理解・関心を深め、犯罪被害者等を社会全体で支えていく気運を一層醸成する必要がある。

令和2年からの新型コロナウイルス感染症の感染拡大、近時のデジタル化の進展等により、社会生活は大きな変化を遂げている。犯罪被害者等のための施策は、こうした社会生活の変化に対応しつつ、一層の充実が図られる必要があり、デジタル技術その他の新たな手法等も取り入れながら、着実に推進されなければならない。

今般、第3次基本計画の計画期間が令和3年3月末で終了することから、犯罪被害者等の権利利益の保護が一層図られる社会の実現を目指し、「第4次犯罪被害者等基本計画」(以下「第4次基本計画」という。)を策定することとする。

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