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第2章 第4次犯罪被害者等基本計画の概要

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1 第4次犯罪被害者等基本計画における重点課題

第4次基本計画では、第1次基本計画から第3次基本計画までと同様、基本法第3条の基本理念等を踏まえた「4つの基本方針」(<1>尊厳にふさわしい処遇を権利として保障すること、<2>個々の事情に応じて適切に行われること、<3>途切れることなく行われること、<4>国民の総意を形成しながら展開されること)、大局的な課題を指摘した「5つの重点課題」及び犯罪被害者等施策を全体として効果的・効率的に実施するための「推進体制」が示されている。

第1次基本計画から第3次基本計画までの計画期間内において、犯罪被害給付制度(以下「犯給制度」という。)の拡充、損害賠償命令制度の創設、被害者参加制度の創設・拡充、カウンセリング費用の公費負担制度の整備、性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター(以下「ワンストップ支援センター」という。)の全ての都道府県への設置、犯罪被害者等に適切な情報提供等を行う総合的対応窓口の全ての地方公共団体への設置等の各種取組が進められ、犯罪被害者等施策は大きく進展した。

しかし、犯罪被害者等は今もなお多くの問題を抱えており、犯罪被害者等や犯罪被害者支援団体からは、依然として多岐にわたる意見・要望が寄せられている。第4次基本計画においては、当該意見・要望や第3次基本計画の実施状況の評価を踏まえ、地方公共団体における犯罪被害者等支援、性犯罪・性暴力や児童虐待等の被害が潜在化しやすい犯罪被害者等への支援、加害者処遇における犯罪被害者等への配慮の充実、様々な犯罪被害者等に配慮した多様な支援、社会変化に対応してデジタル技術その他の新たな手法等を取り入れた施策の推進等が課題とされた。

具体的には、1つ目の重点課題「損害回復・経済的支援等への取組」については、犯罪被害者等が直面している経済的な困難を打開するため、加害者の損害賠償責任の実現に向けて必要な検討等を行うとともに、犯罪被害者等支援を目的とした制度以外の制度や民間の取組等の活用推進を含め、犯罪被害者等の損害を回復し、経済的に支援するための取組等を行わなければならないとされた。

2つ目の重点課題「精神的・身体的被害の回復・防止への取組」については、犯罪被害者等が受ける精神的・身体的被害を回復・軽減し、又は未然に防止するための取組を行わなければならないとされた。特に、<1>個人の尊厳を著しく踏みにじり、心身に長期にわたり重大な悪影響を及ぼす性犯罪・性暴力の被害者への支援の一層の充実・強化並びに<2>生命・身体に重大な危害が及ぶ場合もある児童虐待事案、ストーカー事案及び配偶者等からの暴力事案の被害を防止するための対策の強化や相談につながりやすく、安全が確保され、適切に支援を受けることができるようにするための取組の一層の充実を図る必要があるとされた。

3つ目の重点課題「刑事手続への関与拡充への取組」については、犯罪被害者等が刑事手続や少年保護事件に関する手続に適切に関与できるよう、その機会を拡充するための取組を行わなければならないとされた。また、犯罪被害者等に対する一層の情報提供や犯罪被害者等の心情等の加害者処遇への一層の反映を求める声が、犯罪被害者等やその支援に携わる者等から寄せられていることを踏まえ、加害者処遇における犯罪被害者等の立場や心情等への配慮等を一層充実させる必要があるとされた。

4つ目の重点課題「支援等のための体制整備への取組」については、地方公共団体や犯罪被害者等の援助を行う民間の団体等と共に、継ぎ目のない支援体制を構築していく必要があるとされた。また、中長期的な支援体制の整備への取組が行われなければならないとされた。さらに、国、地方公共団体及びその他の関係機関並びに犯罪被害者等の援助を行う民間の団体等が相互に連携・協力し、被害直後から様々な関係機関・団体等が協働して、重層的な支援を行うことができる体制を構築していく必要があるとされた。

5つ目の重点課題「国民の理解の増進と配慮・協力の確保への取組」については、インターネットやSNSの普及にも配意しつつ、様々な機会や媒体を通じ、教育活動、広報啓発活動等を継続的に行うなどして、犯罪被害者等が置かれている状況、犯罪被害者等の名誉又は生活の平穏への配慮の重要性等に関する国民の理解・共感を深め、犯罪被害者等への配慮・尊重と犯罪被害者等施策への国民の協力を確保するための取組を推進しなければならないとされた。

図6 第4次基本計画のポイント
図6 第4次基本計画のポイント

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