警察庁 National Police Agency

警察庁ホーム  >  犯罪被害者等施策  >  公表資料の紹介:犯罪被害者白書  >  令和3年版 犯罪被害者白書  >  トピックス 第3次基本計画における取組

第1章 第4次犯罪被害者等基本計画の策定経緯

目次]  [戻る]  [次へ

3 第3次犯罪被害者等基本計画の実施状況の評価

トピックス 第3次基本計画における取組

第3次基本計画においては、5つの重点課題(<1>損害回復・経済的支援等への取組、<2>精神的・身体的被害の回復・防止への取組、<3>刑事手続への関与拡充への取組、<4>支援等のための体制整備への取組、⑤国民の理解の増進と配慮・協力の確保への取組)を掲げ、計261の具体的施策(再掲を含む。)を策定し、関係機関において各種取組が進められた。

以下、同計画における取組の一部を紹介する。

具体的施策 担当府省庁 取組の内容
1 損害回復・経済的支援等への取組
犯罪被害給付制度に関する検討 警察庁 警察庁において、平成29年7月に「犯罪被害給付制度に関する有識者検討会」が取りまとめた提言の内容を踏まえ、重傷病給付金の給付期間の延長、仮給付の柔軟化、遺児への手厚い支援及び親族間犯罪被害に係る支給基準の抜本的見直しを内容とする犯罪被害給付制度の改正を行い、30年4月に施行された。
カウンセリング等心理療法の費用の負担軽減 警察庁 警察庁において、臨床心理士資格等を有する部内カウンセラーの確実な配置に努めるよう都道府県警察を指導し、令和2年4月現在で44の都道府県において部内カウンセラーが配置された。また、平成28年度から、犯罪被害者等が自ら選んだ精神科医、臨床心理士等を受診した際の診療料及びカウンセリング料の公費負担制度に要する経費について予算措置を講じており、30年7月までに、全ての都道府県警察において制度が整備された。
地方公共団体による見舞金制度等の導入促進 警察庁 地方公共団体に対し、犯罪被害者等施策主管課室長会議や地方公共団体の職員を対象とする研修等において、犯罪被害者等に対する見舞金制度や生活資金の貸付制度の導入を要請した。令和3年4月現在、8都県、9政令指定都市、377市区町村において犯罪被害者等に対する見舞金制度を導入しており、3県、10市区町において生活資金の貸付制度を導入している。
海外での犯罪被害者に対する経済的支援 警察庁
外務省
警察庁において、平成28年11月に施行された国外犯罪被害弔慰金等の支給に関する法律に基づき、日本国外において行われた人の生命又は身体を害する故意の犯罪行為により死亡した日本国籍を有する国外犯罪被害者の第一順位遺族に国外犯罪被害弔慰金を、同犯罪行為により障害等級第1級相当の障害が残った国外犯罪被害者に国外犯罪被害障害見舞金を、それぞれ支給する制度の運用を開始した。
公営住宅への優先入居等 国土交通省 地方公共団体に対し、平成16年から17年までにかけて、配偶者等からの暴力事案の被害者をはじめとする犯罪被害者等を対象とした公営住宅への優先入居や目的外使用等について配慮を依頼する通知を、23年度には公営住宅への優先入居等の手続の簡素化に関する通知を、それぞれ発出した。また、29年度には、28年12月に成立したストーカー行為等の規制等に関する法律の一部を改正する法律の施行を踏まえ、改めて通知を発出した。
被害直後及び中期的な居住場所の確保 厚生労働省 平成28年度から、一時保護所が満床でなくても婦人相談所による一時保護委託が可能となる対象として、ストーカー事案や性犯罪・性暴力の被害女性を追加した。また、令和元年度からは、それまで定員を超えた場合にのみ一時保護委託を可能としていた対象者についても、保護が必要な犯罪被害女性等の意向や状態及び状況等を踏まえた一時保護委託が可能となるよう制度の運用を変更した。
警察庁 地方公共団体に対し、犯罪被害者等施策主管課室長会議や地方公共団体の職員を対象とする研修等を通じ、居住場所の確保や被害直後からの生活支援に対する取組がなされるよう要請した。令和3年4月現在、65都道府県・政令指定都市、428市区町村において、犯罪被害者等に対する公営住宅等への優先入居等への配慮がなされている。
2 精神的・身体的被害の回復・防止への取組
「PTSD対策に係る専門家の養成研修会」の内容の充実等 厚生労働省 医師、看護師、保健師、精神保健福祉士等を対象に「PTSD(心的外傷後ストレス障害)対策専門研修事業(犯罪・性犯罪被害者コース)」を実施し、性犯罪被害者を含む犯罪被害者等が抱えるPTSDに対して適切な治療やケア等を行うことができる人材を養成するとともに、地方公共団体に研修受講者名簿を送付するなど、相談体制の充実を図った。
犯罪被害者等への適切な対応に資する医学教育の促進 文部科学省
厚生労働省
文部科学省において、医学生が卒業時までに身に付けておくべき必須の実践的診療能力を学修目標として提示した「医学教育モデル・コア・カリキュラム」を策定し、PTSDについては、学生が複眼的に学修できるよう、不安障害群や心的外傷及びストレス因関連障害群として整理した。また、全国医学部長病院長会議における総会をはじめとした医学部関係者が参加する各種会議において、同カリキュラム及び第3次基本計画の内容を紹介し、各大学におけるPTSD等の精神的被害に関する教育の充実に向けた取組を要請した。
被害少年等に対する学校におけるカウンセリング体制の充実等 文部科学省 スクールカウンセラーの学校等への配置及び緊急支援のための派遣に対して補助を実施しており、令和2年度は、全ての公立小・中学校約2万7,500校へのスクールカウンセラーの配置に係る経費を予算措置した。また、スクールソーシャルワーカーの教育機関等への配置に対しても補助を実施しており、同年度は、全ての中学校区(約1万中学校区)へのスクールソーシャルワーカーの配置に係る経費を予算措置した。
ワンストップ支援センターの設置促進 内閣府
警察庁
厚生労働省
性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターの設置について、令和2年までに全ての都道府県に設置するとの目標を掲げていたところ、前倒しして、平成30年10月に全ての都道府県に設置を完了した。
児童虐待の防止、早期発見・早期対応のための体制整備等 警察庁
文部科学省
厚生労働省
平成29年6月に成立し、30年4月に施行された児童福祉法及び児童虐待の防止等に関する法律の一部を改正する法律により、虐待を受けている子供等の保護を図るため、家庭裁判所が都道府県等に対して保護者指導を勧告することができることとされるなど、司法の関与が強化された。また、「児童虐待防止対策体制総合強化プラン」(同年12月18日児童虐待防止対策に関する関係府省庁連絡会議決定)に基づき、児童相談所の児童福祉司の増員を行うとともに、子ども家庭総合支援拠点を全ての市区町村に設置するなど、児童相談所及び市区町村の体制と専門性を強化した。
このほか、児童相談所虐待対応ダイヤル「189(いちはやく)」について、音声ガイダンスの短縮、携帯電話等からの着信を対象としたコールセンター方式の導入及び通話料の無料化を実施した。
3 刑事手続への関与拡充への取組
更生保護の犯罪被害者等施策の在り方を考える検討会の開催 法務省 令和元年度に、更生保護の犯罪被害者等施策の在り方を考える検討会を開催した。同検討会が取りまとめた報告書においては、犯罪被害者等の思いに応える更生保護を実現するため、「犯罪被害者等によるアクセスの向上」、「犯罪被害者等の思いに応える制度運用の実現」及び「犯罪被害者等施策を適切に実施するための体制の整備」について提言がなされた。
最高検察庁刑事政策推進室の発足 法務省 平成28年6月、最高検察庁において、犯罪被害者等からの希望を酌み取り、各地の犯罪被害者等の保護・支援のための取組を支援するとともに、児童虐待防止対策や再犯防止対策等を推進するため、刑事政策推進室を発足させた。
4 支援等のための体制整備への取組
地方公共団体における総合的対応窓口の設置及び地域住民に対する周知の促進 警察庁 犯罪被害者等に適切な情報提供等を行う総合的対応窓口が、平成31年4月までに全ての市区町村に設置された。
地方公共団体における総合的かつ計画的な犯罪被害者支援の促進 警察庁 令和3年4月現在、64都道府県・政令指定都市、711市区町村において、犯罪被害者等に関する条例又は計画・指針が制定又は策定されている。
性犯罪被害者による情報入手の利便性の拡大 警察庁 平成29年8月、都道府県警察の性犯罪被害相談電話につながる全国共通番号「#8103(ハートさん)」を導入した。令和元年度からは、全国で24時間運用及び無料化を実施した。
犯罪被害者等の状況把握等のための調査実施に向けた検討 警察庁 平成29年1月に「犯罪被害者等施策に関する世論調査」を、30年1月に「犯罪被害類型別調査」を、それぞれ実施した。
5 国民の理解の増進と配慮・協力の確保への取組
学校における生命のかけがえのなさ等に関する教育の推進 文部科学省 平成30年度から小学校で、令和元年度から中学校で、それぞれ「特別の教科 道徳」が全面実施されたことを踏まえ、児童生徒が生命の尊さや大切さについて自らの考えを深められるような指導の充実を図った。
「大切な命を守る」全国中学・高校生作文コンクール等の開催 警察庁 警察においては、平成20年度から、中学生・高校生を対象として、犯罪被害者等による講演会「命の大切さを学ぶ教室」を開催し、23年度から、同教室の受講生を対象とした作文コンクールを開催してきたところ、令和元年度からは、全国の中学生・高校生を対象として、命の大切さに関する自らの考えや意見等に関する作文を募る「「大切な命を守る」全国中学・高校生作文コンクール」を開催した。

目次]  [戻る]  [次へ

警察庁 National Police Agency〒100-8974 東京都千代田区霞が関2丁目1番2号
電話番号 03-3581-0141(代表)