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第2章 精神的・身体的被害の回復・防止への取組

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2 安全の確保(基本法第15条関係)

トピックス 児童相談所における犯罪被害者等支援
~東京都の児童相談所における被虐待児童等への対応~

児童相談所は、市区町村と適切な役割分担・連携を図りつつ、家族等からの子供に関する相談に応じ、子供が抱える問題、子供の真のニ-ズ、子供の置かれた環境等を的確に捉え、個々の子供や家族等に最も効果的な援助を行い、もって子供の福祉を図るとともに、その権利を擁護することを主な目的として都道府県等に設置される行政機関であり、全国に225か所設置されている(令和3年4月現在)。

このうち、東京都の児童相談所における被虐待児童等への対応状況等は、次のとおりである。

〇児童相談所の体制

東京都には、令和3年4月1日現在10の都立の児童相談所が設置されており、児童福祉司、児童心理司、医師、保健師等の専門スタッフが相談対応等に当たっている。これらの児童相談所では、虐待相談をはじめとする困難なケースに的確かつ効率的に対応するため、チーム制を導入している。

また、児童虐待に迅速かつ的確に対応するため、各児童相談所に、児童福祉司が中心的役割を担う、児童虐待対応協力員や虐待対応強化専門員から成る「虐待対策班」を設置し、初期対応の強化を図っている。

〇虐待相談体制の強化

東京都の児童相談所における相談対応件数の約半数が虐待相談で、元年度の虐待相談への対応件数は、過去最多の2万1,659件となっており、児童福祉司及び児童心理司の計画的な増員を図っている。

また、キャリアを活用した採用方式などを導入し、様々な資質や能力を備えた人材や、専門的知識や経験を有する外部の人材の確保を図っている。

〇虐待相談の流れ

児童相談所が虐待の通告や相談を受けた場合には、速やかに「緊急受理会議」を開催して緊急性を判断するとともに、通告受理後48時間以内に子供の安全確認を実施し、必要に応じて一時保護を行っている。

虐待を受けた子供や家族への援助に当たっては、取扱事例に関する調査や心理診断等の結果を総合的に判断し、子供の利益を第一に方針を決定している。援助には、家庭を離れて養育家庭(里親)や児童福祉施設等で生活しながらケアを受けるもの、家庭で生活しながらケアを受けるもの等がある。

児童相談所における虐待対応は、虐待を受けて心や身体に傷を負った子供のケアを第一に、家庭において再び児童虐待が起きないよう、子育ての方法等を保護者と共に考え、適切な養育方法を学び実践できるよう援助している。

〇被害確認面接

被害事実の聞き取り回数を減らすなどして子供への心理的負担を軽減しつつ、子供自身の言葉で被害事実を語ってもらうため、研修を受けた職員による「被害確認面接」を行っている。

事件性の高い児童虐待事案の場合には、子供への負担をできる限り少なくするため、必要に応じ、検察、警察及び児童相談所の3機関の代表者1名による面接(協同面接)を行っており、事案の内容等を早期に共有することで、各機関が相互理解の下で協力しながら、子供への支援を進めることができる。3機関では、事例検討も定期的に実施している。

また、職員研修では、模擬面接等の演習型研修も取り入れ、対応力の強化に努めている。

〇家族再統合のための援助事業

虐待の再発防止を図るため、子供及び保護者に対して、様々な心理療法(グループや個別)を行うなど、家族関係を再構築する援助プログラムを実施している。

具体的には、幼児や小学生を対象とした親子グループ心理療法、施設入所中の幼児を対象としたグループ心理療法、父親を対象としたグループ心理療法、母親を対象としたグループ心理療法及び養育者を対象とした心理教育を行っている。

〇体罰によらない子育ての推進

平成31年4月に「東京都子供への虐待の防止等に関する条例」が施行され、保護者による体罰の禁止が明記された。

〇相談窓口

・児童相談所虐待対応ダイヤル「189(いちはやく)」

虐待かもと思った時等にすぐ通告・相談できるよう、全国共通の電話相談を24時間365日体制で受け付けている(通話料は無料)。

・LINE相談(子ゴコロ・親ゴコロ相談@東京)

LINEを活用した相談窓口を設置し、児童や保護者がアクセスしやすい相談体制を整備している。

警察におけるカウンセリングの様子(模擬)

・子供の権利擁護専門相談事業(0120-874(はなして)-374(みなよ))

子供の権利擁護電話相談員が、いじめ、体罰等子供の権利侵害に関する子供からの相談や都民からの通告等を電話で受け付け、必要な助言を行うとともに、権利侵害の状況に応じ、弁護士等の子供の権利擁護専門員への面接相談へつなげるなどして問題解決を図っている。

警察におけるカウンセリングの様子(模擬)

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