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第4章 支援等のための体制整備への取組

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3 民間の団体に対する援助(基本法第22条関係)

コラム5 支援に携わり感じた数々の思い

公益社団法人いわて被害者支援センター

犯罪被害相談員  柴内 綾

平成25年から支援員として活動しています。

これまでに何人の方と話をし、その方々に対してどのくらいのことができていたのだろうか、もっと経験を積んでいたら、知識を持っていたら、してあげられたこと、伝えられたことがあったのではないだろうかと思うことも多々あります。

支援員として、さまざまな知識や気配りなど身につけておくべきことはたくさんあります。自分が支援員にふさわしいかと考えさせられることもありました。

被害者一人一人、状況や環境、思いも異なりますので、10人いれば10通りの支援があり、一つ一つの支援から一緒に考え、悩み、そして数多くのことを学びました。

支援員には次の方の支援があっても、被害者の方には次ということはありませんので決して失敗があってはいけない、支援員が更なる傷を与えてはいけないと常に緊張しています。

『大丈夫ですか』と気遣うために使った言葉、それは、その方が周りの人から頻繁に掛けられている言葉で、訊かれると『大丈夫』と答えてしまう、そんな負担になる言葉であったとは思いもしませんでした。言葉かけの難しさを痛感しました。

大切な人を亡くされた方にお会いすると自分の家族と重ねてしまうことがよくあります。

二度と会えなくなるなんて思いもしていなかった…

ある日突然その人だけがいなくなるなんて、まだしたいこともたくさんあっただろう

あれもしてあげたかった、これもしてあげたかった

そんな方にどんな言葉をかけたらよいのだろう。

かける言葉より、思いを聴くことが今大切なこと、私にできることでした。

センターがあることを早く知っていればよかった、そう言われることもよくあります。

今はインターネットで調べることもできますが、まだまだ被害者支援センターがどのような支援をしてくれるところなのかを知らないどころか、存在すら知らずに一人で悩まれている方がたくさんいることに気付きました。 

もう少し早くセンターがその方に関わることができていたら、不安が大きくならず、もっと早く荷を軽くしてさしあげられていただろうと思います。

不安を抱きながら相談してきた方の思い、初めて会う人に恥ずかしい、辛い話をしなければいけないということがどれほどの思いか、そしてやっとの思いで話し終えたその気力はどれほどのものであろうかと推察します。

そのような思いでセンターを頼りに来てくださった方を置きざりにせず、できる限りの途切れない支援を目指しています。

支援員として年数を重ねても、気持ちは変わることなく、これからも皆様と一緒に1人でも多くの方々のお手伝いができたらと思っています。

公益社団法人全国被害者支援ネットワーク

「ネットワークニュース」より

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