第5章 国民の理解の増進と配慮・協力の確保への取組

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1 国民の理解の増進(基本法第20条関係)

コラム19 犯罪被害者週間

第3次基本計画においては、「国民の理解の増進と配慮・協力の確保への取組」を重点課題の一つとして掲げ、「様々な機会を通じて、教育活動や広報啓発活動等による息の長い取組を行い、犯罪被害者等が置かれている状況、犯罪被害者等の名誉又は生活の平穏への配慮の重要性等についての国民の理解や共感を深め、犯罪被害者等への配慮と犯罪被害者等のための施策への協力を確保するための取組」を行うこととされている。

このため、警察庁では、関係省庁の協力を得て、毎年11月25日から12月1日までを犯罪被害者週間として設定し、当該週間に合わせて、啓発事業を集中的に実施することとしている。

平成29年度においては、東京都における中央イベント(12月1日)を開催するとともに、地方公共団体等と共に、徳島県(11月28日)及び佐賀県(11月15日)における地方大会を開催した。

【中央イベント】

中央イベントでは、犯罪被害者支援に関する標語(施策番号241参照)の表彰式、基調講演、パネルディスカッション等を行った。

表彰式では、犯罪被害者支援に関する標語の最優秀賞を受賞した田中陸月(むつき)さんに対して、小此木八郎国家公安委員会委員長による表彰が行われた。

基調講演では、犯罪被害者遺族の武るり子氏(少年犯罪被害当事者の会代表)から、「少年犯罪で息子を奪われた母の想い」をテーマに、息子を犯罪で亡くした悲しみやその後の自身が置かれた状況、そして自ら立ち上げた「少年犯罪被害当事者の会」の活動状況、他の少年犯罪の遺族等と共に続けている活動等について講演が行われた。

パネルディスカッションでは、「途切れることのない支援のために~犯罪被害者に対する中長期的支援の在り方を考える~」をテーマに、コーディネーターとして伊藤冨士江氏(上智大学総合人間科学部社会福祉学科教授)、パネリストとして武るり子氏、佐藤真奈美氏(公益社団法人被害者支援都民センター犯罪被害相談員、臨床心理士)、木本克己氏(横浜市市民局人権課専任職(社会福祉業務担当)精神保健福祉士、臨床心理士)のほか、初めての試みとして、上智大学の伊藤冨士江ゼミで社会福祉を学んでいる大学生2人を迎え、中長期的支援のための多機関連携の現状と課題、犯罪被害者支援において求められる地方公共団体・民間支援団体の役割、誰もができる犯罪被害者支援の在り方等について議論が行われた。

標語の受賞者と国家公安委員会委員長
標語の受賞者と国家公安委員会委員長
犯罪被害者週間に関するポスター
犯罪被害者週間に関するポスター

【徳島大会】

徳島大会は、警察庁、徳島県、徳島県警察及び公益社団法人徳島被害者支援センターが共催した。

基調講演では、「性暴力被害とその後の人生」をテーマに、心理カウンセラーの柳谷和美氏(おやこひろば桜梅桃李代表)から、自身が幼少期に性暴力被害に遭ったことがその後の人生に大きな影響を及ぼしたことや、自身の傷ついた心と向き合う中で生き方を変えることができた経験等について講演が行われた。

パネルディスカッションでは、「性暴力被害後に求められる支援について」をテーマに、コーディネーターとして内海千種氏(徳島大学大学院社会産業理工学研究部准教授、公益社団法人徳島被害者支援センター理事)、パネリストとして永本能子氏(弁護士、徳島弁護士会犯罪被害者支援センター委員長)、仁木伸一氏(徳島県中央こども女性相談センター所長、性暴力被害者支援センター(よりそいの樹とくしま中央))、多田卓司氏(徳島県警察本部刑事部捜査第一課長)及び柳谷和美氏を迎え、性暴力被害者に寄り添った継続的な支援の実施に向けて、関係機関・団体が相互に連携し、取組の強化を図ることの重要性等について議論が行われた。

展示コーナーでは、関係機関・団体等によるパネル、ポスター、リーフレット等の展示・配布が行われた。

柳谷和美氏による講演の様子
柳谷和美氏による講演の様子
パネルディスカッションの様子
パネルディスカッションの様子

【佐賀大会】

佐賀大会は、警察庁、佐賀県、佐賀県警察及び特定非営利活動法人被害者支援ネットワーク佐賀VOISSが共催した。

基調講演では、犯罪被害者遺族の本郷紀宏氏から、「子どもの安全を守る~悲劇を繰り返さないために~」をテーマに、大阪教育大学附属池田小学校の児童殺傷事件で娘を亡くした当時の心境や子供の安全を守ることの重要性等について講演が行われた。

パネルディスカッションでは、「私たちにできる犯罪被害者支援」をテーマに、コーディネーターとして高尾兼利氏(西九州大学子ども学部子ども学科長教授、佐賀県臨床心理士会会長)、パネリストとして姫野敦秀氏(京都府警察本部交通部交通規制課長、元京都府府民生活部安心・安全まちづくり推進課長)、大岡由佳氏(武庫川女子大学文学部心理・社会福祉学科准教授)及び白濵洋子氏(佐賀女子短期大学地域みらい学科准教授)を迎え、犯罪被害者等に対する継続的な配慮の重要性や適切な支援、二次的被害を防ぐための方策等について議論が行われた。

会場では、関係機関によるポスター等の展示のほか、事件・事故の犠牲者の等身大の人型パネル等を展示する「生命(いのち)のメッセージ展」が行われた。

なお、「生命(いのち)のメッセージ展」は、犯罪被害者週間の実施の一環として、警察庁及び佐賀県の共催により、10月6日から11月15日までの間、佐賀大会の会場を含めた県内7か所の自治体等において巡回展示が行われた。

パネルディスカッションの様子
パネルディスカッションの様子
会場におけるパネル展示等の様子
会場におけるパネル展示等の様子

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