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第4章 支援等のための体制整備への取組

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1 相談及び情報の提供等(基本法第11条関係)

コラム12 犯罪被害者等施策の総合的推進に関する事業

警察庁では、基本法及び第3次基本計画に基づき、地方公共団体における犯罪被害者等支援体制の整備促進を図っているところ、同支援体制の更なる底上げを図るとともに、多機関連携及び地域間連携を促進し、地域における犯罪被害者等施策を総合的に推進するため、平成29年度から、「犯罪被害者等施策の総合的推進に関する事業」を実施している。

同年度は、滋賀県、京都府、和歌山県、佐賀県、熊本県、大分県及び横浜市において同事業を実施したところ、このうち、滋賀県及び熊本県の事例については、次のとおりである。

【滋賀県】

滋賀県では、29年度に新たに設置した「犯罪被害者等支援コーディネーター」を中心に、市町及び警察をはじめとする関係機関・団体との連携を強化して犯罪被害者等のニーズにあった途切れない支援活動を推進している。

こうした活動をより充実・促進させ、また、関係機関による連携・支援の在り方についての議論を深めるため、警察庁と共に、同年9月には「犯罪被害者等支援関係機関の連携方策に関する検討会」を、同年11月には「犯罪被害者等支援を考えるつどい」を、それぞれ開催した。

「犯罪被害者等支援関係機関の連携方策に関する検討会」では、スーパーバイザーとして大塚淳子氏(帝京平成大学教授)を迎え、各関係機関の役割・専門性の相互理解を深めるとともに、犯罪被害者等と犯罪被害者等支援コーディネーターを中心とした連携方策等について検討を行った。

「犯罪被害者等支援を考えるつどい」では、基調講演、シンポジウム等を行った。基調講演では、近藤さえ子氏(途切れない支援を被害者と考える会代表)から「犯罪被害者がおかれる状況と支援の必要性について」を、大塚淳子氏から「安心できる暮らしの回復をめざして」を、それぞれテーマとする講演が行われた。また、シンポジウムでは、「犯罪被害者等の多様なニーズに応える連携支援について」をテーマに、コーディネーターとして大塚淳子氏、シンポジストとして松村裕美氏(特定非営利活動法人おうみ犯罪被害者支援センター支援局長)、荒川葉子氏(滋賀弁護士会犯罪被害者支援委員会委員長)、辻本哲士氏(滋賀県犯罪被害者支援連絡協議会会長)及び近藤さえ子氏を迎え、途切れない支援のために各関係機関がいかに連携していくか等について議論が行われた。

「犯罪被害者等支援を考えるつどい」の様子
「犯罪被害者等支援を考えるつどい」の様子

【熊本県】

犯罪被害に遭った児童やその兄弟姉妹(以下「被害児童等」という。)は、自ら声を上げることが困難であり、周囲の大人の不適切な対応で二次的被害を受けやすいことから、熊本県では、周囲の大人が被害児童等の心理や行動等について理解し、適切な支援を行うことができるようにするため、警察庁と共に、「犯罪被害にあった子供とそのきょうだいの保護者・支援者のためのワークブック作成事業」を実施した。

同事業においては、ワーキンググループ会議を開催し、関係機関の担当者のほか、スーパーバイザーとして大岡由佳氏(武庫川女子大学准教授)、助言を行う当事者として犯罪被害者遺族及び精神科医やスクールカウンセラー等の専門家を迎え、ワークブックの内容や普及方法等について検討を重ね、30年3月、「犯罪の被害にあった子ども・きょうだいのためのサポートブック」(以下「サポートブック」という。)を作成した。

サポートブックには、被害児童等が実際に受けた支援の例をはじめ、犯罪被害に遭った場合の被害児童等のサインや心身の変化、犯罪被害に遭った場合の被害児童等、保護者、学校関係者等へのメッセージ、各支援機関の連絡先等を分かりやすく掲載している。

今後、サポートブックを被害児童等の保護者、支援者等が活用することで、被害児童等のサポートの一助となることを期待している。

犯罪の被害にあった子ども・きょうだいのためのサポートブック
犯罪の被害にあった子ども・きょうだいのためのサポートブック

※ おうみ犯罪被害者支援センターは平成30年4月2日から公益社団法人に移行

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