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第2章 精神的・身体的被害の回復・防止への取組

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3 保護、捜査、公判等の過程における配慮等(基本法第19条関係)

○ 主な取組

・女性警察官の配置等

【施策番号109】

警察においては、性犯罪被害者が捜査の過程において受ける精神的負担を少しでも緩和するためには、性犯罪被害者の望む性別の警察官が対応する必要があること等から、警察本部や警察署の性犯罪捜査を担当する係への女性警察官の配置を推進するとともに、性犯罪捜査の研修を行うなどして性犯罪捜査を担当する職員の実務能力の向上を図っている。

平成29年4月現在、性犯罪事件において、性犯罪被害者から事情聴取等を行う性犯罪指定捜査員として指定されている女性警察官等は、全国の都道府県警察において8,557人である。

性犯罪指定捜査員等の推移(各年4月1日現在)
性犯罪指定捜査員等の推移(各年4月1日現在)
年次 平成16 平成17 平成18 平成19 平成20 平成21 平成22 平成23 平成24 平成25 平成26 平成27 平成28 平成29
人数 4,572 4,933 5,369 5,459 5,832 6,069 6,280 6,494 6,712 6,752 7,022 7,505 7,974 8,557

また、警視庁及び道府県警察本部(以下「都道府県警察本部」という。)の性犯罪捜査担当課に性犯罪捜査指導官の設置を推進しているほか、同課の性犯罪捜査指導係への女性警察官の配置等により、性犯罪捜査に関する指導体制の構築を図っており、同月現在、都道府県警察の性犯罪捜査指導係員は298人、うち女性警察官は121人である。

さらに、同月現在、性犯罪事件の認知後、証拠採取を行うに当たって、性犯罪被害者の精神的負担を軽減するため、証拠採取に必要な用具や当該被害者の衣類を預かる際の着替え等をまとめた性犯罪証拠採取セットを全国で3,024セット保有し、また、性犯罪事件の被害状況の再現を行う際の性犯罪被害者の精神的負担を軽減するため、当該被害者の代わりとして使用する性犯罪被害者捜査用ダミー人形を全国で2,233体整備している。

このほか、事情聴取時において、相談室や被害者支援用車両を積極的に活用しているほか、事件発生時における迅速かつ適切な診断・治療、証拠採取や女性医師による診断等を行うため、産婦人科医会とのネットワークを構築し、具体的支援を提供するための連携の強化等を図りながら、適正かつ円滑な性犯罪捜査を推進している。

被害者支援用車両内の様子(被害者は模擬)
被害者支援用車両内の様子(被害者は模擬)
女性医師による診断の様子(被害者は模擬)
女性医師による診断の様子(被害者は模擬)

○ 海上保安庁においては、性犯罪等に係る女性被害者が捜査の過程において受ける精神的負担を少しでも緩和するため、女性海上保安官による事情聴取や付添い等を行っている。

・ビデオリンク等の措置の適切な運用

【施策番号111】

法務省においては、刑事訴訟に関して、犯罪被害者等の意見をより適切に裁判に反映させるための犯罪被害者等の意見陳述の制度や、証人の証言時の負担・不安を軽減するためのビデオリンク等の制度の運用について、適切な対応が行われるよう、会議や研修等の様々な機会を通じて、検察の現場への周知徹底を図るとともに、施策の実施状況の把握に努めている。また、犯罪被害者等向けパンフレット「犯罪被害者の方々へ」にもこれらの制度の情報を掲載している。

平成29年中に、証人尋問の際に付添いの措置が執られた証人の延べ数は78人、証人尋問の際に遮へいの措置が執られた証人の延べ数は1,105人、ビデオリンク方式による証人尋問が行われた証人の延べ数は225人であった。

証人への付添い
証人への付添い
証人への遮へい
証人への遮へい
ビデオリンク方式
ビデオリンク方式
証人の保護等の状況
年次 証人の保護等
付添い 遮へい ビデオリンク
平成25年 116 1,792 278
平成26年 112 1,661 299
平成27年 141 1,563 290
平成28年 128 1,623 303
平成29年 78 1,105 225
(注)
1 最高裁判所事務総局の資料(概数)による。
2 いずれも高等裁判所、地方裁判所及び簡易裁判所における証人の数(延べ人員)である。
3 各項目の数値については、平成28年までは決定等がなされた日を基準に計上していたが、29年以降は当該事件の終局日を基準に計上している(なお、28年以前に決定等がなされ29年に事件が終局したものについては、決定等がなされた日を基準に計上している。)。この計上基準日の変更により、29年の数値は一時的に減少することとなるので留意されたい。
提供:法務省

20年4月から、民事訴訟法が一部改正され、民事訴訟において犯罪被害者等を証人等として尋問する場合に、付添い、遮へい又はビデオリンクの各措置を執ることが認められている。

29年中の民事訴訟における付添い回数は22回、遮へい回数は238回、ビデオリンク回数は40回である(数値はいずれも証人尋問及び当事者尋問の回数であり、各措置を併用した場合については、それぞれ1回として計上している。)。

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