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第2章 精神的・身体的被害の回復・防止への取組

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1 保健医療サービス及び福祉サービスの提供(基本法第14条関係)

コラム2 学校及び児童相談所等の連携による取組

児童虐待の防止等のためには、学校と関係機関の連携を強化することが必要である。

A市では、児童を虐待から保護するに当たり、学校と児童相談所等の被害少年等を保護する関係機関との連携を充実させる取組を実施している。

以下、同市における、児童虐待と児童の問題行動に関して、学校と関係機関が連携し、支援を行った事例を紹介する。

児童は、両親が離婚後、母親に引き取られていたが、母親の交際相手の男性は、母親や児童に対して暴言や暴力を振るうようになった。

また、児童の父親が複数回変わるという複雑な家庭環境もあって、小学校低学年から児童の問題行動(自宅近辺での火遊び等)が報告されており、家庭及び学校から警察に度々相談がなされていた。

このような状態が続く中、福祉の専門家であるスクールソーシャルワーカーにより、児童相談所や警察等の関係機関を含めた支援体制の構築が検討された。

スクールソーシャルワーカーは、まず、児童の学校での様子や生活態度を観察しながら面談を重ね、児童との信頼関係を築いた。次に、学校内での理解促進と支援の輪を広げるため、校内会議で全教職員と情報共有を行うとともに、養護教諭や生活指導担当教諭と支援方法を検討した。さらに、児童相談所や警察とも頻繁に連絡を取りつつ、要保護児童対策地域協議会に情報提供し、学校、地方公共団体及び関係機関が連携する地域一体となった支援体制を構築した。

児童は一時保護され、行動診断や知能検査等が実施された。その後、家庭での生活が可能と判断され、1か月後に家庭に戻ってからは児童の生活態度が改善されるとともに、母親の交際相手の男性からの暴力がなくなるなど、家庭環境も改善された。

引き続き、学校、関係機関が見守りを続けているが、児童は「母親が自分の話をよく聞いてくれるようになった。」と話しており、現在も元気に通学中である。

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