第3節 刑事手続への関与拡充への取組
1 刑事に関する手続への参加の機会を拡充するための制度の整備等(基本法第18条関係)
(1) 医療機関における性犯罪被害者からの証拠採取等の促進
【施策番号104】
警察庁においては、性犯罪の被害者が警察へ届け出ずに医療機関を受診した場合、後に警察に届出をするときには身体等に付着した証拠資料が滅失している可能性があることから、医師等が受診時にこれを採取するための資機材を10都道県の医療機関に試行整備している。
(2) 冒頭陳述等の内容を記載した書面交付の周知徹底及び適正な運用
【施策番号105】
検察庁においては、犯罪被害者等の希望に応じ、公訴事実の要旨や冒頭陳述の内容等を説明するとともに、冒頭陳述の内容を記載した書面等の交付を全国で実施している。
また、法務省・検察庁においては、それらについて、会議や研修等の様々な機会を通じて検察官等への周知徹底を図り、一層適正に運用されるよう努めている。
(3) 被害者参加人への旅費等の支給に関する検討
【施策番号106】
第2次基本計画により、法務省においては、犯罪被害者等が被害者参加制度(裁判所から参加を許された犯罪被害者等が、原則として公判期日に出席できるとともに、一定の要件の下で証人の尋問や被告人に対する質問、意見の陳述ができる制度)を利用して裁判所に出廷する際の旅費等の負担を軽減するための制度の導入について検討を行い、2年以内を目途に結論を出し、必要な施策を実施することとされたところ、公判期日等に出席した被害者参加人が日本司法支援センターから旅費、日当及び宿泊料の支給を受けられるようにすることを内容とする、犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律及び総合法律支援法の一部を改正する法律が平成25年6月成立し、同年12月から施行されており、法務省・検察庁及び日本司法支援センターにおいては、その円滑な運用に取り組んでいる。27年度中には2,594件の請求があり、1,975万7,395円の支給を行った。
(4) 被害者参加人のための国選弁護制度における資力要件に関する検討
【施策番号107】
第2次基本計画により、法務省においては、被害者参加人のための国選弁護制度における被害者参加人の資力要件の緩和について、被害者参加人の旅費等と併せて検討を行うこととされたところ、被害者参加人の資力基準について、その算定の基礎となる必要生計費等を勘案すべき期間を3月間から6月間に伸張することにより、国の費用で被害者参加弁護士が選定される被害者参加人の範囲を拡大することを内容とする、犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律及び総合法律支援法の一部を改正する法律が平成25年6月成立し、同年12月から施行されており、法務省・検察庁及び日本司法支援センターにおいては、その円滑な運用に取り組んでいる。
被害者参加人のための国選弁護制度に関して、日本司法支援センターにおいては、国選被害者参加弁護士の候補となる弁護士の確保のほか、国選被害者参加弁護士の候補を裁判所に指名通知するなどの業務を行っている。28年4月現在、被害者参加弁護士契約弁護士は4,449人となっており、27年度中の国選被害者参加弁護士の選定請求受付件数は521件653人であった。
業務 | 平成20年度 | 平成21年度 | 平成22年度 | 平成23年度 | 平成24年度 | 平成25年度 | 平成26年度 | 平成27年度 | |
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犯罪被害者支援業務 | |||||||||
国選被害者参加弁護士選定 請求件数 |
29件 ※平成20年12月~ |
204件 | 231件 | 282件 | 302件 | 383件 | 451件 | 521件 | |
国選被害者参加弁護士選定 請求者数 |
32人 ※平成20年12月~ |
238人 | 299人 | 351人 | 401人 | 463人 | 572人 | 653人 | |
被害者参加弁護士契約弁護士数 |
1,844人 平成21年4月現在 |
2,219人 平成22年4月現在 |
2,476人 平成23年4月現在 |
3,014人 平成24年4月現在 |
3,335人 平成25年4月現在 |
3,700人 平成26年4月現在 |
4,122人 平成27年4月現在 |
4,449人 平成28年4月現在 |
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提供:法務省 |
(5) 公判記録の閲覧・謄写制度の周知及び閲覧請求への適切な対応
【施策番号108】
検察庁においては、犯罪被害者等向けパンフレット「犯罪被害者の方々へ」(【施策番号117】参照)等により、犯罪被害者等から刑事事件の訴訟記録の閲覧・謄写の申出があり、相当と認められるときは、刑事事件が係属中であっても、閲覧・謄写が可能である旨の周知を図っている。また、検察庁において保管する訴訟終結後の刑事事件の裁判書や記録(いわゆる確定記録)の閲覧に際して、犯罪被害者等に対し、被告人や証人等の住所を開示するかどうかについては、裁判の公正担保の必要性と一般公開によって生じるおそれのある弊害等を比較考慮して、その許否を判断すべきものであるところ、被害者保護の要請に配慮しつつ、適切な対応に努めている。
犯罪被害者等に公判記録の閲覧・謄写をさせた事例の延べ数は、平成27年中、1,499件であった。
なお、不起訴記録は、非公開が原則であるが、交通事故に関する実況見分調書等の証拠については、裁判所からの送付嘱託や弁護士会からの照会に対し、開示することが相当と認められるときは、これに応じている。また、被害者参加制度の対象となる事件の被害者等については、事件の内容を知ること等を目的とする場合でも、捜査や公判に支障を生じたり、関係者のプライバシーを侵害しない範囲で、実況見分調書等を開示し、弾力的な運用に努めている。さらに、それ以外の事件の被害者等についても、民事訴訟等において被害回復のため損害賠償請求権その他の権利を行使するために必要と認められる場合には、捜査や公判に支障を生じたり、関係者のプライバシーを侵害しない範囲で、実況見分調書等を開示している。
年次 | 記録の閲覧・謄写 |
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平成23年 | 1,311 |
平成24年 | 1,426 |
平成25年 | 1,486 |
平成26年 | 1,646 |
平成27年 | 1,499 |
(注) 1 最高裁判所事務総局の資料(概数)による。 2 高等裁判所、地方裁判所及び簡易裁判所における被害者等に公判記録の閲覧謄写をさせた事例数及び同種余罪の被害者等に公判記録の閲覧謄写をさせた事例数の合計である。 |
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提供:法務省 |
(6) 犯罪被害者等と検察官の意思疎通の充実
【施策番号109】
ア 法務省・検察庁においては、犯罪被害者等の意見が適切に刑事裁判に反映されるよう、また、公判期日の設定に当たっても、犯罪被害者等の希望が裁判所に伝えられるよう、会議や研修等の様々な機会を通じて、適切な形で検察官が犯罪被害者等と十分な意思疎通を図ることについて、検察官等への周知に努めている。
【施策番号110】
イ 上記 【施策番号109】 参照
(7) 国民に分かりやすい訴訟活動
【施策番号111】
検察庁においては、犯罪被害者等を含む傍聴者等にも手続の内容が理解できるように、難解な法律用語の使用はなるべく避けたり、プレゼンテーションソフト等を活用して視覚的な工夫を取り入れたりするなど、国民に分かりやすい訴訟活動を行うよう努めている。
(8) 保釈に関しての犯罪被害者等に対する安全への配慮の充実
【施策番号112】
【施策番号79】 参照
(9) 上訴に関する犯罪被害者等からの意見聴取等
【施策番号113】
法務省・検察庁においては、検察官が上訴の可否を検討するに当たり、犯罪被害者等の意見を適切に聴取するよう、会議や研修等の様々な機会を通じて検察官等への周知に努めている。
(10) 少年保護事件に関する意見の聴取等各種制度の周知徹底
【施策番号114】
法務省・検察庁においては、検察官等に対し、会議や研修等の様々な機会を通じて、少年保護事件に関する意見の聴取の制度、少年審判の傍聴、記録の閲覧・謄写の制度、家庭裁判所が犯罪被害者等に対し少年審判の結果等を通知する制度の周知を図っており、検察官が犯罪被害者等に対して適切に情報提供できるよう努めている。また、これらの制度等について解説した犯罪被害者等向けパンフレット「犯罪被害者の方々へ」により、周知を図っている(【 施策番号117】参照)。
年次 | 意見聴取 | 記録の閲覧・謄写 | 審判結果などの通知 | |||
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申出のあった人数 | 認められた人数 | 申出のあった人数 | 認められた人数 | 申出のあった人数 | 認められた人数 | |
平成23年 | 384 | 370 | 1,083 | 1,075 | 1,213 | 1,207 |
平成24年 | 401 | 380 | 1,264 | 1,236 | 1,435 | 1,424 |
平成25年 | 339 | 325 | 1,261 | 1,234 | 1,440 | 1,438 |
平成26年 | 270 | 264 | 1,055 | 1,042 | 1,269 | 1,266 |
平成27年 | 315 | 301 | 1,136 | 1,111 | 1,100 | 1,090 |
(注) 最高裁判所事務総局の資料(概数)による。 | ||||||
提供:法務省 |
(11) 少年審判の傍聴制度の周知徹底
【施策番号115】
法務省・検察庁においては、一定の重大事件の犯罪被害者等が少年審判を傍聴することができる制度や、犯罪被害者等による記録の閲覧・謄写の制度の周知を図っている(【施策番号114】参照)。
年次 | 傍聴の対象となった事件数 | 傍聴を許可した事件数(人数) |
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平成23年 | 165 | 67(120) |
平成24年 | 132 | 59(78) |
平成25年 | 97 | 64(82) |
平成26年 | 91 | 59(79) |
平成27年 | 74 | 45(65) |
(注) 最高裁判所事務総局の資料(概数)による。
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提供:法務省 |
(12) 日本司法支援センターによる支援
【施策番号116】
日本司法支援センターにおいては、国民への制度周知・広報の取組として、国民にとって見やすく、かつ分かりやすい表現を心掛けた犯罪被害者支援リーフレット、Q&Aリーフレット(「犯罪被害者支援Q&A」、「ドメスティックバイオレンス(DV)」)等の各種広報物(同センターウェブサイト「刊行物」:http://www.houterasu.or.jp/houterasu_gaiyou/kankoubutsu/)の発行、地方公共団体等に依頼して広報物を窓口に備え置いてもらう、各団体の機関紙に同センターの紹介記事を掲載してもらうなど、関係機関・団体を通じた地道な広報活動を進めているほか、全国各地でテレビや新聞等のマスメディアを利用した広報を展開している。
(13) 刑事の手続等に関する情報提供の充実
【施策番号117】
ア 法務省においては、被害者参加制度や少年審判の傍聴制度等、犯罪被害者保護・支援のための諸制度について分かりやすく解説した犯罪被害者等向けパンフレット「犯罪被害者の方々へ」を作成し、検察庁において犯罪被害者等から事情聴取をする際に手渡すなどしているほか、各種イベントで配布するなどしている。また、同パンフレットは、法務省及び検察庁ウェブサイトへも掲載している。
その他、犯罪被害者等向けDVD「もしも…あなたが犯罪被害に遭遇したら」を作成し、これを全国の検察庁に配布して、犯罪被害者等に対する説明に利用しているほか、YouTube法務省チャンネルで配信している。
- 法務省ウェブサイト:「犯罪被害者の方々へ」http://www.moj.go.jp/keiji1/keiji_keiji11.html
- 法務省チャンネル:DVD「もしも…あなたが犯罪被害に遭遇したら」http://www.youtube.com/watch?v=lXmgyAoEM9E
警察庁においては、「被害者の手引」の内容を充実させている( 【施策番号170】 参照)。
【施策番号118】
イ 警察庁においては、都道府県警察に対し、外国語版の「被害者の手引」についても、積極的に作成・配布するよう指示しており、都道府県警察では、それぞれの実情に応じて、英語版、中国語版等の「被害者の手引」を作成・配布するなどの適切な対応を行っている。
【施策番号119】
ウ 法務省においては、外国人や視覚障害者である犯罪被害者等に対しても情報提供を可能とするため、犯罪被害者等向けパンフレット「犯罪被害者の方々へ」は、英語版や点字版のほか、内容を音声で録音したCD版も作成し、全国の検察庁及び点字図書館等へ配布している。また、犯罪被害者等向けDVD「もしも…あなたが犯罪被害に遭遇したら」は全編に字幕を付しており、聴覚障害者に対しての情報提供も可能としている。
(14) 刑事の手続等に関する情報提供の充実及び司法解剖に関する遺族への適切な説明等
【施策番号120】
都道府県警察においては、検視・司法解剖に関する手続等を盛り込んだパンフレットを配布し、遺族に対する適切な説明や配慮に努めている。
また、検察庁においても、検察官が、捜査や公判に及ぼす支障等にも配慮しつつ、必要に応じ、適切な形で、犯罪被害者等に対し検視・司法解剖に関する情報を提供している。
(15) 捜査に関する適切な情報提供等
【施策番号121】
ア 警察庁においては、「被害者連絡実施要領」(平成26年5月20日付け警察庁刑事局長等通達)や「被害者の手引」モデル案(【施策番号170】参照) に基づき、被害者連絡が確実に実施され、犯罪被害者等に対する適切な情報提供が行われるよう、都道府県警察に対する指導を行っている。また、被害者連絡等の支援活動を通じて得た犯罪被害者等の状況やニーズのうち、民間被害者支援団体や他の行政機関と共有すべきものについては、犯罪被害者等の同意を得て情報提供するなど関係機関・団体との連携を図っている。
さらに、交通事故被害者等に対する被害者連絡を組織的かつ適切に推進するため、都道府県警察本部の交通事故事件捜査担当課に被害者連絡調整官等を設置している。被害者連絡調整官等は、交通事故被害者等の心情に配意した適切な対応が行われるよう、各警察署において実施される被害者連絡について指導を行うとともに、交通捜査員に対して適切な被害者連絡に資する教育等を実施している。
【施策番号122】
イ 法務省・検察庁においては、捜査段階から、捜査に及ぼす支障等も総合考慮しつつ、必要に応じ、適切な形で、犯罪被害者等に捜査に関する情報を提供するよう、会議や研修等の様々な機会を通じて検察官等への周知に努めている。
○ 海上保安庁においては、捜査や公判に支障を及ぼしたり、関係者の名誉等の権利を不当に侵害するおそれのある場合を除き、犯罪被害者等に対して当該事件の捜査の経過等を通知している。
(16) 交通事故捜査の体制強化等
【施策番号123】
警察においては、都道府県警察本部の交通事故事件捜査担当課に設置した交通事故事件捜査統括官及び交通事故鑑識官が、悪質な交通事故、事故原因の究明が困難な交通事故等について、組織的かつ重点的な捜査並びに正確かつ綿密な実況見分及び鑑識活動を行うとともに、交通事故捜査の基本である実況見分等についての教育を強化している。
警察庁においては、交通事故被害者等の真実を知りたいという強い要望に応えるべく、交通事故鑑識官養成研修を始めとする各種捜査研修を実施し、捜査員の能力向上を図るとともに、客観的証拠に基づいた事故原因の究明を図るため常時録画式交差点カメラ、3Dレーザースキャナ等各種機器の活用を推進している。
(17) 交通事件に関する講義の充実
【施策番号124】
【施策番号95】 参照
(18) 不起訴事案に関する適切な情報提供
【施策番号125】
ア 法務省・検察庁においては、被害者保護の要請に配慮し、犯罪被害者等に対する不起訴事件記録の開示の弾力的運用を実施するとともに、犯罪被害者等の希望に応じ、関係者の名誉等の保護の要請に配慮しつつ、不起訴処分の内容及び理由について十分な説明を行うよう努めており、会議や研修等の様々な機会を通じ、検察官等への周知に努めている(【施策番号108】参照)。
【施策番号126】
イ 上記 【施策番号125】 参照
(19) 検察審査会の起訴議決に拘束力を認める制度の運用への協力
【施策番号127】
一定の場合に検察審査会の議決に拘束力を認める制度が平成21年5月に施行されたことに伴い、検察庁においては、起訴議決に至った事件について、裁判所により指定された弁護士に対する協力を行うなど、その適切な運用が図られるよう努めている。
(20) 検察官に対する児童又は女性の犯罪被害者等への配慮に関する研修の充実
【施策番号128】
【施策番号94】 参照
(21) 判決確定後の加害者情報の警察に対する提供の充実
【施策番号129】
【施策番号70】 参照
(22) 判決確定、保護処分決定後の加害者に関する情報提供拡充の検討及び施策の実施
【施策番号130】
【施策番号72】 参照
(23) 受刑者と犯罪被害者等との面会・信書の発受の適切な運用
【施策番号131】
法務省においては、平成18年5月、これまで原則として親族に限定されていた受刑者の面会や信書の発受の相手方について、犯罪被害者等も認めることとした指針を示し、その後、犯罪被害者等と受刑者との面会が実施されるなど、施設において適切な指導を行っている。
(24) 犯罪被害者等の意見等を踏まえた適切な加害者処遇の推進等
【施策番号132】
ア 【施策番号87】 参照
【施策番号133】
イ 法務省においては、保護処分の執行に活用するため、少年に係る情報について、少年院において得られるものだけでなく、家庭裁判所や保護観察所等の関係機関や保護者から得られたものを、その都度少年簿に記載している。平成19年12月からは、犯罪被害者等についてより一層必要な情報の収集及び記載ができるよう、少年鑑別所や少年院において被害に関する事項を把握した際に、少年簿に具体的に記載することとし、少年の処遇に携わる職員により確実に情報の共有が図られるようにしている。
【施策番号134】
ウ 法務省においては、特定の犯罪的傾向を有する保護観察対象者に対する専門的処遇プログラムの内容等の充実を図るとともに、当該プログラムの受講を保護観察における特別遵守事項として設定するなどして、適切に実施している。また、保護観察対象者に対し、再び罪を犯さない決意を固めさせ、犯罪被害者等の意向に配慮しながら誠実に対応することを促すため、しょく罪指導を適切に実施している。
【施策番号135】
エ 保護観察所においては、犯罪被害者等の申出に応じ、犯罪被害者等から被害に関する心情、犯罪被害者等の置かれている状況等を聴取し、保護観察対象者に伝達する制度(心情等伝達制度)において、当該対象者に対して、被害の実情を直視させ、反省や悔悟の情を深めさせるような指導監督を徹底している。27年中に、心情等を伝達した件数は166件であった。
心情等伝達件数 | |
---|---|
平成23年 | 112 |
平成24年 | 106 |
平成25年 | 99 |
平成26年 | 151 |
平成27年 | 166 |
提供:法務省 |
(25) 犯罪被害者等の視点を取り入れた交通事犯被収容者に対する更生プログラムの整備等
【施策番号136】
刑事施設においては、必要な者には義務付けて、犯罪被害者等の視点を取り入れた交通安全指導プログラムを実施している(被害者の視点を取り入れた教育については、【施策番号87】参照)。
(26) 仮釈放における犯罪被害者等に対する安全への配慮の充実
【施策番号137】
【施策番号88】 参照
(27) 犯罪被害者等の意見を踏まえた仮釈放等審理の実施
【施策番号138】
地方更生保護委員会においては、更生保護法に基づき、仮釈放や少年院からの仮退院の審理に際し、犯罪被害者等からの希望に応じて、犯罪被害者等から意見等を聴き、仮釈放等を許すか否かの判断に当たって考慮するほか、許す場合には、特別遵守事項を設定する際の参考としている。
平成27年中に、意見等を聴いた件数は292件であった。
意見等聴取件数 | |
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平成23年 | 273 |
平成24年 | 271 |
平成25年 | 304 |
平成26年 | 328 |
平成27年 | 292 |
提供:法務省 |
(28) 仮釈放等審理における意見陳述に資する情報提供の拡大についての検討及び施策の実施
【施策番号139】
【施策番号138】のとおり、犯罪被害者等から仮釈放等に関する意見等を聴取する制度が、平成19年12月から開始され、法務省においては、その円滑かつ適切な運用に取り組んでいる。
さらに、第2次基本計画により、法務省においては、仮釈放・仮退院について犯罪被害者等が意見等を述べる際に資するよう、被害者等通知制度における通知内容を充実させることについて、通知制度の運用状況や加害者の改善更生、個人のプライバシーの問題を考慮しつつ検討し、3年以内を目途に結論を出し、必要な施策を実施することとされた。
その検討の結果、26年4月から、加害者の受刑中の刑事施設における処遇状況に関する事項として、懲罰及び褒賞の状況を、加害者の少年院在院中における処遇状況に関する事項として、賞、懲戒及び問題行動指導の状況を新たに通知することとした。
(29) 矯正施設職員及び更生保護官署職員に対する研修等の充実
【施策番号140】
法務省においては、矯正施設職員について、矯正研修所が新規採用職員や初級幹部要員に対して実施する研修の中に、科目として犯罪被害者の視点を設けるとともに、同じく上級幹部要員を対象とする研修において、犯罪被害者団体等の関係者を講師に招くなど、犯罪被害者等の置かれている現状や心情等の理解を深める研修の充実を図っている。
更生保護官署職員については、被害者担当官及び被害者担当保護司、新任の保護観察官及び社会復帰調整官、指導的立場にある保護観察官等を対象とした研修等において、犯罪被害者等施策に関する講義、犯罪被害者遺族による講話、犯罪被害者団体関係者や関係機関の職員、研究者等の専門家による被害者心理や被害者支援に関する講義等を実施している。また、それぞれの保護観察所等においても犯罪被害者等の心理等に関する研修を実施している。