第1節 第3次犯罪被害者等基本計画の策定経緯
4 第2次犯罪被害者等基本計画の実施状況の評価
上述のほか、第3次基本計画の策定に当たっては、第2次基本計画の実施状況の評価を行って現行施策では不十分な事項や今後より一層充実すべき事項を明らかにし、これを踏まえた検討が行われた。
実施状況の評価は、5つの重点課題(<1>損害回復・経済的支援等への取組、<2>精神的・身体的被害の回復・防止への取組、<3>刑事手続への関与拡充への取組、<4>支援等のための体制整備への取組、<5>国民の理解の増進と配慮・協力の確保への取組)の各項目で評価を行い、第2次基本計画の計画期間内に明確な成果を上げることができなかったとされた施策が今後の課題として挙げられた。
具体的には、海外で被害に遭った犯罪被害者等に対する経済的支援については、「「犯罪被害給付制度の拡充及び新たな補償制度の創設に関する検討会」の取りまとめに従った施策の推進について」(平成26年3月26日推進会議決定)において、「与党と連携しつつ、具体化に向けた取組を進める。」とされたが、いまだ実現されておらず、引き続き、その具体化に向けた取組を推進していく必要があると評価された。また、カウンセリング等心理療法の費用負担については、国の支援・関与の下での全国展開を盛り込んだ「犯罪被害者の精神的被害の回復に資する施策に関する報告書」(27年4月2日犯罪被害者の精神的被害の回復に資する施策に関する研究会)が取りまとめられ、同報告書で示された提言を実現していく方向で一定の改善を図っていくこととなったが、提言内容を早期に実現するために予算を確保していく必要があると評価された。
第2次基本計画全体の評価としては、第2次基本計画に盛り込まれた具体的施策について、着実に推進が図られ、一定の成果をあげたものと評価できるとされた一方で、中長期的な支援を含めた更なる取組の強化及び被害が潜在化しやすく、そのニーズを把握することが困難な被害者に対する支援の検討が、今後の課題として指摘された。