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第1章 特集「途切れることのない必要な支援」

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第3節 性犯罪被害者支援のための連携

5 性犯罪被害者の支援体制整備のための課題

性犯罪被害者支援のための体制整備が進められている。性暴力救援センター・大阪SACHICOは,関係者の努力により,民間団体による病院を拠点としたワンストップ支援センターの先駆けとして,地域における性犯罪被害者支援に多大な貢献をしている。

また,性犯罪被害者に効果的な支援を提供するための体制づくりには,医師・医療従事者・医療機関,支援員,警察,その他の関係機関・団体等の連携が必要であり,さがmiraiは,自治体に設置されている既存機関を活用して,中長期的な支援にも対応できる支援体制を整えている。

もっとも,地域によって活用できる資源や人材は異なっており,また,財源確保の問題もあって性犯罪被害者支援の体制の整備が進まないとの声も聞かれるところである。そういった場合には,各地域における既存の資源をいかに有効に活用していくかが課題となる。現に,手引においても,ワンストップ支援センターについては病院拠点型や相談センター拠点型が望ましいとしつつも,医療機関の確保等が困難な場合には,「相談センターを中心とした連携型」も考えられるとしてモデルを提示しているところである。相談センターを中心とした連携型は,例えば,犯罪被害者等早期援助団体を中心として,警察,地方公共団体,複数の医療機関,その他の関係機関・団体等が緊密に連携をすることにより,病院拠点型の拠点病院やセンター拠点型の提携病院から遠方にいる性犯罪被害者にも対応できるなどの大きなメリットもある。また,一つの医療機関に多大な負担がかからないという意味で,協力病院等の確保がしやすいとも考えられる。

また,性犯罪被害者支援体制としては,365日24時間対応可能であることが望ましいことは事実であるが,当初からそのような体制を敷くことは関係者の負担も大きいことから,地域の実情に応じ,まずは平日の日中のみ対応できる体制を整備するといったことも選択肢として考えられるところである。

コラムで紹介した「被害者サポートセンターおかやま(VSCO)の取組」等は,既存の資源を活用しつつ,関係機関・団体の連携により効果的な取組を行っている例であり,参考になる。

また,性犯罪被害者支援については被害後間もない急性期における支援が重要であるが,性犯罪被害者の住んでいる地域にそのような相談機関が存在することを認知していなければ,早期の適切な支援につながらず,相談機関の存在をいかに周知していくかも今後の課題であるといえよう。

なお,性犯罪被害者にとって,急性期が経過した後の中長期的な支援として,心理カウンセリング等が必要となる場合もあり,さがmiraiのように,中長期的支援に対応できる体制を構築し,いかに途切れない支援を提供していくかも今後の課題である。

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