第4節 子供の被害者の支援のための連携
子供が被害者となる事件は後を絶たない。
児童虐待は,児童※の人権を著しく侵害し,その心身の成長及び人格の形成に重大な影響を与えるものであり,平成12年に制定された児童虐待の防止等に関する法律(平成12年法律第82号。以下「児童虐待防止法」という。)に基づき,児童虐待の予防,早期発見・早期対応,虐待を受けた児童の保護・自立に向けた支援,保護者への支援など児童虐待対応の各段階に応じた切れ目のない総合的な対策が行われている。
また,児童虐待に限らず,子供が思いがけない形で犯罪被害者となったり,犯罪により親や兄弟姉妹を失って犯罪被害者等となったりして,様々な困難に直面する場合もある。しかし,犯罪に巻き込まれた子供が,自らその保護や支援を求めて声を上げることは難しく,支援を必要としている子供に対し,関係機関や団体が,連携して適切な支援を提供していくことが必要である。
ここでは,子供の被害者の支援のための連携について紹介する。
1 要保護児童対策地域協議会(子どもを守る地域ネットワーク)
要保護児童対策地域協議会(子どもを守る地域ネットワーク)は,平成16年の児童福祉法改正により法定化され,19年の児童福祉法改正により市町村等における設置が努力義務化された。同協議会は,虐待を受けている子供を始めとする要保護児童等(要支援児童や特定妊婦を含む。)の早期発見や適切な保護を図るため,児童相談所や学校・教育委員会,警察等の関係機関が要保護児童等に関する情報や考え方を共有し,適切な連携の下で対応していくこととしており,平成25年4月1日現在,98.9%の市町村で設置されている。同協議会の設置により,関係機関間の連携による要保護児童等の早期発見・早期対応,関係機関の相互理解等の促進を図っている(【施策番号60】参照)。